行きはよいよい、帰れない。
登ったは良いがけど降りられないなんて事ありません?そんな事になる人馬鹿だと思ってましたが今自分が正にそのまんまの状況になってます。そうだよ!俺もその『馬鹿』の一人だったんだよ!
いや今はどう降りるかを考えよう。…もういい。飛び降りる。せいっ!
まあ足首がグッキリ逝きました。魔族は20m以上のとこから飛び降りても足首がグッキリと逝くだけ。なんと強固な。
しかしそんな事はどーでも良い!第二の故郷に無事?帰って来たのだから。
だーれかー。変だな。静かすぎるでしょ。真っ昼間だよ。勿論生活サイクルは人と同じだから寝てる筈は無い。ドユコト?ん?何か記憶にある村と違う?え?まさかここ違う村?
まじですか。でも道に足跡がうっすら残ってる。なら、この村に魔族は住んでいたが、最近何らかの事情によりいなくなった?取り敢えず道なりに進もう。と思ったけど日がくれて来たのでそこら辺のお宅にお邪魔して寝よう。ベッドがわら製で痛い。こんなんで寝られるのは化け物だな。
〜〜〜
お早うございます。聞いてるやついないけど。
さて。今日は道なりに進む。まあもしかしたら他の村に続いてないかって言う希望的観測に従う。
歩きながら考える。何でこの村が廃村になったのか。別に何か致命的な問題がありそうでも無いし。
に家がぶっ壊されてる訳でもなく。謎だなぁ。よし。この話終わり。
スキルのレベル上げでもするか。そこらへんの物解析。
『ジュラ草』『ジュラの木』『光苔』『ゴブリン』『ホブゴブリン』『ゴブリン』
あ、いつぞやの汚い生物。やっぱりゴブリンだったのか。でもこっちのゴブリンは意外と綺麗。
住処の差かな?まあどうでも良いけど。石、石、あった。ちょっとカーブ投げてみよう。
何するのかもう分かったでしょ?喰らえ!おお、素人でも魔族の体でなら曲がるんだね。
命中!残りはゴブリン二体。ちょっと的が小さいけど投石。これも命中。
流石に気付かれたか。こっち来た。でも真っ直ぐ向かって来るゴブリンなんて唯の的。
いやちょっと待て何だその禍々しい盾は!絶対ゴブリンが持つモンじゃねえ!!
触ったらアウトの類いかもしれんし木の幹に粘着でくっ付いて退散。そして石投げ最後の一投。
まあ盾に当たった瞬間砕けて散りました。文字通り粉砕。粉微塵。
と言うかあのゴブリン棍棒でこの大木折ろうとしてんのか?
無理だろ。馬鹿なの?馬鹿なんだね?まあこっちは好都合。
あの馬鹿が頑張ってる間に木の枝集めれるし。そして木の枝は一気に頭上から投げつける。
盾がいくら強くても盾は盾。例外もあるけど構えた方しか守れない。
そしてあの馬鹿は盾を木に向かって構えてる。つまりモロに木の枝がぶつかる。
たかが木の枝、されど木の枝。これだけの高さから投げつければかなり痛いし数本刺さる。
「アアアァアアアアアア!ゴブゥ!ゴォォ…」
死にはしないけど、まあ頭に枝が刺さるんだから相当痛い。
この隙にっと。弾薬補充。そして投げる。盾に当たった石は砕けるけど、一つだけは砕けずに命中する。盾が強いなら盾以外の所を攻撃すればいいじゃないか!魔球だ!唯魔族の身体能力で滅茶苦茶に回転をかけただけのインチキ魔球。でも野球と違って正確なボールコントロールが要るわけじゃ無いしただ敵に当てれば良いだけ。魔族なら簡単だぜ。
そしてゴブリン如きが魔球を止められる筈もない。もうこうなったら楽勝モード。
投げて、投げて、近づいて来たら退がってまた投げる。
何かゴブリンの顔腫れて膨れ上がって気持ち悪い。腫れた原因は俺だけど。
あっ。逃げた。じゃあサクッと止めさすか。盾構えて向かって来るゴブリンならいざ知らず。
ただ逃げるだけのゴブリンなんてただの的。投石。そしてもちろん命中。
そして盾を回収。背負ってまた歩く…道どっち?どうしよ。また迷子。
あ。そうだ。もしもし!
