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本来の目的1

 一夜が明け、マルクスの櫓含むこの繁華街は賑わい始めていた。

 オークションが終わり、落ち着きを取り戻す頃、多くの人がこのソリティア国を後にする。だから、最後の買い物として立ち寄る人が多くなる様だ。

 

 商人からしてみれば商売時なのだが、櫓が未だ元通りにならないマルクスは店をたたんだままだった。それどころか、仮設テントの中で呑気に誠志郎達と話し込んでいた。


 仮設テントはそこそこに広くて、四人が机を囲んでそれぞれの今後について語っていた。

 マルクスは先陣を切り、話し始める。

「まずは俺から話そう。まあ、特に話す事なんてないんだが俺はこのままここに残る。カナと違って枷がない訳じゃないしな」

 誠志郎は寂しそうな表情を隠す事なく頷いた。

「わかった。マルクスの枷も俺がいつか外すからな」

 誠志郎がそう言うと、マルクスは首を横に振って断った。


「いや、俺はいいんだ」

 その発言に噛み付いたのは誠志郎でも、ノアでもなく…カナだった。

「ど言う事ですか!?マルクスさんも自由になりたいのではないのですか!?」

 カナが大きな声を出した為、誠志郎とノアは互いの目を見合わせて黙り込んだ。一方でマルクスは微かに笑みを浮かべていた。

「自由にはなりたいがな、それを全面的にセイシロウに頼むわけにはいかんだろ。せいしろうにだってやるべき事があるんだ。俺のことくらい俺でなんとか出来なければ、お前らと一緒にいる事すらおこがましい」


「駄目よ。私は救われたのにマルクスさんだけ奴隷のままなんて…」

 カナは頬を膨らませてプンスカ怒っていた。このままでは埒があかないと察したマルクは「なら、セイシロウの目的が終わったら俺も助けてくれ」と言葉を言い換え、大人の対応をしてみせた。

 すると、カナは視線をそらし「丸め込まれた」と呟いていた。


 その姿を見て誠志郎とノアとマルクスの三人は笑い合った。

 そして今度は不服そうに三人を見つめていたカナが話し始めた。

「じゃあ、私の今後について話します。私はやる事も行く当てもないのでセイシロウについて行こうかと思います。剣技がまだまだなセイシロウには剣技の修行を受けてもらいます。ノア君も受ける?」

 カナが優しくノアに尋ねると、ノアは悔しそうな笑みで首を横に振った。


「オイラはここに残ってマルクスの手伝いをするよ。今回の一件でオイラは自由なんだって分かったから、マルクスの手伝いがしたい」

 小さな少年の覚悟が一つ大きくなり、小さな心がまた少し成長を遂げていた。


 誠志郎は、ノアの選択を微笑ましく思う一方でマルクスの時同様、寂しそうな表情を隠す事なく頷いた。

「ノア、それが選択だ。自由じゃなければその選択の権利が無い」

「オイラ悩んだんだ、セイシロウやマルクスやカナと別れたく無い。でも、どちらかに分かれるとしたらどっちに付いて行こうかって、凄く悩んだんだ」

 ノアは涙ながらに語り始めて、三人はその立派な姿を静かに見届けた。

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