第86話 蘇り不可能な愛する人々へ
第86話 蘇り不可能な愛する人々へ
視点 神の視点 ※文法の視点名です。
場所 クイーン王国 ナナクサ村
日時 2033年 4月4日 午後 11時07分
数時間もしないうちに凪紗南イヴの蘇生魔法による村人達の蘇生が終わり、後に残ったのは……黒く濁った魂のしらべだけだった。
その魂のしらべはあと少しで消えることだろう。薄れ始めている濁った魂のしらべもちらほら、在る。
松明の明かりが風に触れて、火の元になっている木々が擦り合い、台の底で火花を無数に散らす。
凪紗南イヴは自分を励ますように大きく頷いてまだ、民に語っていない真実を話す。
イヴ「蘇生魔法 リヴァイヴでは濁った魂のしらべを修復した元の身体に戻して生き返らせることは不可能なのだ。ごめんなさい……。ここまで……なのだ」
言い終えた後、イヴは国民に対して誠意を見せるべく、潔く、頭を下げた。銀色の髪が滝のようにイヴの視線を防ぐ。
そのイヴの言葉に過激な反応が起きた。
喜びの満ちた村人達の再会の歓声に混じって、黒く濁った魂のしらべの家族達である村人達が凪紗南イヴの下へ集まろうと歩を進める。歩み進む村人達――――老若男女は凄みに帯びた顔をしていた。
だが、それを阻む者達がいた雨雲英と、新羅咲良、美麗幼子、レイ・リク、テスラ・リメンバー、メイシェ・ブラン、ナリス・ブラン、ウィル・ブランだった。
英達が円となって、中にいるイヴを守護する。
さらに英達が作りだした円の内に、らら、マリア、アイシャ、真央、セリカ、メイヤがイヴ、未来、りりすを内側に入れた円を形成した。
イヴに掴みかかれないと知った濁った魂のしらべの家族達は髪を振り乱して、声高に罵倒する。
濁った魂のしらべの家族1「イヴ女王様! これは差別だ。あなた様の力なら、私の母を蘇らせることができるはずだ。まだ、隠しているんでしょ、イヴ女王様!」
濁った魂のしらべの家族2「そうだ! そうだ! そうだ! 隠してるよ、絶対! 俺の恋人を蘇らせてくれ、頼む!」
血走った目。それをイヴの事を護ってくれる真央達の身体の隙間から、イヴは観察した。
初めて、自分の国民が恐ろしいと感じて一歩、後退った。それは無意識の事だった……。
不意に予期せぬ、暖かさが左手を包み込んだ。
その手の持ち主をイヴはびっくりして見た。りりすの穏やかな銀色の瞳と、イヴの銀金のオッドアイの視線が重なり合った。
りりす「死と生の狭間に人間が陥るとあのような獣の目を人もする。我は見慣れておるが……イヴお姉様は初めてであろう。なぁに、大丈夫。脆弱な足掻きに過ぎぬ」
りりすは平然と、慌てずに、いつものような棒読み口調でイヴの耳元に囁いた。
りりすの烏色の髪がイヴの銀色の髪と触れあい、まるでそれが不安な姉を優しく手の平で一撫でする行為に見えた。
りりすが生きている証である息がイヴの耳から離れてゆく。それを名残惜しく、思ってしまうのは……きっと、自分の心が揺らいでいるからだとイヴはそう、自己分析した。
濁った魂のしらべの家族3「私の家族全員、生き返らせて下さい! そうしてくれたら、私の残りの人生はイヴ女王様に……捧げます」
濁った魂のしらべの家族4「お、お願い。まだ、生後8ヶ月の女の子だったんです。これから、これから! 人生はこれからの子なんです!」
