表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/81

侵入、奴隷の檻3

 地下へと続く階段は十数段程で、すぐに平地に着いた。

 そして、そこで目にしたのは地下道に沿って列を成す奴隷になる人々だった。老若男女関係なく、ボロ雑巾のような服を着せられていて、その足には枷がしてあった。


「あの女性と同じだな」

 誠志郎がそう呟くも、真横にいる人達は見向きもしなかった。それどころか、小さな子供には怯えられてしまったようだ。

 数秒遅れて、マルクスとノアが誠志郎と合流した。


「おい、セイシロウ。あまり突っ走るな」

「ああ、ごめん」

 二人がそんな他愛のない会話をしている最中、この冷たい空間に流れる重苦しい空気と奴隷達のゆがんだ表情を前にノアが足を震わせていた。


 老人は目が充血し骨の上にかろうじて皮がある状態だ。

 若い男と子供達は顔中傷だらけ。若い女性は露出部分には傷がないものの、足などには火傷の跡や切り傷が生々しく残っている。


 ノアは思った。彼、彼女らは幸せなんかじゃない。


 誠志郎は目を背けてしまいそうになるノアの肩に手を置いた。

「俺はこの世界の仕組みがよく分からん。でもな、この光景を当たり前にしちゃいけねーんだよ。奴隷は自由になれない」

 誠志郎の発言に奴隷達の眼光が集まった。何か言いたげな不服なその表情がノアの幼き胸に突き刺さった。


「ねえ、セイシロウ、マルクス」

 誠志郎とマルクスはノアの言葉に耳を傾けた。

「ここにいる皆を助けられないかな?」

 ノアがそう呟いた時、近くにいた老人が口を開いた。


「余計な事だけはやめとくれ侵入者ども。今更、自由にされたところで何もできはせん。お主達がワシを養えるほどの富豪にも見えんしな」

 ノアが珍しく喰いかかった。

「でも、こんなの幸せじゃない」

 すると、老人はゆっくり口角を上げていき微笑んだ。


「いいか?人ってのは抱えきれる人数が決まってる。その人数ってのは人それぞれだが、この奴隷の数を全て背負えるものなどいない。気持ちは嬉しいが、自分の救いたい人だけを救っていけ。それがこの老いぼれが若きお主らに言えることだ」

「でも…」

「分かったらさっさと出て行け。監視に見つかれば只では済まんぞ?」


 ノアは肩を落とし、昼間の女性を探すべく歩き出し、その小さな体をマルクスが支えていた。

 誠志郎は前へ進んでいく二人の背中を見ながら老人に話しかけた。


「爺さん。この辺で回復に長けた魔法使いを知らないか?」

「それを何故、ワシに聞く?」

 老人の問いに誠志郎は迷いなく答えた。

「知ってそうだから」

 すると、老人はヒッヒッヒと籠った笑い声を上げた。


「ここはソリティア国。ここより西側にある島。そこにはディア国と言って血の気の多い戦闘好きの集まる国がある。その国を牛耳るは()()()()使()()の一人である()()()()()。彼女ならば、回復だろうが戦闘だろうがお手の物だろう。まあ、力を貸してくれることはまずないがな」

「五代魔法使いか。それがなんなのかは分からないけど、とにかくそのディアってやつなら回復が出来るって事だな…ありがとう。俺本来の目的が終わったら、この国は必ず救ってやるから、死ぬなよ爺さん」


 誠志郎はそう言い残し、二人の後を追った。


()()()()()()()がお前の賭けた最後の希望というわけだな…目を見れば分かるぞ。ヒッヒッヒ」

少しでも面白いと思われましたら、


ブックマーク・★お願いします!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