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始まり
矢の放つ音がした。
耳のすぐ横をヒューとなにかが通りぬける。
ハッと気づいたときにはすでに遅かった。
その矢は姫の胸の辺りに刺さっていた。
「姫ーー!!」
倒れる姫。
全速力で駆け寄り、抱き抱える。
「姫、しっかりしてください!姫!!」
姫はこんな状態で笑っている。
「い、い?カナリオ、わた、しは死な、ない。必ずもどって・・・」
「姫・・・」
一言そういうと目を閉じて、開けることはなかった。
涙は出さない。
ここは戦場だ。
感傷に浸るのはあとでもできる。
俺が今やらなければならないことは、、、
「皆ども!姫の敵を!!」
※※※
「姫、すいませんでした。
俺が姫を守らなければいけないのに守れなくて。」
戦いには勝った。
だけど失った代償が大きすぎた。
何人もの仲間が命を落とした。
また戦いが始まったら俺たちは死ぬだろう。
だとしてもこの命果てるまで俺は・・・