イヴはその言葉に耐えきれず、耳を塞ぎたくなった。自然と右手が耳を目指して挙がるが……それをさせない! と未来がイヴの右手を自分の左手で包む。
冷たい熱をその手からイヴは感じた。
今にも泣きそうな顔で白銀のツインテールの女性 未来を見るが……駄目だと首を横に振る。
イヴ「…………もう、聞きたくないのだ。こんなつもりじゃあ、なかった」
未来「そうだな。しかし、あれが皇女が選択肢した結果のマイナス効果だ。物事には常にプラスとマイナスが存在する。ここまで強烈なプラスとマイナスを間近で見るのは初めてだろう。だからこそ、見るんだ」
イヴ「………くっ……」
強く未来の左手を握り締めた。それをした意味をイヴは自分自身、解らなかった。
しかし、未来は理解していた。イヴの中にある理不尽に対する怒りの声を。
だからこそ、未来はイヴに諭す。
未来「あそこで叫んでいる皇女の国民。あそこで喜んでいる皇女の国民。そして、今も生を謳歌している皇女の国民。皇女がいずれ、頂点となる日本の国民……。さらに世界の国民。みんな、お前の理不尽に晒されているんだ。それを考えたことがあるか?」
イヴ「えっ……」
予想外の未来の言葉にイヴは立っている力すら抜けて、地面に伏してしまいそうになるが……りりすと未来が互いに身体を密着させて、イヴの腰を支える。
イヴの白い頬に涙が流れ、地面に墜ちてゆく。それは止め処なく、止め処なく……。
声を上げて、イヴが泣き出すのを見て、さすがに悪いと思った濁った魂のしらべの家族達は自分勝手な声を上げるのを控え始める。しかし、未だ、声をあげる者もいた。
濁った魂のしらべの家族5「泣きたいのはこっちだ! できるのか? できないのか? 答えて下さい! イヴ女王様!」
その言葉に我慢できず、アイシャが聖剣 ローラントに手をかけようとしたが……その手を真央が止める。
アイシャ「止めるな! 私はあのくそ豚を切り裂いて、食用にすらならない! 肉をそこら辺に放置します」
真央「これが初めてじゃないでしょ! あたし達がイヴの耳に入らないように……必死にメディアコントロールなんかをしていたからでしょ! そういう印象操作が効かない井戸端ではこんな反応もあった。それは日本の宮内庁やクイーンの各地方騎士騎士団から報告が上がっているはずよ」
セリカ「真央ちゃん、わたくしの事を天然とこれで言えなくなりましたね」
微妙な顔をセリカは浮かべつつ、真央の深紅色の髪を一房、一房、弄ぶ。
あっ! と低いうなり声を上げてから、真央はゆっくりと……振り返る。そこには銀と金のオッドアイから涙をぽろぽろと零している青い顔をしたイヴがいた。
イヴ「どう……いうことなのだ? そんなメディア戦略を含めた情報操作なんて予は聞いていないのだぁ」
未来「当たり前だ。未熟な少女に――――」
未来の言葉が紡がれると、りりすはそっと、イヴから手を離した。これはイヴが乗り越えるべき真実だと厳しく判断したからだ。この一見、冷たい思考が華井恵里を母親にもつ凪紗南りりすならではの切り替えの速さだろう……。
りりすは思った。
”ここを乗り越えて、表も、裏も受け止められる凜々しい女王、または天皇の道を歩み初めて下さいイヴお姉様”、と。
ただ、助け船を出したくなる自分としてはあり得ない甘さの疼きにりりすは上唇と下唇を必死に重ね合わせる。
それを応援するようにりりすの足下にじゃれる黒猫 リルの「にゃーん」という甘え声をりりすの耳はキャッチした。
