到着!ディア国5
「お前の魔法は何だ?何でずっと魔法を使ってるんだ?」
男は自嘲気味に笑みを浮かべつつ、子供が不貞腐れたように答えた。
「俺の魔法は見る事だ」
その発言に誠志郎を含めた三人は首を傾げていた。
「俺はな、お前らと違って産まれながらに目が見えねぇんだ!特別な力を手に入れようとして得たのは普通のものだったんだよ。俺が常に魔法を使ってるのはそうしないと何も見えなくなるからだ」
「そう言う事か。だがな、お前のその説明は半分正解で半分嘘だろう?」
誠志郎は含みのある笑みを浮かべながらもそう告げた。すると、男はしかめっ面になり視線を逸らした。そして、誠志郎の質問に返答する代わりに質問を投げかけてきた。
「逆に聞くが、お前こそ何なんだ。見る限り俺よりも若いが腕が立つし、勘も良い。どこの国で育ったんだ?」
「国か…俺の故郷に国と呼べるほどの区切りはなかったな…。強いて言うのであれば、ここよりももっと自由な国だ」
「ははっ、自由?バカかテメェは」
その発言に誠志郎が怒りを隠しきれなかった。
「バカじゃねぇよ!お前こそ、こんな荒野で何してんだよ。いつかそこのおっさんみたいに痩せ細って死ぬぞ」
「腕は立つがやはりガキだな。考え方がなっちゃいねーんだよ。俺らみてえな男じゃ魔法が発症しても遺伝子的問題でクソみたいな魔法しか扱えねぇ。そんな俺らは悔しくも女のケツ持ち上げて守ってもらうしかねぇんだよ!」
誠志郎は思った。
確かにこの世界で出会った男共はどこか自信がなく、女の後ろに隠れいている。権力者達はその権力のお陰で自信があるのだが、結局は女に身を守ってもらっていた。
ヨナ・ウィリアム然り、ノアの家系であるスチュアート家でさえも、その刺客は女だった。それに、彼女らは本当に強かったし人を殺すことに躊躇いなんてなかった。
彼女らの方がここにいる二人の男より遥かに衛兵のようだった。
誠志郎は今更、この世界の力配分とルールを明確に理解しつつあった。
カナがすぐに剣を抜くのも女が闘う=当たり前と言う認識からだったのだ。でも、本当にそうなのだとしたら、どうすれば良いものか。数秒だけ、迷った誠志郎は決意の籠った瞳でカナを見つめて話し出した。
「カナ。お前は戦わなくて良いんだ。強い女が戦い、弱っちぃ男が守られているなんてくだらない、そんな世界の法則は俺が壊してやる。何度お前が剣を抜いても、俺が何度でもしまってやる」
カナは頬を少し赤らめて、呟く。
「そんな事、初めて言われたわ」
良い感じのムードを壊すかのように黒いジャケットを着た男が笑い出し、誠志郎に物申した。
「格好つけてんじゃねぇよ。テメェが少し強かろうがこの国じゃ生きてさえいられねぇよ」
「お前みたいに根から殺されるよりマシだろ」
「はあ?だったら行ってみろよ。俺がディア王国の入り口まで送ってやる。そんなで俺に証明してみせろ。弱い俺らに何を守れるのか」
「上等だ。こっちは急いでんだ。送ってくれるってんなら証明してやるよ、俺らは守られる為だけにいるんじゃねぇんだって」
宜しくお願いします!




