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あなたの隣に居たいから…3

 立ち上がる力すら残ってはいない誠志郎の首元にシンが手を周した。次の瞬間にはマルクスと同じことになってしまうのだが、誰にもどうすることも出来やしない。

 敵側もそう持っているからこそ、ヨウザンが動かないのだろう。シンが勿体ぶってトドメを指すことを遅らせていると気が付いていても急かすそぶりすら無い。


 そこに、誠志郎は勝機を見て笑った。

「何がおかしいの?」

 シンも気味の悪い笑みを返して尋ねた。

「おかしいに決まってるだろ。出会って日は浅いが俺は知ってる…」

 誠志郎が意気揚々と答えると、シンは首を傾げ「それが最後の言葉ね」と呟き首に巻きつけた糸を勢いよく引っ張った。

 誠志郎の首周りを糸が加速し、切り刻まれる。そいう手筈だったのだろうがそう上手くはいかない。


 甘い匂いが香り、金色の髪の毛がふわっと浮く。

 誠志郎の首元から張り詰められた糸を、見事な剣捌きで切り落としたのはカナ・ウィリアムだった。

 驚きを隠せないシン、ヨウザンとは裏腹に、間近で見る女剣士の表情を誠志郎は愉快そうに笑って言葉にした。

「まるで狂犬だな!」

 すると、カナはすかさずツッコミを入れた。

「誰が狂犬ですか」

 

 誠志郎は切れかけた首を撫でながら立ち上がり、シンとヨウザンに言った。

「出会って日は浅いが俺は知っている…さっきの話の続きだがな、俺がここに来て初めて求めた三人は俺よりも遥かに強いぞ」

 ヨウザンは冷や汗をかきながらも言葉にした。

「そんな訳あるか!カナ・ウィリアムはさておき、そこのガキやデカブツが強い訳ないだろ!」

「いいや、強いね」

 誠志郎は躊躇う事もなく断言した。その瞬間、マルクスが立ち上がり、隠れていたはずのノアも姿を表した。


「首を切り落とされた訳じゃないんだ。死ぬ訳なかろう」

「オイラだってもう隠れるだけじゃないんだぞ!」


 ヨウザンがマルクスとノアに気を取られていると、シンの悲鳴声が響き渡った。

「どうした、シン!」

 ヨウザンがシンを見た時にはもう遅かった。


 シンはカナに対して手も足も出ないくらいに斬られていた。足に怪我を負っていても圧倒されてしまうその力に、シンは怯えていた。その怯えはヨウザンをも巻き込み、彼の震える声が虚しくもこの空間に広がった。

「な、なんでお前らの心は死なないんだ。何を原動力に…」


 ヨウザンがそう尋ねると、誠志郎、ノア、マルクス、ヨウザンの四人は声をそろえて言った。

()()!」

 そして、一瞬のうちにカナに斬られたヨウザンはシンと同じく意識を失った。


 圧倒的不利な状況下でも、誠志郎がこの場に現れた瞬間から勝敗が決まっていたのだろう。ノアもマルクスもカナも誠志郎の語る常識に救われたから、救ってくれた人が傷だらけならその身が枯れようとも力を出しきるのだ。だから彼らは簡単に負けることがないのかもしれない。

少しでも面白いと思われましたら、


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