表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

連載完結に10年かかったよ!!

作者: 風待月


 この度、自分がこのサイトでの活動で、メインタイトルとして連載を続けていた作品が完結しました。


 完結に10年もかかりましたよ!

 

 読まれやすい時間とか投稿とか意識せず、普通に予約投稿でジャストな時間に自動掲載されるようにしてますが、その際に完結設定を『まだ続きます』から『この部分で完結します』に変えた時に一入(ひとしお)でした。


 あ。飛び飛びで掲載してたから、完結に時間がかかったわけじゃないんで。話の区切りで充電期間と書き溜めを作るために月単位の期間空けてたことはあるけど、基本毎週更新してましたよ。

 おかげで文字数300万オーバー、600話以上。どんな超大作だよ。



■常識が変わる!■


 十年一昔と言うけど、本当だね! 世の中の移り変わりって激しい!


 『常識』って言葉自体に不変共通ってイメージあるけど、そんなことない。すぐ変わる。どんどん変わる。アップデートしていないと常識知らずになってしまう。


 だって2020年以前に、外出時にマスク着けた人、そう多くないでしょう?

 買い物した時のレジ袋はタダで付いてきてたものだったでしょう?

 ウーバーイーツとか外出自粛規制前は利用していない人が大半だったでしょう?


 もっとあるよ? 意外に思うようなことが。


 スマホの普及。

 2010年はまだガラケー主力で、スマホユーザーは1割未満。

 

 SNSの普及。

 LINEもインスタグラムも生まれたのは2010年で、ユーザーはゼロ。TwitterやFacebookもユーザー数は今の1割未満。

 それまでは自分でなにかを発信するなら、サイトを作るか、もっと簡易的にブログによって発信していたんだから。


 動画共有サイトの一般化。

 10年前はまだテレビの影響が大きかった。

 だけどやはりスマホとタブレットの普及で、テレビ離れが加速。

 しかもそれだけに留まらず、自分が発信者になることも当たり前に。


 人工知能と音声認識機能の一般化。

 技術自体はもっと前から認知されてたけど、一般人が日常生活内で使えるようになったのここ10年ほど。iPhoneにSiriが搭載されたのは2011年、Googleアシスタントは2016年。


 これ、たかだか10年の変化なんだよ。生まれたばかりの子供が一丁前の口を利くようになる時間だから『たかだか』っていうのもどうかと思うけど。


 やっぱスマホの影響どデケェ!



 教育も変わる。


 2012年から中学校の体育でダンスが必修化。

 2020年から小学校でプログラミングが必修化。


 教科書制作会社の各判断によるので、以前から採用しているところもあるが、この10年内で鎌倉幕府開(びゃく)が1192年から1185年へと通説が変わる。(元々諸説あり)


 地理もタイムリーに変化している。

 少し前に、黒海沿岸の国グルジアが、英語表記で国連加盟国基準の『ジョージア』に呼び方が変わったのを覚えておららる方もいるだろう。

 ロシアによるウクライナ侵攻を機に、首都はロシア語由来の『キエフ』と表記していたのを、ウクライナ語基準の『キーウ』と称するようになった。『チェルノブイリ』は『チェルノーゼム』と表記するようになった。


 年配の方なら、ベルリンの壁崩壊による東西ドイツ統一、ソビエト連邦崩壊からのロシア共和国誕生を覚えておられるだろう。国家も結構生まれたり消えている。



 このように、世間一般で『常識』とされている情報は、結構移り変わりする。


 過去の文豪の作品を見て戸惑う……という経験は少なかろう。読む人の年齢や経験にもよるが、スマホなんぞ存在してない時代が全く想像できない、ということはなかろう。なら時代小説やファンタジー小説全般が読めないということになるのだし。


 しかしこれが中途半端に古い時代だと、結構混乱するのだ。

 例えば30年くらい前の作品を見て、ポケベルがガジェットとして使われていたら、今の10代20代は確実に戸惑う。ガラケー時代から続くトグル入力とは全く違うので、数字オンリーの暗号文をどう解けばいいのかわからないだろうし。


