あなたの隣に居たいから…4
誠志郎は三人のボロボロになった姿を見て笑っていた。
「みんな凄い怪我だな!アッハッハ!」
マルクスが呆れた表情で言う。
「お前が一番の怪我人だよ」
ノアは心配そうに、それでいて怒りながら言う。
「本当だよ!それ大丈夫なの?昨日からずっと傷付いてばっかで、少しはオイラ達を頼ってよ!」
ノアにそう言われると、誠志郎は笑って答える。
「だから、任せただろ?それにな、俺はもう逃げる力も無いんだ。みんな俺を頼んだ!」
そういって大笑いしているとカナが誠志郎の頭を強めに殴った。そして、直ぐに力強く抱きしめた。
「笑ってんじゃ無いわよ…バカ。ありがとうね、セイシロウ」
誠志郎は顔を赤らめつつも静かに頷いた。そして、傷だらけの皆に向き直り、青き双眸の輝きを見せた。
すると、皆の怪我が完治していった。この感覚を初めて経験するノアとマルクスは飛び上がってはしゃいでいた。
「何だこれ!オイラの骨が治ったぞ!」
「ああ、俺の首も治った」
喜ぶ二人とは裏腹にカナは冷たい表情をしていた。
誠志郎はローブで首元を隠し、ノアとマルクスの怪我の完治を一緒に喜んでいた。
「二人の怪我は俺の魔法で無条件に回復させた!だから、体力のなくなった俺をここから逃がしてくれ!」
「お安い御用だぜ、セイシロウ!」
「そうだぜ!オイラに任せとけだぜ!」
誠志郎はマルクスの大きな背中に身を委ね、動き出そうとしていないカナを大声で呼んだ。
「カナー!お前も早く来いよ!」
カナは浮かない表情をしていたが、元気に振る舞う誠志郎を見て緊張の糸が切れたのか笑い出した。そして、大きく手を振りながら三人の後を追った。
「三人共待ってー!私も行くから〜!」
こうして、オークション会場を敵地に変えた誠志郎の戦いは思惑通りに上手くいき完全勝利となった。
結果的にズタボロなのは誠志郎一人なのだが、それでも帰りの地下通路では話が大いに盛り上がった。
敵兵士に襲われることもあるが、その全てを全回復したカナとマルクスが蹴散らし、意図も簡単にマルクスの櫓に辿り着いた。この櫓はソリティア国とは別の国の櫓の為、他国の兵士は手を出す事が出来ない。
誠志郎は下の世界に降りて来てすぐ、厄災に飛び込み見事にやり遂げた。今は深い眠りについているが、目を覚ましてからは本来の目的である、回復に長けた魔法使いを探さねばならない。
上の世界に居るソリティアの命もそう長くは持たない。
頭では理解しているものの誠志郎はどこか甘く考えているのかもしれない。