未来はそっと、イヴの頬に流れる涙を何度も、ピアニストのように細い指で拭う。
冷厳とも言える季節外れの真冬色の瞳が大げさに上下に動き、イヴの容姿を観察する。
銀色の髪は少女人形を連想する神秘さに包まれている。
夜の闇でも煌めく希望を秘めている銀色の右眼、金色の左眼。
雪原の白よりも、美しい汚れのない白の肌。
未だ、女性的な身体の線ではなく、まだ、優しい世界を築く夢を追い求めている少女の身体の線。
それらには凪紗南イヴの……世界の無限の可能性が眠っている。
だからこそ、未来は家族としての甘さを捨て、言葉を続ける。
未来「――――全てを預ける程、日本人 1億人とクイーンの民 1億7950万人の運命は軽くない。それらを皇女が支えられるのか? 答えはその少女な胸に訪ねずとも解るはずだ。レッスンだ、イヴ。いつものようにな。これが治癒魔法やポーションの時にも様々な人種、様々な場所で起こったプラスとマイナスの波だ。どうだ? 怖いか?」
静かにイヴは未来の言葉に頷いた。
未来「自分が正しいと思うならば、怖がる必要はない。ただ、完璧に全ての幸福を紡ぐことは不可能だ。優しいイヴは悩むだろう。しかし、その優しさは忘れずに全ての幸福と不幸を公の天秤に掛けるんだ。その優しさは忘れずにメリットとデメリットを公の天秤に掛けるんだ。良いか、イヴ? この時を経て、最後の”私達”の帝王学の修練は完結編へと進む。さぁ、完結編 その1 自分の正しさを感情でしかモノを言わぬ国民に伝えよ! 自らの言葉で。妥協は許さん」
いつもの如く、唐突に鬼未来による教育が始まる。それは未来の不器用な愛情であることをイヴは知っている。
心理詠唱式でヒール リフレッシュを唱える。その効果により、イヴの頬には涙の跡も残らず、凜々しいイヴ・クイーン女王の顔が姿を魅せた。
イヴの背に未来の暖かい手の平の一撃が加わる。それは物理的には手加減された愛情最大限の一撃だった。
りりすがイヴの腹に手を当てる。
りりす「これから、イヴお姉様に声が良く出てて周囲に響く我の奥義を教えようぞ」
真央「あんた、それ。ただの腹式呼吸でしょう? 勝手にあんたの奥義にすんな」
セリカ「あらあら、空気読めない発言ですわ、真央ちゃん」
りりす「外野のツンデレなるちびドラゴンと天然なるハーフエルフは無視しておいて――――」
真央「おい、こら! 近親相姦希望厨二皇女」 セリカ「言いますね♪ 近親相姦希望厨二皇女ちゃん♪」
らら「近親――――」 英「駄目です、教育に悪い」
マリア「近親相姦希望厨二皇女ちゃん♪」 幼子「あっははは、それぐれぇーの方が女は良いんだよ」
咲良「ぐぅー、あっ! 寝てない、寝てない」 テスラ「いや、寝てた。今度、解明させてほしいわ、貴女の睡眠時間の謎」
りりす「――――くっ、有象無象の者達はおいておくぞ、イヴお姉様」
イヴ「わくわくなのだ。Garden of the GodsのLilithのレッスンを受けられるのだ。今度、歌を教えてほしいのだ」
りりす「歌。それくらいならば可だ。今は腹式呼吸。これも歌に繋がる」
りりすの”歌を教える”発言に周囲が凍り付いた事に喜ぶイヴ、アイシャと発言者 りりすは気づかなかった。
後日、りりすが地獄の歌唱兵器 イヴちゃんのボイス攻撃を受けるフラグが立った瞬間だった……。
りりす「空気を口で吸って腹部を、ここを膨らませて」