 とりあえず、1万円札を『諭吉』と呼ぶのは、確実に通用しなくなる。2024年から『栄一』になるのが確定してるぞ。



■技術が変わる!■


 前述の、スマホの普及にも結びつくのだが。


 拙作のジャンルは【空想科学】、それも21世紀基準の設定なので、科学技術はものすごく密接だったのだ。筆もそんなに早くないこともあり、新たな編に進むたびに最新知見を調べる必要あったくらいには。


 特に軍事技術。

 拙作は生身の人間が戦車を放り投げ、やはり生身の人間が戦闘機とドッグファイトする超人全開な内容だけど、やっぱり必要だったのよ。


 ただこちらは、着実に進歩してるんだが、そこまで……という印象の場合が多かった。やはりSFを基準にしちゃいかんね。


 レーザー兵器の一般化は、思ったよりも進んでいない。やっぱり電源の問題は大きい。

 いや、レーザー兵器自体は結構古くから実用化されてるんだよ? 湾岸戦争で既に投入されてる実績あるし。照準用でなく、ちゃんとレーザー光線自体が破壊力を持つ出力で。


 ドローンの進化は大きい。

 ドローン自体がここ数年で一般人にも一気に認識が広まったけど、軍事用もやはり最近一気に広まった。

 それによって戦術が大きく変化していくであろう、転換点に差し掛かっている。これまでの物量であったり、精密誘導兵器であったりと、既に転換はしているけど、『軍隊同士が戦うもの』という戦争のあり方が最早変わっている。ゲリラ戦や対テロ戦といった政治や思想的な問題だけでなく、技術的に情報戦と無人兵器による戦いへと変化しているのは、ウクライナへのロシア侵攻で証明されている。


 アメリカのレールガン開発と戦闘用パワードスーツ開発が、計画凍結したのは予想外だったわぁ……



 せいぜい湾岸戦争くらいまでかな? 昔は軍事技術が最先端技術だったけれども今や違う。民間で開発された技術が先を行く分野が多い。やはり半導体技術の発達がそこらをひっくり返したと思う。



■言葉が変わる!■


 新しい言葉が作られるのは、流行語などでなんとなく理解している人も多いと思うが、一方で消える言葉も多い。


 若者言葉は割とすぐに廃れる。下手すれば1年もたない。

 やばたん・つらたんとか『~たん』ってまだ使う?

 『マジ卍』なんて見る?

 『ありよりのあり』とか使ってる?


 芸人とか、最近だと動画配信者発信由来の言葉とかも流行するが、この手も大抵すぐ廃れる。


 だから小説内でそういう言葉を使うと、時代とイタさを感じる作品になってしまうぞ。



 流行り廃りとは少し違い、ひっそりと単純に使われなくなる言葉も多い。

 2021年に三省堂国語辞典が8年ぶりに改訂版を出したのだが、その時に削除された言葉が以下。


 歌本/営団/MD/女さかしゅうして牛を売り損う/企業戦士/携帯メール/携番/厚生省/コギャル/スッチー/赤外線通信/着うた/着メロ/テレカ/テレコ/伝言ダイヤル/とちめんぼう/ドッグイヤー/トラバーユ/パソコン通信/ピッチ/プロフ/ペレストロイカ/ミニディスク/弱き者よ、なんじの名は女なり


 ……初めて見る言葉も多いのだが? あと『ペレストロイカ』とか世界史で出てくる単語だし、辞書なら残しておかないとマズい気するんだが……まぁ、それはそれとして。

 やはり技術進歩の影響を感じる。特にスマートフォンの普及により、技術的にも使われなくなった言葉が多い。



 こんな風に言葉は変革する。

 なので『現在』とか『流行』を意識して小説を作るのはオススメしない。ワケわからない人種という立場でパリピを出すのはともかく、主人公をそのポジションに置いて一人称形式で書いたりするのは、個人的にはどうかと思う。

