砂漠を横断する二人の死人(シビト)
スキルトは気付く、出立の準備を整え終えた時にアイリアが裸足なのに、そしてそれを指摘する。
「アイリア、裸足で大丈夫なのかい?・・素足だと痛いだろう?」
「ううん?全っ然、痛くないよっ?」
スキルトがそう問うと、アイリアは平気な顔で別に痛くないと言うが、やはり何か履かせた方が良いとスキルトは思う。
・・アイリアはああ言っているが何か履かせないと駄目だな?・・・何か良い物はあるかな・・・・・・
スキルトが辺りを見回して履き物を探すとチンピラ二人組の死体が目に入った。
「あれなら!?アイリアにも履けるだろう、よしっ悪いけど貰うよ」
二人組のチンピラの死体の内、モヒカンの死体からスキルトは古タイヤを溶かして作られたボロいサンダルを剥ぎ取り、アフロヘアーのチンピラからは両腕と両足に靴下と手袋代わりに巻き付けられた灰色の包帯を剥ぎ取るとそれをアイリアに渡す。
「アイリア!これを付けて見てっ」
「これ・・を?・・・」
スキルトがそう催促すると、アイリアは早速腕と足に灰色の包帯を巻き付けて行く、
「どう?・・似合う?」
そして包帯を巻き付けたアイリアは、自らの腕と足をくるりと回したり伸ばしたりして、ポーズを取り恥ずかしそうに若干顔を紅潮させながらスキルトの方を向いた。
「アイリア、似合ってるよっ」
「えへへ?そうかなぁ~♥」
スキルトが褒めると、アイリアは嬉しさの余り体を回転させて踊る様にくるくると回る。
「さあ次はこれを履いてね」
「サンダル?・・これも履いたら似合うかな?」
スキルトがボロい古タイヤを溶かして作られたで有ろうサンダルを渡すと、アイリアはそれを受け取り履いてみる。
「これも履いたけど似合うかな?・・・」
「サンダルを履くのも凄く似合ってるよっアイリア」
恥ずかしがり目を左にそらしながらながらもスキルトへ向けモデルの様にポーズを取るアイリア、そしてまたスキルトは似合ってるよとアイリアを見て褒める。
「さてと・・・出発するか」
「うんっ行こっ」
こうして二人は獲物を求めて砂漠へと狩りに出掛ける、朝の砂漠はまだ太陽の日射しが強く無く暖かい空気に包まれていた。
二人は狩りに出掛けたのは良いが砂漠にはまだ獲物となる動物は何も居なくて、ただただ砂の上をふんわりとした風と共に歩くのみであった。
「中々獲物になる魔物は見つからないな」
「私、お腹すいたあ~~?」
スキルトとアイリアは長いこと砂漠を歩いても獲物が見つからず、疲れ果ててしまいその場に二人してぺたんと座り込んでしまう。
やがて時刻が昼頃と成り太陽が二人の真上まで登り、じりじりと二人の肌を焼きはじめる。
「うーんっ?暑い、襤褸布で良いから体を覆えるマントか何かが欲しいな」
「くうーーっ!!暑い、熱い、熱い熱い、暑い暑いっ!?」
二人は照りつける太陽の日光と砂漠の熱気の余りの暑さにやられて、へたばってしまう。
このままでは二人共、太陽の暑さで体が溶けてしまうのでは無いかと考えるが、丁度その場に潜水艦の潜望鏡が向くりと砂の中から現れる。
「何だろうか?」
「何アレ?・・」
赤い潜望鏡のカメラのレンズが二人の姿を捉えると、ドサッーーと辺りに響き渡る大きな音をながら砂の中から黒い本体の姿を現して、二人に潜水艦型のロボットが襲い掛かって来た。
「なっ何だっ!?こいつは?」
「大きいわっ!?まっ黒い?」
突如姿を現した潜水艦型ロボットに対して、スキルトとアイリアは慌てて戦闘体勢を取る。
「・・・・・・」
『ドドドドドー』
『パシュッ!パシュッ!ヒュウゥゥーー』
潜水艦型ロボットは体を左側に向けて側面に備え付けられた機関銃を連射して二人に銃撃を加えながら背中からミサイルを放ってきた。
今日は仕事だと思ったら休みだった。