この世界の創造者1
重たいリュックサックを背負い、右手にはノアの小さな手を握り締めせいしろうは換金所に訪れていた。
「おう、ノア!ん?なんだこの兄ちゃんは、余所者だろ」
あまり大きくはない櫓から商人であろうおじさんが出てきた。首には大きなネックレス?の様なものを巻き付け、長い顎鬚をクシクシと掻きながら、誠志郎の顔を睨んでいた。
「は、初めまして」と誠志郎は挨拶をして見るが良い印象は与えられず、商人の形相は悪くなって行くばかりだった。この人の知り合いであろうノアが一言弁解してくれればいいのだが、先ほどから極端に元気をなくしている様で使い物にはならない。
そうとは思いつつも誠志郎が縋れるのはこの小さな少年だけなのだ。
「おい、ノア。何か説明してやってくれよ」
誠志郎が頼み込むと、ノアはハッとなり商人のおじさんに話し出す。
「この人は悪い人じゃない。オイラの誕生日ケーキを買う為に荷物を換金してくれるんだ」
「ほーう。荷物は随分と多いみたいだな。まあ、俺はノアの親代わりみたいなもんだからな、ノアの頼みならお前の荷物を査定してやろう。ただし、価値のないものに金は付けない、例え創造者の荷物だとしてもな」
ノアは呆れた様に商人を見つめて言った。
「おいさん、いつか創造者様に裁かれるよ?」
そんな言葉を受けて商人はダハハハと大笑いしていた。このやり取りが周囲にの人間の足を止めさせている様にも思えた。
この街でこの商人は少しばかり浮いた存在なのかも知れない。その証拠にノアを含めた多くの人は呆れるようにため息を漏らして再び動き始めていた。これが日常化のように思える。
だが、今日は一味違った。皆の足を再び止める発言が誠志郎によって放たれたのだ。
「創造者とかどうでもいいだろ。そんな変な奴よりも目先の金だ!早く換金してくれ」
辺りが凍り付いたかのように静まり返った。ノアは下顎をガクガクと震えさせ、周囲の人間は大きく目を見開いて突っ立っていた。
「ダハハハハ!お前、中々におもしれーな!気に入った中入れ!」
そう言って、震えたまま動かないノアを商人は一掴みして中へ連れて行った。誠志郎も何食わぬ顔でその後を追って行った。
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