呪われた屋敷3
眠りについたせいしろうの頭を顎鬚のおじいさんが優しく撫でた。皺の一つ一つが威圧的だった時とは変わり、その表情は緩やかになっていた。そして、あれだけ横暴だったおじいさんは涙を流していた。
そこに、ひょこっと現れたのはソリティアだった。
この一件は、どうやらソリティアが絡んでいるようだった。
「エリティエ。せいしろうはどう?」
ソリティアが歩み寄り、顎鬚のおじいさんをエリティエと呼ぶと顎鬚のおじさんは口元で人差し指を立てた。その様子を見て、ソリティアは何かを思い出し、謝っていた。
「ごめんなさい、克二さん」
「ああ、今はまだ構わんよ。だが名前には気を付けてくれ」
「うん。それで、せいしろうは?」
せいしろうの頭に手を乗せてソリティアが尋ねた。すると、克二は溢れる涙を拭い力強く答えた。
「残念ながら目醒めてしまっているようだな」
水玉模様の華やかな一室は荒れ果て、二人の会話に重苦しい空気が流れた。
沈黙がしばらく続き、せいしろうに視線を落とした克二が何かを決めたように口元を動かす。
「この子を守ろう。私のバカ息子も、生きていたのならきっとそうする」
ソリティアは克二の決断を聞いて安堵のため息を漏らした。そして、涙ながらにせいしろうを抱え何度も何度も頷いていた。
やがてせいしろうが目を覚ました。起きた側から、殴ってきたおじさんにご対面という展開となり、警戒心を強めていた。だが、そこにソリティアがやってきてせいしろうは落ち着き始めた。
克二は頭を下げ、先ほどの仕打ちを謝罪した。子供の心とは開き易いものだが一度閉ざしてしまうと中々開いてはくれないものだ。そう思っていた克二は当分、口も聞いてもらえない事を覚悟していた。だが、せいしろうは克二の予想とは異なる言葉を口にした。
「おじさんは優しい人なのかも知れないと僕は思う」
「え?」
その言葉を聞いて克二は目を大きく見開いていた。
「最後に、おじさんがギュってしてくれた時。ソリティアと同じだった。でも、僕のお母さんだって二人と同じように僕を抱きしめてくれたんだよ?いつも、ごめんね?って言っていたけど」
克二はそうか、そうか、と呟くと再びせいしろうを強く抱きしめた。
この日を境にせいしろう、ソリティア、克二は義家族となった。




