新たな出会い1
まばゆい光の中を抜けると、そこは忘れもしないソリティアの部屋だった。
「は、ここって。え、夢?」
誠志郎は進んだはずなのに屋敷に戻っていてしまったと思い、狼狽えていた。右を見て、左を見て、上を見て、下を見て。どこを見てもここがソリティの部屋だということには変わりがなかった。
数十秒ほど固まった誠志郎は窓の外を見ることにした。そして、漸く気がついた。
この部屋は下の世界の一室だということに。
窓の外を見てみると、正面には霧がかかるくらいに大きな城があり、その梺のあたりは繁華街になっていた。人がうじゃうじゃといるが、衣服や建物の感じからして誠志郎の知る世界とは別物だった。
「本当にこんな世界があったのか」
目には見えているものの、実感が湧いてこないようで、この部屋を飛び出た。幸いなことに誠志郎の住んできた屋敷と全く同じ作りだったため迷うこともなく玄関へたどり着いていた。
慣れ親しんだ大きな扉を開き、誠志郎は庭に出た。すると、警報音が鳴り出した。
「え?」
直様、鎧を身にまとった剣士のような男達に囲まれいきなり絶体絶命の危機に迫られてしまう。
「ちょっと聞いてくれ、俺は何もしてない」
誠志郎は弁解しようと思うが、聞く耳を持って貰えそうになかった。
男達は剣を振り回して誠志郎に襲いかかった。誠志郎を取り囲んだのは五人で、全方位取られている状況だ。その癖、一斉攻撃なのだから成すすべなどない。誠志郎はそう思っていたのだが予想外なことが起きていた。
『こいつらの剣が遅く見える』
瞬時に正面と左右にいる男の動きを予測し、剣など見ずに華麗に避けた。その流れのまま誠志郎は背後の二人を視界に入れた。この二人は既に剣を振り下ろし始めていて、その剣を目で追いながらも楽々と交わした。
そして、剣の振り下ろし際にカウンターとして拳を顔面めがけて叩きつけた。
園庭内に鈍い音が響き渡り、誠志郎が発狂した。
「い、痛ってえーー!」
誠志郎が相手にしているのは頭から足の先まで鎧を纏っている奴だ、生身の拳を当てればダメージを食らうのは自分の方に決まっている。その姿に男達はあっけにとられていた。
その隙に誠志郎は逃げ去った。血が吹き出る拳を撫で涙を流しながら屋敷の門を飛び抜けていった。
「クッソ。ついつい殴っちゃったけど、相手が鎧じゃ怪我すんのは俺だよな。もしかして俺って馬鹿なの?いや、そんな事はない、何故なら俺は名門高校の生徒だから!いや、でも元々は頭悪いし、本質は馬鹿なのか?」
自問自答を繰り返しながらも、誠志郎は逃亡に成功し、城下の繁華街へ訪れていた。拳から流れる血は止まったものの骨の髄から痛みが響いていた。
「氷か何か売ってないかな。てか、俺金ないじゃん」
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