第四話 仲間がいない!
意気揚々と広場に向かった俺を迎えたのは敵に向ける様な視線とピリピリした空気だった。悟ってしまった。ここに仲間はいない。直ぐに武器庫に行くべきだと。即断即決!武器庫へGO! そして、走る。言うまでもなく武器庫へ、だ。しかし、魔族は身体能力が高く、
直ぐについてしまう。もうちょい考えていたかったが、まずは武器を選ぼう!でも、選ぶ必要は無かった。棍棒しか無かったのだ。
いや、棍棒だけ?弓矢ぐらい有ると思ってたのに。まあ無いもんは無い。こうなりゃ自分で作ろう…まあ作れる物なんて槍ぐらいだろうけど、あの広場の視線にはもう晒されたく無い。取り敢えず裏の松林へ。……槍って木の枝折って石くっつけりゃ良いか。よし!
先ずは長くて固い枝探して…確か切れ込みだっけ。そこに割った石を入れて、蔓とかを使って固定。まあこれでいっか。そして!
ここでスキル[解析]の出番だ![解析]!
『名称:槍 材料:木・石・蔓 耐久性:低 特殊効果:なし 総合評価:かなり低い』 かなり低い、か、まあ初めてだしこんなもんでしょ。まあできたしちょっと使えるか試すか。先ず、突く。薙ぐ。うん、いい感じ。
続いて払い。上段、下段。よし、出来た。後はこれを連続させて出来る様にすればOK。
後はギフトの使い方。硬化を関節以外にかけて動く練習。そして、それらを組み合わせての戦闘訓練。うん、行けそう。明日は集落の大人たちと組手をして試してみよう。すっかり辺りも暗くなってきたし帰るか。
だが、平穏無事に過ごしていた俺の帰りを待っていたのは美味しいご飯でもあったかいお風呂でもなく、「ちょっと顔貸せや」というカツアゲの定番セリフと俺を囲む様に立つ三人の俺と同じぐらいの同族だった。
「ちょいとテメェに聞きたいことがあるんだよ。先ずはこっちで話そうぜ。」そして、一人目が俺を人気が無いところに連れ込み、「なあ、お前防御能力者だよな。」
は?何こいつ。なんか超雑魚っぽいんだけど。なんか変なファッションしてるし。
ドクロ?なんか世紀末の雑魚っぽい。
「なんなのこいつら。アレな奴らだな。関わんない方がいいか。」
ヤベェ。心の声が漏れた。
「なぁ!?兄貴、こいつ防御系のくせに俺達の事舐めてますぜ。ちょっとシメてやりましょうや。」
「そうですぜ。キッチリ教育してやりましょう。」
「そんな雑魚、好きにさせとけ。でもよ、お前…ここまで馬鹿にしといて何も無しってことはないよな?」
「…ていっ!」
腹を思い切り蹴って逃げる。理由は…なんか腹立ったから。
「グフゥ!? て、てめえら追えっ!」
「「待ちやがれ、おい!」」
なんか聞こえた気がしたな。まあ聞こえたとしても待たないけど。
とりあえずこのまま逃げても追いつかれるな。林に戻るか。
林なら視線も通らない。
それにしても、結構時間経ってるのに何も無いという事は、この世界がゲームって可能性は無くなったな…まあ、今日はもう暗くなっているし、休みますか。勿論、隠れて。