本来の目的3
それぞれがこれからの道を簡易的に話し、残ったのは誠志郎のみだ。元々、この話し合いの言い出しっぺは誠志郎で、その真意は皆の動向が知りたいからという単純な部分だった。
たった二日や三日の付き合いでこれからを共にできるほど上手くはいかない。だからこそ道が分かれるとしても否めないのだ。それでも、誠志郎はノア、マルクス、カナのことをすごく気に入っていて気を許している。
きっと、またどこかの道で交わろうと思っているのだろう。
そして、誠志郎は自らが何なのかを明かした。
上にはここと違った世界が広がっていて、そこで育ったという事。
親代わりである人が襲われた事や、その襲ってきた武装集団が着ていたローブがこの世界の創造者の使いとやらの着ていたローブに瓜二つだという事。
魔法は薬を飲んだのではなく、幼い頃から無自覚に備わっていたという事。
そして、最後に上の世界は平和だという事。
誠志郎から断片的には聞いていた皆だったが、その有様を細かく聞かされると流石に言葉を失ってしまった。そして、こんな異常な地に単独できたというのに気丈に立ち振る舞う誠志郎を変人だと皆が思っていた。だからそれ相応の視線が誠志郎に集まり「何だよ」と言われ、皆は口を揃えて「何でもない」と答えた。
すると、カナが小首を傾げながら呟いた。
「じゃあ、セイシロウはこの地に来て二日目で世界を買う〜!とか大口叩いたって事?」
カナがそう発言すると、マルクスとノアが顔を見合わせて呟いた。
「こいつは馬鹿だ」
「違うよ、大馬鹿だ!」
するとカナも割って入って来た。
「いいえ、言葉で言い表せない程の馬鹿よ」
「結局馬鹿なんじゃねーかよ!」
誠志郎は眉に皺を寄せて怒っていたのだが、それ以上にこみ上げてくる楽しさが口元を何回でも歪ませた。
「あーあ。これだから俺はみんなが好きなんだ!」
「オイラもだぞ!」
「ああ、俺もだ」
「まあ、私もそうかもね」
誠志郎は勢いよく腰を持ち上げ、三人の表情を確認して話し出した。
「俺はこれからカナと一緒にディア国へ行く。そこにいる五代魔法使いだか何だかに上の世界まで来てもらって、その後、俺はこの世界をひっくり返してやる」
誠志郎の思い上がった発言に対してマルクスが尋ね出した。
「だが、お前の家族を襲った武装集団は放って置くのか?」
「いいや?俺の予想だとその手掛かりが下の世界にある。だから、マルクス早くその枷を外してくれよ」
「ああ、頑張ってはみる」
「ノア、早く強くなって力を貸してくれよ」
「言われなくてもそうする!」
「カナ…カナ……よし」
「何もないのね。随分と勿体ぶったけれどね…」
カナの深い溜息とともにこの話し合いはお開きになり、それぞれが進むべき道を見つめ直し、歩き始めようとしていた。
この先、ここで偶然集まった四人が二つの世界に大きな変革をもたらすのだと、今はまだ誰も知る余地がない。