ここを、とイヴの腹部を擦る。
妹の言葉にイヴがそれを実行する。
小さなイヴのお腹に空気がどんどん、送られる。
大げさな膨らみが腹部に加わった。
りりす「その空気と共にイヴお姉様の心を叫ぶ。腹部を凹ませることをイメージして……」
イヴは今も悲しみを叫び続ける濁った魂のしらべの家族達に自分の思いと提案を叫ぶ。妹 りりすのアドバイスを胸に秘めて。
イヴ「ごめんなのだ! 予の力では濁った魂のしらべまで及ばない。よって、生き返らせることはできない! ただ、今、ここに!」
イヴは中空へと向けて指差して、この場ではイヴやエレノア副妖精女王、妖精族しか見えない濁った魂のしらべを次々と示す。
イヴ「ここに! 貴方達の大切な人々がいる! 悲しみだけでは終わらせず、来世の祈りを込めて、来世の幸福を込めて、貴方達が手紙をしたためるのだ! せめて愛情をもってサヨナラを言うのだ!」
視点 凪紗南イヴ
場所 クイーン王国 ナナクサ村
日時 2033年 4月4日 午後 11時40分
――――ねぇ、お母様。ボクも……いや、もう、ボクという幼い時期は過ぎた。私でも公でも予は次代天皇であり、女王なのだ。予も手紙をしたためたのだ。
学校の課外活動のようなキャンプファイヤーが急遽、村人達の手によって設置されて、優しくも儚い別れの炎が灯った。
――――今まで予は優しい世界を築く理想を周囲に押しつけてばかりいた。勇者であったお父様 凪紗南春明の力、英雄であったお母様 リン・クイーンの力、予の財力や知力などで力押ししてきた箇所が多くあるのだ。
サヨナラの言葉を思い思いに綴った和紙の手紙を老若男女様々の村人が列を成して……次々と叫んでゆく。
その叫びは薄く存在するのみになった濁った魂のしらべへと通じていた。
どの濁った魂のしらべも「ありがとう」と最期に述べて消えてゆく…………。
決して、決して見えない切ない別れ。
――――予は子どもだった。自分の理想を語るだけで今日までそこから生じる歪みを予測、覚悟していた振りをしていた。そう、振りだったのだ。未来お姉様は言ったように頂点は様々な事柄を天秤に載せなければならない。そして……
炎が猛るのとは対照的に消えた濁った魂のしらべは一端、全ての母たる場所 デウス エクス マキナの海に運命の粒として還る。そして、何億年後に再び、来世として大切な人々と同じ転生宮へと辿り着く運命に戻ってくるのだ。
だから、記憶が無くなるとしてもこれはサヨナラではない。そう知るのは神である予だけだ。
転生宮の存在を民は広く知っているが……これは転生神 ローナ・クオリアのみが本来、知る真実なのだ。予はただ、親愛の証としてそれを教えてもらったにすぎない。
予は肩を落として泣く遺族達に告げる。
イヴ「貴方の大切な人は転生宮へと旅立ちました。良き来世への準備の為に」
遺族「ありがとうございます、イヴ女王様……」
遺族は再生を司ると言われている赤き炎に手紙を投げ入れる。大切な人の来世での再生を願い、幸福を願う。
――――そして……いつか、天秤がより重く傾く優しい世界を築く。それは歪みも覚悟の上で……不幸も、幸福も覚悟の上で。
お母様の国を統治するお仕事ってこんなにも難しいことだったんですね。予はまだ、ひよこだけど……りりす、セリカ、真央、アイシャを初めとしたみんなで悩んで、時に泣いて、時に笑って頑張るのだ!
