あなたの隣に居たいから…1
誠志郎がウィリアム家と決着をつけた頃、カナとノアを連れたマルクスもまたスチュアート家の用心棒、黒髮の男と白髪の短髪女に足止めされていた。
マルクスは二人を守りながらの戦闘となり、防戦一方の持久戦となっていた。
「おい、デカブツ。お前が背負ってる子供に用がある。死にたくなければ子供だけおいていけ。そしてら見逃してやる」
黒髪の男がそう口にすると、白髪の短髪女が怒り出した。
「もう!ヨウザンは何言ってんの。私は三人共引きちぎりたいの!」
「黙れシン!スチュアート殿下には連れて来いとしか言われていない。殺してしまえば任務失敗だろう」
「でも、それはノア坊っちゃまのお話よね?二人は死んでもいいよね?それに、瀕死とはいえ、あのカナ・ウィリアムを殺れるんだよ。最高じゃない」
マルクスは会話を聞くだけで、この二人の脳が常人ではないと判断し、ノアを渡すこともカナを殺させることもしないと決意した。敵にとって、一番どうでもいい存在は自分なのだという自覚を持ち、マルクスは腰にかけた二本の刀を抜いた。
その姿を見たノアは涙ながらに声にする。
「マルクス駄目だよ。オイラを渡せば済むんだ。マルクス!」
ノアの声は痛いほどに届いていただろう。だからこそ、小さな子供が自分の犠牲を願ったからこそ、マルクスは負けない。
「さあ、まずは商人であり、元衛兵のマルクスがお相手致しましょう。お前らみたいないかれたガキンチョにノアもカナ・ウィリアムも渡さん!」
マルクスは二本の剣をクロスさせて敵に斬りかかった。だが、圧倒的にスピードが足りていない。
二人は難なくマルクスの刃を交わすと距離をとった。その瞬間黒髪の男であるヨウザンが一気に距離を詰め、マルクスが持つ二本の剣に触れた。
ヨウザンの瞳は赤く燃え上がり、剣を熱した。その熱がマルクスの手まで伝わるが剣を手放さなかった。
「デカブツさんさ〜熱くないの?」
「熱いから剣を離す臆病者に見えたのか?俺はお前らを切るまで剣を離さない」
マルクスが気合で剣を持っていると、それを嘲笑うかのように白髪の女であるシンが背後をとった。
マルクスの太い首に手を回し、何をするのかと思えば糸を巻き付けられていた。その糸をシンは無表情のまま引っ張った。すると、糸がマルクスの首を物凄い勢いで周りはじめ、血しぶきが舞った。
「あなたは所詮奴隷ですよね?捕まる男は皆弱いから捕まるのよ、つまり貴方は奴隷って時点でもう負けてるの」
マルクスは何も言い返せぬまま、膝から崩れ落ちた。
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