 流行り廃りの激しい流行語や、書いた時分に流行しているギャグなどを使うのはオススメしない。数年後、下手すれば1年後にはお寒く感じてしまうから。

 インターネット黎明期、特にネット掲示板由来の新しい言葉が生まれて消えていったが、SNSが発達してからは更に言葉の消費期限は短い。


 ただどこまで、という線引きは難しい。

 たとえば、まだ死語と呼べるほどではないが、『萌え』も最近はあまり見かけなくなってきている。10年くらい前は『kawaii』と『moe』はグローバルな言葉と化しているくらい一般的だった。

 しかし今では、そういう感情は『尊い』、キャラクターに対しては『推し』に場を譲っている傾向を見る。

 『エモい』はどうだろう? 個人的には廃れの傾向を感じ、数年後には使われていない言葉のような気がする。

 単語レベルの取捨選択をし続けながら文章を書くのは、さすがに疲れる。


 思い切ってその年代向けに書くのなら、死語出しまくるのも充分アリだと思う。作者の若かり時代へ主人公を送り込み、その時代の情景を出して楽しませるつもりならば。


 でも『現代』のつもりで書いているのならば、少しは未来を考えたほうがいい。

 時事を扱うつもりで『GoToキャンペーン』とか作品内に挿入しても、きっと3年後には忘れられている。

 割と最近に作られた作品で、ネタではなくナチュラルに『クラスのマドンナ』を使ってるの見た時、さすがに引いたぞ。


 とりあえず作品内で若者がLINEで連絡し合うのは、もう古いぞ!

 今時の若者は結構な割合でInstagramのDM機能で連絡し合ってて、それ以外の相手のためにLINEアプリも入れてるみたいな感じだからな!



■クリエイターって結構難儀だね■


 少し前、岡本倫という漫画家さんが、『あだち充先生のみゆきを読んでいて、30年以上前の作品なのに全く色あせずに面白かったのですが、五百円札が出た時にこれは昭和の漫画なんだと現実に引き戻されました』

『だからぼくの漫画には携帯電話がほとんど登場しません』とツイートしたのが、創作者界隈で話題になった。


 自作を読み返して、これのことなんだな……と実感。


 現在を書いたつもりでも、すぐに古臭くなってしまう。

 『レトロフューチャー』って言葉があるように、未来を描いたつもりでも、やはり古臭さというのは訪れてしまう。昔の人々が夢見た世界と現実を比べてみれば、現代人の笑いを誘う内容も少なくない。

 それこそ完全に別世界や過去の世界を描いた作品ならば、劣化の速度は遅くなるのは間違いないのだが、それでもこの束縛から逃れられない。

 たとえば現在の歴史定説では邪馬台国の場所は判然としない。しかし5年後10年後の定説は覆っている可能性もある。だから『この作品ではこうなんだ』と書き始めた歴史モノでも、先々古臭い定説を扱ってると見なされてしまう。


 しかも情報化社会になった今では、そのスピードは100年前、50年前よりも圧倒的に加速してる。


 流行なんてすぐに廃れるし、コンテンツはすぐに消費されてしまう。

 それをどうこう言う気はないが、この現実は受け止める必要がある。


 クリエイターは必至に食らいついていかないと、すぐに過去のものになってしまう。多分芸能人とか『あの人は今』みたいにすぐ忘れされてしまうのが、昨今では一般人にも訪れる時代なんだね……


 でもこれは、そういうものだと受け入れて、その上で『それでも自分には作りたい作品がある』と割り切って作るしかないのだと思う。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] はじめまして。10年で完結というタイトルを見て好奇心で読ませていただきました。まずは完結おめでとうございます。そしてお疲れ様でした。 最初はただ、10年かけて連載を完結した人の気持ちとは如何…
[良い点] >割と最近に作られた作品で、ネタではなくナチュラルに『クラスのマドンナ』を使ってるの見た時、さすがに引いたぞ。 服装や小物の描写で表現が古かったり、疎いと感じたりすると勉強不足だなと思う…
[良い点] すごいです! 完結おめでとうございます! [一言] 小説を書くときは普遍性についていつも考えます。例えば怒ったとき『激オコプンプン丸』って書くのはダメだな……とか。 逆に時代性を入れるとき…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