「自分で考えてください。」
「えっまだ何も言ってない…」
ツー、ツー。
切れた。そういえばここ電波も何も無いはずだけど通じるって不思議。
まあファンタジーだからか。便利な言葉。ファンタジー。
いやそうじゃなくて、道を探さないと。しかし生まれて半年程度の奴に土地勘ある訳も無く、完全なる迷子
になる。どうしてこうなった?
だが俺には切り札がある!木に登るというな!
が、しかし道見えず。前回村を見つけたのはその周りの木々が伐採されていたからで道の周りは鬱蒼と茂る謎の草花。見つかる訳がありませんな。
よし。こうなったらサインを置きながら歩いてこう。じゃあ手っ取り早く木に矢印を付けて。
木にいくつか印を付けて歩いて行く。
あれ?ここに矢印。つまり戻って来た?いやおかしい。木が太くて多少曲がったってまだ十分も経ってないのに…前世の常識が通じない。けどそれなら前世に無かったものが原因って訳だ。
幻術?感覚がおかしくなってる?それとも木に細工がしてある?
考えろ。まず幻術なら俺がつけた印まで再現されるのは変だ。高性能すぎる。そんなことが出来るならとっとと攻撃すればいい。不殺に目覚めたりしてるなら戻って来させる必要が無い。
感覚がおかしい?確かギフトに精神攻撃無効が有ったはず。 催眠術の類いじゃない…はず。
木に細工?解析。疑わしい所無し。
分からない。何で…取り敢えずもう一回進もう。
※ ※ ※
また戻って来た。しかも手がかり無し。詰んでね?
ああっ!もう!この!
ミシャッ。
ん?蹴った木が動いた?まさか。地面に線をつける。そして、目を離せば。
少し位置がずれてる。
実に単純なトリックだった。単純だけど見破り難い。
俺が戻ったんじゃ無くて、木が動いてた。気づく訳がない。
よし。トリックが分かればもう真っ直ぐ進むのみ。
とまあ歩いている訳ですが。流石に木に穴開けて進むわけにもいかないので、少々曲がってしまう。
しかも何か霧出てきた。それも濃霧レベル。どんだけ厳重に守られてんのさ。
もしかしたらお宝とか有ったりして。しっかし霧濃すぎだろう。
もう1メートル先も見えない。けど…霧薄くなってきてない?
! 霧が晴れた。そして今度も村。と、敵意。見た目は魔族だけど…取り敢えず手ぇ上げとこ。
「動くな!お前は客か?それとも敵か?」
「どちらかと言えば客です。」
合ってる?この答え方で合ってる?
「そうか。なら入れ。」
えっ?そんな簡単に信用してくれるの?俺が嘘ついてるとか考えないのかな。
「俺が嘘ついてるとか考えないのかな。って思っただろ?」
「え?何で?」
「まあそんな事より久しぶりの客だ。みんな出てこい!」
いや結構気になる。っていっぱい出て来た!4…50人はいる。子供は10人ぐらい。
「で、何処の部族だ?」
「え?部族?」
なにそれぇ。そんな事知らん。
「いや部族だよ部…知らないのか。じゃあ族長の名前は?」
えーと。確かダ…ダルコス。
「ダルコスです。」
「ダルコスか。じゃあこうぐるっと回って来たか。それにしてもこんな距離よく来たな。ま、今日はここで休め。明日返してやる。」
「ありがとうございます。」
ああ何んていい人たちだろう。美味しいごはんにあったかい布団。しかも道も教えてくれる。
と、この時までそう思ってたのに。