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あなたの隣に居たいから…5

 誠志郎達がマルクスの櫓についたのは昼時の事だった。

 身体中に傷を負っている誠志郎は意識を失うかのように眠りについたのだが、その間にマルクスとノアは櫓の修復と仮設テントの設置をしていた。

 カナは知名度が高過ぎるため、基本的には眠りについて起きやしない誠志郎のお守りだ。何かしなければ申し訳がないと言う本人の意思はマルクスに拒否された。だが、意外とこの退屈な時間が彼女には必要なのかもしれない。


 カナには色々とあり過ぎたのだから、一度頭の中で整理しておく必要がある。そうでないと、カナはこれからの自分の道を決めることができないのだろうから。

 


 日が暮れ、ノアとマルクスの活躍により櫓の修復は順調だった。それに仮説テントはすでに組み終わっていて誠志郎が呑気に眠っている。

 マルクスがパンを抱えてテントの中に入るとノアとカナも床に座っていた。何やら二人は思いつめている様でマルクスは気を使うべきか悩んだ。その末に選んだ答えは。


「おい、お二人さん!晩飯食おうぜ!」

 気さくに話しかけるマルクスの選択は正解だったのか、二人の表情が明るくなった。

 ノアとカナはマルクスからパンを受け取りかじりついた。

「うんまっ!」

 ノアが頬を抑えながらそう叫ぶと、マルクスは嬉しそうに「そうか!」といってパンにかじりついた。


 そして、マルクスも感激をしていた。

「お、確かにこれは美味いな!普通のパンの筈だがな」

 マルクスとノアが首を傾げていると、二人の横で号泣しながらパンを噛みしめているカナがいた。ノアもマルクスも心配そうな表情を向けているがカナは「大丈夫」とだけ呟きパンを飲み込んだ。


 カナは胸に手を当てながらノアとマルクスにお礼を言った。

「私を奴隷から救ってくださり、こんなに美味しいものも恵んでくださり、感謝してもしきれません」


 深々と頭を下げるカナにノアとマルクスは言った。

「貴方を救ったのはセイシロウです。パンは偶然美味かっただけです」

「まあオイラには感謝してくれてもいいぞ!ぶっちゃけた話、昨日の夜セイシロウとマルクスに置いてかれてめちゃくちゃ怖かった…。あと、パンは俺の手柄じゃない!」

「ノア…お前かっこ悪過ぎるぞ」

 そう言ってマルクスが笑っているとノアは、マルクスのパンにかぶりついた。


「あー!ノア!俺のパン返せ!」

「いいんだ!かっこ悪いのも人のパンを食べちゃうのも全部オイラなんだから!セイシロウがオイラの人生をオイラにくれたんだ!」

「いい話の様にも聞こえるが、パンだけは返せ!」

 パンを取り合う二人の姿を見て、カナの表情が少しだけ緩んだ。パンを奪い合っている二人はその事に気がつく気配すら無いのだが、それがまた良いのかもしれない。


 カナはパンを食べるのを止めてノアに敵と向き合っていた時の事を尋ねた。

「ノア君。君は怖いのに私の前に立ち敵である二人と向き合ったよね?あの時に言っていた事なんだけど、彼の隣にいるためには戦うことが必要なの?」 

 ノアはその問いかけにあっけらかんと答えた。

「 戦う必要はないと思う。でも、セイシロウってどこか頭のネジが飛んでる部分があるからさ、オイラが逃げてばかりじゃ、きっと身体中刺し傷で埋め尽くされちゃう。ほら!セイシロウって強いけど馬鹿だから良く刺されるんだよ!あはは!」


 ノアが照れ隠しも踏まえて愉快に話し込んでいると、その後ろで眠りについていた誠志郎が目を覚ましていた。

「ノア、言いたいことはそれだけか?」

 誠志郎の声がテント内に響き、ノアの顔は青ざめた。そして、ゴツンッ!というゲンコツ音が鳴り、誠志郎もパンを食べ始めたのだった。

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