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不可解な進学校1

 東地区(ひがしちく)第一高等(だいいちこうとう)学校(がっこう)の門桜は咲き乱れ、宮嶋誠志郎(みやじませいしろう)が晴れ晴れ入学を果たした。

 誠志郎の入学を果たした東地区第一高等学校は巷では一高と呼ばれていて、近隣では一番の進学校だ。入学することは非常に困難で、受験をした生徒が千人いたら半分以上が落ちるという狭き門だ。


 一高は進学校と言うだけあって学力の高い者が多い。だが、それだけではなく頭の良い不良も多く集まって来るのだ。頭が良くて喧嘩も強くイかれた生徒も在籍している一高は犯罪者予備軍の溜まり場とも呼ばれている。


 東地区から出る世界的な犯罪者は、大体が一高出身なのだ。

 頭が良いからこそ、犯罪もより卑劣で強固なものになる。鬼に金棒と言ったところだろうか。

 そうはいっても、一高生徒の殆どは世界にも名を知らしめるほどの成功者になりうる才を持っている。


 これからは誠志郎もその内の一人に数えられるのだ。克二とソリティアはその事を心より喜んでいた。勿論、誠志郎も勉学に勤しみ目標であった高校に入学出来て喜んでいる。


 誠志郎は克二とソリティアに拾われるまで字すら書けなかった。小学校から教育を受けられるように克二が手配した。小学校に通えたことで辻道陸也(つじどうりくや)と言う唯一無二の友達も一人できた。

 誠志郎と辻堂はいじめられっ子同士だったから連んでいたら、いつの間にかものすごく仲良くなっていたと言う少し変わった友達だ。


 辻道はいつでも微かに口角を上げていて表情からは何も読み取らせない異質な雰囲気があり、腑抜けた声で今日もまた誠志郎の名を読んでいた。


「誠志郎〜。俺っちB組っち、誠志郎は何組っち?」

 馬鹿みたいな語尾に誠志郎は呆れてため息を漏らした。

「B組だよ」

 誠志郎は何も指摘したりしない、それが一番最適な対応だと知っているからだ。


 すると、辻道は無視された事を気にしてかふざけた語尾を強調して話し出した。

「俺っちと誠志郎っちは同じクラスっち、だっち!!」

 二ヒヒと笑っている辻道を前に誠志郎は根を折られた。

「どうしたんだよ。その語尾はおかしいだろ」


 辻道はよくぞ聞いてくれました!と言わんばかりの表情で意気揚々と説明を始めた。

「昨晩、一高に入学するにあたって、早く俺を覚えてもらうためには何かインパクトがなければいけない!と思ったから、語尾をっちにしてみる事にしたっち」

 誠志郎は我が友のアホさ加減を思い知り、今にでも寝込んでしまいそうだった。


「インパクトとか要らないと思うけど?」

 呆れながらも、なんとか会話を続けているようだ。

「いいや、インパクトがあれば彼女が出来る。よくいるだろう?入学一週間でカップルになって一ヶ月で破局する愚かな奴ら。あれは見かけだけで選ぶから続かない、それを知っていても、俺はその愚かな奴らのようになりたい」

「破局するなら意味ないじゃん」

 誠志郎は表情一つ変えずに淡々と返答した。すると、辻道がチッチッチっと舌を鳴らして不快感を扇ぐ。


「俺のような低スペックにとっては最大のチャンスだ。そして、それが偽物の一ヶ月だとしても構わない、その一ヶ月で俺の欲望を制覇してみせる!」

 誠志郎はまじまじと辻道を見た後に視線を逸らして呟いた。

「馬鹿か。学校は学びの場だぞ」

「ふうん?君がそれを言うのかい?」

「何だよ」

 誠志郎が表情を顰めると辻道は二ヒヒという独特な笑みを再び浮かべていた。

「一緒のクラスだぞ?」

「誰が?」

「おいおい、しらばっくれなくても良いだろう?俺は誠志郎が初恋を追って一高に入学した事知ってるんだぜ?」


 親友とは近くて頼りになる存在で、たまに近すぎてやかましい存在でもあると誠志郎は心底思っていた。だが、辻道の言う事が本当なら初恋の人…八浜美丘(やはまみおか)と同じクラスになっているのだ。それが誠志郎にとっては何よりも重要で喜ばしい事なのかもしれない。

 その証拠に誠志郎は柄にもなく頬を赤く染め口角は緩みきっている。辻道といい勝負が出来そうなほど間の抜けた顔をした誠志郎は、早足でB組の教室へと向かった。

 

次話へ続く!

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