新たな出会い2
誠志郎は目的を果たすためにはまず、下準備が必要だと考えていた。何しろ、この世界のことを何も知らないし、どれだけ上手くいったとしても数週間はここで生きていかなければいけない。生活の基盤が必要だった。
誠志郎は繁華街を歩き回りながらもお金の作り方を考えていた。
『そもそも、ここではお金をなんて呼ぶんだ?』
そう思った所で誠志郎は何も知らない土地に疲れを感じ始めた。脇道の壁際に重たいリュックサックを置き、ため息を漏らす。
「周りの言葉が分かるから言語は同じだろうけど、それ以外はまるで違うなぁ」
繁華街の人達は一休みしている誠志郎をじろじろ見ながら、小さな声で囁いている。きっと、服装が違うからなのだろう。
いいや、大きくは変わらないのだが誠志郎と唯一違うのがローブを纏っているかどうかだ。それだけで視線を浴びるのだろうかとも思うが、どこを見渡してみてもローブを纏っていないのは誠志郎だけ。それに、ローブの中に来ている服装は人それぞれで誠志郎のいた世界と変わりない。
誠志郎はそのことに薄々感づいているようで、衣類を売っているところは無いものかと辺りを見渡していた。だが、この近辺にはないようで一旦は諦める事にした。
「仕方ない、そろそろ行くか…」
誠志郎が力なく呟きリュックサックを手に掛けようとした時だ。
「あれ、ない。ないぞ、リュックが無い」
辺りを見渡しても見つからない。それはそうだろう、かなりの大きさなのだから見落としているなんて事はあり得ない、となると盗まれた以外には考えられない。
「ちょっと目を離した隙に置き引きかよ。ここは治安があまりよろしく無いんだな、うん…。って違うだろっ!あのリュックには食料と金目の物があんだぞ、あれ無いと俺死ぬんだぞ!」
頭を抱え喚いている誠志郎は周囲からの視線を強く浴びているのだが、それどころでは無いせいか気が付いてない。そして、絶望を味わいながら誠志郎は膝から崩れ落ちた。
「終わった…いや、終わってない。俺はここから這い上がる。それしかないしな」
何とか前向きになろうとするも表情は曇り切っていて顔色なんかは真っ青だった。その時、誠志郎に影がかかり、大きなリュックサックが横にボフッと置かれた。
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