到着!ディア国2
ユウと別れ、船を降りた誠志郎とカナは、海岸から広く煙がかった荒野へと歩き出した。
そんな二人の出発を後押しするかの如く、汽笛が海岸に響き渡った。
誠志郎はその汽笛を聞き、嘲笑気味に言葉にした。
「ユウは俺らを心配してたが、今の音で衛兵がうじゃうじゃ来たりしてな?」
「ふふ。そうだとしても鳴らしたかったんじゃない?私達が負けないって信じているから」
「だな、最高のエールだ。あはは」
二人は油断などはする事なく、それでいてどこか愉快に海岸を抜けていき荒野へと辿り着いた。
この何もない光景を、誠志郎は砂漠の様だと感じていた。確かに見え方的には砂漠とも言えなくもない程に植物もなく、あたり一面に白砂が広がっていた。
誠志郎は短刀を抜き取り、呟いた。
「カナはさ、俺がヤバくなったら剣を抜いて」
その言葉に対してカナは首を傾げたまま、聞き返した。
「私は戦うなって事?」
「そうだよ。ここは俺一人でやってのけたい」
かなりのわがままを言っている誠志郎に対してカナが怒りを見せることはないのだが、寂しさを隠しきれない彼女の表情に誠志郎は気が付くべきだった。
そんなやりとりをしていると、正面から人影が現れた。
バンッ!
突然、銃声が鳴り響き、膝をついたのは誠志郎だった。
「だ、大丈夫!?誠志郎」
心配して近寄るカナに誠志郎は大丈夫とだけ呟き直ぐに立ち上がった。
その左肩は出血していて、すぐに止血ができそうになかった。
「危ないな。突然撃って来たぞあいつ。弾が見えなきゃ脳天撃ち抜かれてた」
そう言って誠志郎は正面にいる銃を構えた男の元へと走って行った。男との距離は五十メートル程で、直進なんてすれば撃ち殺されておしまいだろう。だが、誠志郎はいっていた…。弾が見えなきゃ脳天撃ち抜かれてたと。
つまり、誠志郎には男が扱う銃弾が見えているのだ。
確かにこの環境下で作り出した銃ならば、弾足は遅くなっているのかもしれない。だが、それを肉眼で捉えるなんて常人離れしすぎている。ましてや、その銃弾を目で見て脳天というターゲットから外れたのだ。
誠志郎の動きというのは少なくとも、男が持つ銃弾よりも速い。
そして、全速力で直進してくる誠志郎を男は狙い撃ちした。だが、その銃弾が直撃することなどなく、失速を続けていた。無論、誠志郎は自身の魔法による身体強化を使ってなどいなかった。
誠志郎の短刀は男の銃口を切り落とした。
形勢逆転をして見せた誠志郎は、目の前に尻餅をついている男を見て目を疑った。男は、確かに立派な腕前であったのだがその身体は痩せ細っていて、目は虚ろのまま意識や人格は既に内容だった。
誠志郎がディア女王の命令の元、最初に捕らえたのは抜け殻となって、話すことすらできない奇妙な男だった。
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