【退会】
『奨励会』
現在、プロとして活躍される
全ての将棋棋士が通って来た道。
それが奨励会。
正式名称は
『新進棋士奨励会』。
将棋連盟の東京・大阪両本部に設置された研修機関で
年に1度行われる入会試験に通らなければ
プロへの挑戦権を得ることは出来ない。
その試験に合格するには
最低でもアマチュア四段の力が無ければならないと言われる。
この厳しい審査を
彼はわずか10歳
と言う若さで通過するのでありました。
奨励会は七級から三段まであり、
二段までは関東・関西に分かれて
奨励会員同士で対局し、
所定の成績。
目安としましては7割以上の成績を修めることが出来れば
昇級・昇段となり
プロへ一歩。
近づくことになります。
通常六級からスタートするこの制度。
六級
と言いますと
それ程?
と思われるかもしれませんが
先程も述べましたように
アマチュア四段以上の力を持った
プロを目指す
全国の天才将棋少年・少女が集う場での
勝率7割でありますので
そこでは当然の如く
激しい戦いが繰り広げられることになります。
加えて
奨励会には年齢制限が設けられており、
21歳までに初段に上がることが出来なければ
強制的に退会
と言う
厳しい現実に直面させられることになります。
この厳しい世界を彼は
16歳の若さで突破。
プロへの最終関門であります
三段リーグへ臨むことになりました。
『三段リーグ』
三段リーグは
これまでの二段までとは異なり、
東西の垣根が取り払われた
将棋棋士を目指す若者の中の
エリート中のエリートが集められました
全国リーグでありまして
ここを突破することが出来れば
四段。
将棋を指すことで生活することの出来る
プロ棋士
となることが出来る
最後の関門であります。
この三段リーグは年2回開催され、
それぞれ18の対局結果により
四段に昇段することが出来るのか?
三段に留まることになるのか?
はたまた後段。
更には退会
となるのかが決まるのでありますが
特に定員は設けられておりませんが
おおよそ30名前後の若者が
三段リーグに集い
激しい戦いが繰り広げられることになるのでありますが
その30名前後のエリートの中から
晴れて四段に昇進し、
プロ棋士になることが出来るのは
2名のみ。
2回ありますので年4名のみ
(四段昇段に準ずる成績を2度修めますと
フリークラスとして四段に昇進することもありますので
年によりましては
これよりも増えることがあります。)
がプロ棋士になることが出来、
残りの30名近い若者は
再び三段リーグで
無報酬の中。
厳しい戦いを余儀なくされることになる。
しかもそこには
26歳の誕生日を迎えた三段リーグが終了するまでに
上位2名に入ることが出来なければ
たとえ力があろうとも
強制的に退会させられる。
と言う厳しい現実が待ち受けることになります。
この厳しい三段リーグに
若干17歳で飛び込みました彼は
年によりましては
四段昇段
となることもあります
12勝6敗
と言う好成績を修めた時もありましたが
13勝5敗でも次点を得ることが出来ない
ハイレベルな上位争いが繰り広げられたこともありまして
2回獲ればフリークラスとして
名人戦を除く棋戦に参戦することが許される
次点を得ることもかなわぬまま
満年齢26を迎えた平成23年後期。
勝ち越すことが出来れば29歳まで
三段リーグに所属することが許される特例がある中、
始まりました平成23年後期リーグを
序盤から5連敗。
1つの白星を挟みまして
更に4連敗を喫し
1勝9敗。
全18局のため
中盤の段階で既に
勝ち越しの可能性を失い
彼は
15年以上通いました
奨励会をあとにすることになりました。
そのことにつきまして
のちに彼は
今は時効
と言うことで許してください。
結構、ヤンチャをされていたそうであります。
1日10時間以上将棋に没頭しなければ
プロ棋士になることはかなわない
と言われていることに対しまして、
彼は
そこまで自分はならなかった。
でも今思うと
10時間将棋に没頭していたら……
と語られる場面があったそうにございます。




