表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

妄想彼女シリーズ

妄想彼女 負けず嫌いな彼女編

作者: たむ

この度買い物をしました、そこで妄想が膨らみました


妄想彼女

まさかの続編です! 初めての方もお気軽にどうぞよろしくお願い致します

「ただいま」


 俺が部屋に戻るとドアの先からガチャガチャと音が聞こえる


「おい、帰ったんだが」


「んがぁぁぁぁぁ! ちくしょぉぉぉぉ!」


 ドアを開くと彼女が叫びを上げた


「何やってんだよ」


「あ、お帰りー」


 彼女が正座のまま上半身を後ろに倒し見上げてくる


「そっけねぇな、寒い中帰ってきたんだが」


「こないだまで夏じゃなかった?」


「そういう発言はよしなさい」


 何を隠そうこいつが彼女なんだが、先程の叫びも見れば解る


 膝上にアーケードコントローラーが置いてあり、手元に携帯


 テレビでは男同士が直立で睨み合っている


「ちくしょお......」


「コンボ研究か」


 話は数日前に遡る


 彼女が大きな紙袋を持って笑顔で帰ってきた


「たっだいまー!」


「あ? お帰り」


 彼女が紙袋から何かを取り出す


「やろうぜ! 格ゲー!」


 彼女が取り出したのはテレビゲームのソフトのようだ


「で? それだけじゃないだろ?」


 紙袋にはまだ何か入っていそうだ、嫌な予感しかしない


「よくぞ気がついたね! じゃーん!」


 彼女が取り出したのは重々しい箱が二つ


「よしお前正座」


「なんで?」


「なんでじゃねぇよ! どこに二人暮らししている家庭でアケコン二つも買ってくる女がいるんだよ!」


 重々しい箱の正体はアーケードコントローラー、格闘ゲームをやり込むに当たって欲しくなる機材だ


 アーケードコントローラーはあれば技術が上がる、しかし問題は値段だ、とても高価なものだから一般人には手が出しづらい、しかしこいつはご丁寧に二つも買ってきた


「だって、あんたいつも1人でゲームしてるじゃん」


「合計いくらした」


「◯万」


「おぃぃ!」


 俺は頭を抱える、しかし返品するといえば剥れるのは目に見えてる


「だって、私も一緒にゲームしたいもん」


「だからって格ゲーとかお前には無理だろ、難しいんだぞ?」


「馬鹿にした? ねぇ今馬鹿にした?」


 違う、違うんだよ、俺が恐れているのはお前が飽きてアケコンがアンティークになる事なんだよ


「馬鹿にはしてないが......」


「やってやるよ! お金の問題なら! あんたも悪い!」


「あ?」


 俺は煙草に火をつけ頭をかく


「煙草さ、前に止めてって言ったよね? それで禁煙させたけど3日持たなかったよね?」


「ぐふぅっ」


「しかも、1人用のゲーム、こんなにあった? 先月までこんなに無かったよね? ねぇ?」


「ぬぅ!?」


「それにたまには一緒に遊びたいんだよ私」


「仕方ねぇ......か」


 そこまで言われると俺も反省する、確かに煙草とゲームで俺からの出費は積み重なっている


 今回こいつは一回の買い物で大金を払ったが、日頃の俺の積み上げた出費を考えたら反論できないし、今まで一緒にゲームをする事なんて無かった、気にしていたとは思わなかった、それにそんな顔されたら断れない


「じゃあやろっか!」


 アケコンを開封し、ディスクを本体に読ませる


「へいへい」


「私の昇◯拳でぶっ飛ばしてあげる!」


「あ、うん」

(彼女よ、これそのタイトルじゃない)


「私が買ったら煙草やめてよね」


「は?」


「おぉ、キャラクターがいっぱいだね」


「おま!?」


 俺が驚いたのは先程の発言ではない、彼女がスティックに手を添えたが、スティックを中指と薬指の間に挟み包むように先端の球体を握っている


 逆手持ちだ、未経験者が使う方法ではない、スティックを上から握るのがアケコン初見者の普通だ、まさかこいつ経験者か?


 それにこのみなぎる自信は、間違いない


「じゃあ俺が勝ったら何してもらおうかな?」


「今日の晩御飯、豪華にしてあげるよ、あと晩酌付き合ってあげる」


「ほぉ?」

(面白くなって来やがった)


 いざキャラクターを選び、試合開始


「嘘だぁ!」


 呆気なく勝ってしまった、やはり初心者だ、操作はレバガチャ、ボタンは連打、コンボを繋げるそぶりもない、しかも攻撃が6割弱パンチ


「じゃあ、晩御飯よろしく」


「もう一回! 今の練習!」


 その後何度か試合したが


「嘘だぁ......あんたこれ経験者?」


「まぁ、昔にな」


「ずるいよ! それ聞いてない! 私初見だよ!」


「いやだってお前自信溢れてたじゃん」


「あんたがこういうゲームやってるところ見た事ないもん」


「最近やってないもん」


 その日の夜は、いつもよりおかずが増えて2人で朝まで飲んでいた、それから彼女は格闘ゲームを練習し始めた、最近では必殺技が出せるようになったとこないだ喜んでいた


 そして今目の前で彼女がコンボ研究の真っ最中というわけだ


「この攻略サイト嘘ばかりだ、絶対繋がらない」


「やってみ」


「うぇー」


 渋々彼女がスティックを握るが、やはり繋がっていない


「入力遅いな、あとキャンセルできてない」


「私は必死なの」


「それは解るが落ち着いてやれ?」


「ぐぬぬ」


 俺は彼女の後ろに座り手を伸ばす、2人でスティックを握る


「いいか? このタイミング、このタイミングだ」


「繋がった、何で?」


「説明は飯食ってからするから、この調子じゃ用意してないな」


「ごめん」


「ラーメン行くか?」


「行くー!」


「寒いから、しっかり着込めよ」


「解ってるよ」


 外に出ると、冷たい風が吹いている


「やはり冷えるな」


「ふふ、ラーメンだ、ラーメン」


「お前ラーメン好きだな」


「あんたもでしょ?」


「そうだな」


 俺は歩きながら胸ポケットに手を入れると、彼女が手を差し伸べて来た


「手繋ご?」


「あ?」


「今煙草出そうとしたでしょ、歩き煙草はダメだよ?」


 バレている、よく見てるな


「恥ずかしい」


 そう言いながらも手を握り歩き出す、帰った後彼女のレベルが上がっていることに驚かされるのも知らずに俺は麺を啜る

読んでいただけて嬉しいです


初めての投稿作品だった『妄想彼女』が数ヶ月の時をへてまた書かせていただきました


今回はアケコンを買ったので妄想してみました


これからもごく稀に更新するかもしれません


ここまで読んでいただきありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