第1夜 冒険の始まり
今日もよく頑張りましたおれ!おやすみ!
おれは寝ることが大好きな高校生の山本タケル。
なぜ寝ることが大好きなのかと言うと、夢の中ではおれも主人公になれるからだ。
現実世界では控えめというか、大人しめというか。
とにかく、あまり目立たない部類の人間なのだ。
顔面偏差値は55くらいかな?多分そのくらい。
学校に行き、授業を受け、課題をやるだけの毎日。
友達もあまりいないので、学校はあまり楽しい場所ではないのだ。
そんなおれの唯一楽しみなことといえば、寝ること!
昨日はカッコイイ剣を持ってカッコイイスキルを使ってカッコイイ魔王を倒す夢を見たな〜!
今日も楽しい夢を見るぞー!おやすみ!
すや……すや……カアァァァァァ(いびき)
黒い霧が消えてきた……眩しっ!
綺麗な空だ。うむ、くるしゅうない!
おれは眠りに落ちて夢の中に来れたようだ。
今日も楽しもうぜ、おれ!
気づいたらおれマッパ!?アソコに葉っぱが1枚だけあるが……えらい昔のようなスタイルだな。
歩いたりしても外れない。おかしいと思ったが夢の中だし何でもアリなのだろう。
装備品というものなのだろうか?
というか、これはまずい!夢の中だと言っても、マッパに葉っぱ1枚はまずい!
まずは服を調達しよう。
というか、自分の夢の中だし服くらい自由に作って装備できるんじゃ無いのか?
そう思い試してはみたが、やはり成功しなかった。
自分の夢の中といっても、夢の内容は制御出来ないのだ。
故に、毎日見てる夢もバラバラなのだ。
ただ、夢の中は結構リアルだし、人間の脳はすごい!と日々痛感している。
うむ、どうしたものか。服の代わりになる物を探すのは良いが、この姿で人に出会したくはない。いや出会わせない。
あ、そうそう!スキルとかはないのか?色々やって見るか!人目のなさそうな場所で。
そう言って、おれは人目の無さそうな場所を探し、森林へとたどり着いた。
その場所で、おれは無造作に手を前方に突き出したり、ジャンプしてカッコつけたりしてみた。
「荒れ狂う爆風を纏いし勇者、やまもと見参なり!」
色々試してはみたが、何も起きなかった。
スキルなんてものはないのだろうか?
適当にジャンプしながらそう思った時、おれの周りに急に草が生え始めた。
なんだこれは?もしかしておれのスキルか!?
山本は嬉しさのあまり、無意識にオタ芸を繰り出した。すると、なんということでしょう!
先程周りに生えた草が、急成長をしたではないか!
こんなに草があれば、我の服代わりになる物を作れるのではないか!?
オタクの性がでたあまり、無意識に一人称が我となっていた。だが山本はそれに気付かない。自分の世界に入り込んでいるからだ。
彼は中二病なのだ。高校生だが、中二病なのだ。
そしておれは服代わりになる物を手に入れ、辺りの散策へ向かった。
「取り敢えず、森の中にいるので森を抜けてみようぜ山本!」
「うん、そうだね山本!貴様の言う通りだよ!頑張ろうね!」
「貴様!?」
一人二役でブツブツ独り言を言いながら、山本は森を散策した。
「しかしこの森は広いな〜、地面も茂みだらけで歩きづらいでござる!あ、こんな所にキノコが」
テッテレー!山本はキノコを発見した!
「赤色のキノコと紫色のキノコ、2種類生えてるな。てか、紫の方明らかに食べたら死ぬだろこれ!なんか変なオーラが出てるように見えるんですけど!」
山本はノリツッコミをした。
「うむ、そう言えばしばらく何も食べてなかったでござるな。赤色の方は食べれそうだし、食べてみよう!いただきマース!がぶっ」
山本は赤色のキノコを捕食した。
「くちゃくちゃ、うむ、味は悪くないな。結構行けるぞコレ!いっぱい探して採取しておこう!」
「……アレ?やべっ!腹がぁぁぁ!モレルゥゥ!やべっやべっやべっやべ」
これはもしかして食べられませんだったのか?やってしまった!緊急事態発生!只今より辺りを散策しようクエストを棄権し、無事にトイレを済ませろ!緊急クエストを受注します!
山本はお尻を抑え、プルプル震えながらトイレを探して森をさまよった。
てゆーか、森にトイレなんてなくね?人もいなそうだし野グ〇でもいいんじゃね!?やべっ!なんか興奮してきた!
おれは周囲を確認し、人がいないのを確認してから地面におしりを突き出した。
「あんちゃん、どうしたんだ?ケツなんかだして(笑)」
見上げると、ボロボロの服を着た「The 漢」って感じのおっさんが立っていた。
おれは顔面蒼白になった。そしてすぐさま服(草)でおしりを隠した。
「じ、実はですね〜つまづいて転んでしまった時に私の服(草)が脱げてしまいましてね〜」
何事も無かったかのような顔で、無理のある嘘をつく山本。
「ああ、そうだったのか。俺もそれたまにあるぞ!(笑)」
いやねーだろ!このおっさん頭おかしいのか!?いや、おれが言えたことじゃないんだけどね。
だが、悪い人では無さそうだ。
う〇こを我慢しているおれは、足を小刻みに震えさせながら言った。
「おっちゃん……実はさ、おれトイレ探してるんだけど何処にあるか知らない?」
「ん、トイレ?用を足すならそこの葉っぱの上にでもするといいんじゃないか?」
えぇーー!?このおっさん、やっぱり頭おかしいわ!心無しかバカにされているようにも思うし……さっきのおれの感は当たってたようだ。
……いや、待てよ?この夢の世界ではトイレなんてないのかもしれない。野グ〇が普通なのかも?
ここは話が分かったようにおっさんに合わせておこう。
「あ、ああ〜この葉っぱは中々良い葉っぱだなあ〜!おっちゃんありがとな!この葉っぱの上にう〇こするぜ!」
そしておれは無造作におしりを地面に突き出した。
「ちょ、ちょマテヨ!さっきのは冗談に決まってるだろ(笑)あんちゃん。トイレが使いたいなら、俺ん家来るかい?」
山本は顔が真っ赤になる。
それもそうだ。見知らぬおっさんにおしりを2回も見せたのだ。
「……お願いします。」
だが、その恥ずかしさも押し殺し、今はう〇こをすることだけに集中していた。