軽く掴んだつもりなのに、、、
「シーくん、ミラさん?てどういう人なの?」
「もう、シーくんと言われることには突っ込まないがミラは、ハーフだ」
「仲良いの?」
「まぁ、な」
そう言うとシーくんは、少し顔を赤らめた。
「好きなんだね」
「ち、ちげーし。勘違いすんな!」
私が言うと顔を真っ赤にした。
図星だったんだ。
まぁ、あの子いかにもヒロイン感があったもんね。
確かクラスは、D組だったはず。
「ここ」
「ん?あぁ、D組はここなのか」
中を覗いて見ると、男子の固まりがあった。
多分、あそこにいると思う。
シーくんも不機嫌そうな顔で見てるし。
「あ、あのぉ」
いつの間にか、私の目の前にショートで黒髪の女の子がいた。
「このクラスに、な、何か用ですか?」
その女の子は、少し顔を赤らめながらそう聞いてきた。
人見知りなのかな?
「ミラという女の子を探してる、の」
「あ、あぁ。ミラさんですか。ミラさんならあそこの男子の固まりの中にいますよ」
その女の子は、ミラという名前を聞いたとき少しショックを受けたような顔をした。
「ありがとう」
「い、いえ。あ、あの!」
「なに?」
「や、やっぱりなんでもないです」
「そう?」
なんかもじもじしてる。
少し可愛いな。
「あう、」
気づいたら頭を撫でていた。
本当に、気づいたらだよ!
恐ろしい子だわぁ、いつか友達に慣れれば良いな。
「ちょっと俺、行ってくる」
シーくんは、そう言って向かって行った。
「ちょっと、そこにいるミラに用事があるんだが退いてくれ」
「あぁ?ミラさんに用事があるのか?」
「そうだが」
うわぁ、貴族ぽいけどガラ悪い。
「俺様達以外、ミラさんに触らせねぇよ」
「そうだ!」「出ていけ!」
子分みたいに周りの男子も言ってるし。
皆んな、まとまるのはや過ぎない?
まだ入学式が終わって1日も経っていないんだよ。
ザ、リア充は凄いなぁ。
あ、でも彼女いないからミラさんにあつまるのかぁ。悲しくない?
私がそんな事を考えていると、さっきより空気が悪くなっていた。
「しかもさっき、ミラさんを呼び捨てにしたな」
「兄貴、やっちまえ」「そうだ、そうだ!」
兄貴と呼ばれたリア充貴族野郎は、右手をぐうにして振り上げた。
あ、ヤバいなこれ。
そう思った私は、駆け出していた。
俺はヤバいと思った。
これは殴られると思った。
これだから貴族は、嫌いなんだ。
「オラァ」
俺は、歯を食いしばった。
ガシッ
「ああぁ!!?いだい、放せ!!」
そう、鈍い音が聴こえた瞬間貴族の方が叫んでいた。
目を開けて見ると小夜さんが俺を殴ろうとしていた貴族の腕を掴んでいた。
貴族は、その太い腕で小夜さんの腕を振り外そうとしていたが、小夜さんの手はビクともせず、くい込んでいて血が出ているのがわかる。
「おい!放せって言っているだろ!!いで!?」
「あ?」
小夜さんのドスの効いた声でその貴族は、静かになった。
正直、背筋が凍るほど怖かった。
「す、すみません!もうじません!な、なのではなじでぐださい!」
ずっと睨まれていた貴族は、涙や鼻水を流しなからそう言った。
「仲良く、ね」
小夜さんはそう言うと、貴族を放した。
よく見ると、貴族の腕が人の手形に蒼く痣が出来ていた。
どんだけの握力で掴んでいたんだろう、と思ってしまったことは秘密だ。
私は、少しかっこいいと思った。
あのとき、美人で優しく頭を撫でてくれたあの人が、友達のためにあそこまでキレるところにもドキドキした。
でも、怖かった。
私はあの人と友達になりたいと本気で思った。
その後、もうお昼どころではなくなり、気まずくなった私は教室に戻った。
後ろでシーくんが何かを言っていたけど聞こえなかった。
昼休みが終わったあと、そのまま解散らしく、私は1人真っ直ぐ家へと向かった。
夜。
本当に、やらかした。
やった事は悪いとは思っていない。
ただ、もっといい方法があったのではないのか?そう悩んでしまう。
あー、ないない!
忘れよう!うん、明日どうにかなるか。
そうして、私は考えるのを諦めた。