囚われのデスゲーム3
再び、銃声が広場に響き渡り、その銃弾が誠志郎の左足の筋肉を切断した。跪き、圧縮されていた筋肉が張ちきれたことにより血飛沫が舞い、誠志郎の頬が血で赤く染まった。
今度は痛みを声にする事なく、ディア女王を真っ直ぐと見上げていた。その双眸は青く光り輝いていて、とても美しい瞳だった。けれども、その瞳が美しい程にディア女王は機嫌を悪くしていった。
「貴様のその瞳は見ていて反吐がでるな。まるであの異人のようだ」
ディア女王がそう呟いたことは誰も知らないのだが、何かを呟いていたことは気が付いた人がいただろう。
ただ、誠志郎にだけはディア女王の言った言葉が聞こえていた。いいや、聞こえていたわけではなく、繊細な口の動きから言葉を読み取っていた。
表情を曇らせ黙り込んだディア女王を見上げたままの誠志郎は微かに口角を上げて、声を大にした。
「なあ!お願いがダメならよ、交換条件だ!」
誠志郎が無礼な口のきき方をすると、背後にいた筋肉質の女に蹴りを入れられた。けれども、交換条件を持ちかけられたディア女王は少々興味が湧いているようだった。
「どんな条件だ、言ってみろ」
「もし、お前が俺の母を救ってくれたのなら、俺は一生お前の国を守ってやるよ!」
誠志郎が広場に響き渡る声でそう告げると、その場が凍りついたかのように静まり返り、やがて微かな笑いと嫌悪が飛び交った。
先ほどの土下座で大笑いが起きたのとはまるで違った不穏な雰囲気が…誠志郎の鼓動を早めた。この交渉は失敗に終わってしまうとすら誠志郎が思ったとき、広場にあははははと大きな笑い声が聞こえ始めた。
こんな空気の中、大笑いを決め込んではディア女王に怒られてしまいそうなものなのだが、その心配は無用だ。なぜなら、この甲高い笑い声の主はディア女王のものだから。
この笑いの意味を皆は理解できずに、女王の言葉を待っていた。
やがて、笑い終えたディア女王は軽く咳払いをしてから腰を持ち上げた。そして、せいしろうに指を差しながら話し始めた。
「面白い。実に面白い!貴様ごとき男が救えるものは何のか、そして、その技量が私らディア国の国民に認められるもなのか、見させてもらおう。その結果次第では貴様の条件を呑んでやる」
「おう!話がわかる奴がこの国のトップで助かった!」
ディア女王のこの発言は、国民の動揺を煽っていた。それだけ珍しい光景なのだろう。けれども、ディア女王の次の発言により、国民の皆は平常を取り戻すこととなった。
「貴様の技量を測るため、この国特有のデスゲームを闘技場にて行う。ルールは簡単だ。五日間、お前がどんな敵にも負けない事。それだけがルール。殺しも良し、闘技場内なら逃げるも良し。生き残ってみせよ」
そのシンプルなルールのゲームに誠志郎は自信ありげに「ルールが簡単で良かった」と言葉を漏らしていた。
そんな中囁かれる周囲の声は、どれも冷たく蔑むような言葉でそれでいて楽しむようだった。
「今度の男は何時間持つかね?」
「二時間とか?」
「一番長くて二日目だよね?でもあそこが男のいける限界よね」
誠志郎は周囲の声に疑問を持ちながらも闘技場へと移動していった。




