到着!ディア国4
誠志郎が男の言った『国民にも奴隷にも慣れなかった』という言葉について考えていると、別の方角から銃声が鳴り響いた。
銃弾は三人よりお聞く右に逸れた。
手負いの二人に視線を落として、カナが剣を抜いた。だが、誠志郎が自らの短刀を手に持ち言った。
「カナ…この男を守っていてくれ」
「ダメよ、手負いのあなたじゃ…」
誠志郎はカナと男の前に立ち、二人の方を一瞬だけ振り返った。
「おい。この女になんかしたらお前のこと容赦無く殺すからな」
誠志郎の表情に殺意が宿り、男は萎縮したまま「はい」とだけ呟いた。一方、カナも初めて見る誠志郎の表情に驚いている様だった。
バンッ!バンッ!
銃声が先ほどよりも近い所で鳴り響いたが、またしても三人の横を通り抜けていった。もしかすると、銃を扱うことには長けていない素人なのかも知れない。
カナと男はそう考えて安堵のため息をもらした。
次の瞬間、誠志郎の振り抜いた短刀に銃弾が当たり、金属音が鳴り響いた。
それから数弾飛んできてその全てを誠志郎が平然と防いでいた。黒いジャケットの様な物を着ている敵は一発毎に近づいてきている様で、既に十数メートルの範囲まで現れていた。
こちらに飛び道具がないと確信しているのか、敵は未だに前進を続けている様だ。だが、その表情は既に恐怖を抱いている様だった。
それもそのはず、数十メートルからの銃弾を短刀でいなしてしまう男に敵う筈がない。そう思ってしまうのが当然のことだ、けれどもここまできて引くことの方が難しいのだろう。
敵が引き金を引くことに一瞬だけためらいを見せた。逃げられやしないかとでも考えてしまったのだ。その隙を誠志郎が見落とす筈もなく、二人の距離はゼロ距離まで縮まっていた。
「俺に銃弾は効かないぞ」
「…」
敵の男は思っていたよりも若くて、先ほど捉えた男よりも血色が良かった。
誠志郎は、銃を地面に落とした敵の男の目を見て、とある事を思った。
「お前…今なんの魔法を使ってるんだ?」
「…っ!」
誠志郎の目の前にいる男の双眸は黒一色で、しかも何か特殊な攻撃をしてきた訳でもなかった。そのため、カナは「彼は魔法使いじゃないでしょう?」と言った。
カナの後ろにいる誠志郎に捕らえられた男も頷いている様だった。だが、誠志郎は迷う事なくもう一度尋ねた。
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