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囚われのデスゲーム2

 見知らぬ筋肉質の女に捕らえられていた誠志郎は、身体を縄で巻かれていつつも眼に見える全てから情報を得ようとしていた。

 何かこの場を抜け出す方法は無いのだろうか、と。


「注目セーい!」

 広場にある壇上の豪華な椅子の方。そんな所から女性の力強い声が響き渡り、全ての国民がこの広場に集まって来た。

 声を放ったのは、赤く長い綺麗な髪をなびかせた女性だった。髪に似合った赤く染まった鎧を必要最低限纏っているようで、戦闘も行うのだろう。


 噂によれば五代魔法使いの中でもディア女王は武闘派だったとか。


 彼女の一声で買い物をしていた人も、仕事をしていた人も、全員こちらへ向かってくるのだから、その光景はとても奇妙でありつつ、この国のトップに立つものがそれ程までに尊敬されているということを象徴しているようだった。


 これだけの人望がある人間なら話が通じるのだろうと誠志郎は心のどこかで油断していた。

 バンッ!

 銃声音が広場に響き渡った。よく見ればディア女王は広場にいる国民の方へ銃口を向けているようだった。国民に銃口を向けるような人物に人望など生まれるはずが無い。

 銃弾は国民にかする事すらもなく、誠志郎の右太ももを貫いた。


 広場のど真ん中で大量の血が流れたが、周囲の人間は声ひとつとして漏らすことはない、それどころか見慣れているような普通の表情をしていた。勿論、誠志郎をこの場へ連れて来た筋肉質の女も同様だ。


「ぅぐぬ…」

 誠志郎は痛みに強くなっていたが不意に足を撃たれてはすぐに立ち上がることができなかった。それに加え、ディア女王の撃った銃弾は誠志郎の太ももに集まる神経の多くを分裂させていた。中距離ではあるしろ、スコープも付いていない拳銃でピンポイントに撃ち抜いたのだ。

 そのことがどうか偶然であってほしいと誠志郎は強く願っていた。もし、偶然ではなく狙われたものだとするのなら、力の差は歴然になってしまうからだ。


 本当は対峙するつもりはなかった誠志郎だが、この場の空気からそうも言っていられないことは理解していた。

 力を入れると震えてしまう右足を抑えながら、誠志郎は立ち上がった。


「ほーう。筋肉を分裂されてもなお立てるとは…。貴様にも見込みがあるな」

 ディア女王は長い赤髪をバサッとなびかせて、用意されていた豪華な椅子に足を組んで座った。

 

 遥か高くから誠志郎を見下すその姿はまさしく女王そのものだ。そんな女王に、誠志郎は強く決意の籠った視線を飛ばし、両膝両手、そして頭を地面にをつけた。


「ディア女王…頼みがあります」

 その声は歯切れが悪く、これまでの戦闘の疲れが取れていないせいであり、今銃で撃たれたせいでもある。それでも、誠志郎は吐血しながら言葉にした。


「俺の母親が襲われて目を覚まさなくなっちまったんだ。今はなんとか命を取り留めている状態で死ぬのも時間の問題だろうって言われた。だから、あなたの魔法で回復させてはくれないだろうか!」


 無様な男の土下座を前に、国民は声をあげて笑い出し、ディア女王はその麗しき眉間に皺を寄せていた。

 そして、銃口は再び誠志郎へと向けられたのだ。

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