お父様にはまだ、手紙は書かない。きっと、生きているのだ。お父様は勇者様なのだから。
またね、お母様。
予はいつか、少女神 リンテリアに認められる神になって……お母様に会いにゆく。
予は震える手に握り締めたお母様にしたためた手紙を投げることが出来ずに……炎の前で呆然と立ち尽くしていた。
予で最後である為、背後には誰もいない。
そのはずなのに規則正しい足音が近づいてきた。その足音の主が予の隣に並ぶ。
アイシャ「イヴ。これからは私達の時代です。やりましょう、かつての勇者と勇者の伴侶と同じような偉業を」
予はアイシャ・ローラントの言葉に頷いた。
ゆったりとした足音が近づいてきた。その足音の主がアイシャの隣に並ぶ。
セリカ「イヴちゃん。未だ、為し得ていない両世界の調和を進めましょう。笑顔、笑顔で、ですわ♪」
予はセリカ・シーリングの言葉に頷いた。
騒がしい足音に引き摺られて微かに聞こえる足音が近づいてくる。微かな足音の主が予の隣に並び、微かな足音の主の隣に騒がしい足音の主が並んだ。
真央「あー! イヴの隣を……。ま、いいわ。べ、別にイヴの隣に是が非でも並びたいわけじゃあ、ないんだからね!」
りりす「そうやって、ツンデレの宿命から逃れられぬツンデレの奴隷よ。それが汝の限界と知れ」
真央「くっ、厨二の言葉が何故か、胸に刺さる。覚えてなさいよ、イヴ妹」
りりす「イヴお姉様。我も力を貸そう。手始めに歌を勉強して二人で世界に平和の歌を広げる。闘うだけが、争うだけが、傷つけるだけが、全てではないと我は信じたい」
予は凪紗南りりすの言葉に頷いた。
あれ? セリカと真央の声で「……無理」という声が聞こえた気がした。
イヴ「何か? 真央、セリカ、言った?」
真央「ああ~、言ってない。言っていない。……心の中で奇跡は起きないから奇跡って言うんですよーなんて思ってないよ、本当に」
そう真央が早口で言った後、激しく咳き込む。
息を整えて真央が予に喋りかける。
真央「イヴ。あんただけじゃあ、なんかブルジョア感覚で物事を進めそうだし。あたしが庶民感覚で常識管理してやんよ。任せて、竜族 北庄の姫は伊達じゃない!」
予は北庄真央の言葉に頷いた。
イヴ「いつまでもこうしていられないのだ。みんなと、予の未来の為にゆくのだ!」
もう、予の手は寂しさに震えていない。
賽は投げられている。
予は手紙を猛々しい炎に投げ入れた。
賽が墜ちる前に予は未来の方向性を決める。
予達は手を繋ぎ合って振り返って――――
イヴ&アイシャ&セリカ&真央&りりす「せーの!」
――――飛んだ。
イヴ&アイシャ&セリカ&真央&りりす「最初の一歩!」
少女らしい姦しい笑いが明るい夜色の空に響き渡った。
視点 神の視点 ※文法の視点名です。
場所 クイーン王国 ナナクサ村 ルルリの自宅
日時 2033年 4月5日 午前 2時10分
ルルリは一連の別れ儀式を見届けた後……自宅に戻った。
誰もいない。暗い部屋でルルリは決心する。
それは個人の愛情や憎悪よりも尚、崇高で、美しい正義の心だった。そう、歪んだ正義の心だった。
しかし、決心の鈍りを防ぐ為に井戸の水で濡らした長い長い黒髪を全て、前にさらけ出し……幽霊のように虚ろな黒い瞳を隠した犬っ耳少女 ルルリ・ミカサギにはそれが解らなかった。ただ、沸々と沸きあがる使命感に燃えていた。
ルルリ「茶番です。茶番です! お涙頂戴、ふざけんなぁあああああ! 貴女みたいなイレギュラーがいるからルルリのような割を食う人間が出るのです。滅ぼします、全ての力のある者を! ルルリが耕すのです、地球もリンテリア世界も……」
ルルリは昔、亡くなった自分の父の形見を床を外して、取り出した。
それは7歳であっても獣人のルルリだからこそ、持ち上げられる超重兵器だった。兵器の名前は知らない。ただ、錆びているにも関わらず、今ではルルリしか装備できない切れ味抜群の斧だった。
そう、ルルリは知らない。それは獣人族が唯一、神を殺す為に造れた神殺しの斧 リベレーター アックスだという事実に……。
そして、ルルリの血には神に恐れられた唯一の獣人 フェンリルという種の血が宿っていることに……。
ルルリ「今からルルリは……世界を理不尽から解放する者。リベレーター(解放者)です」
運命は回る。
それは未来神 ミル・リンテリアが見た通りに。
どうしようもないイヴとルルリの戦いの未来へと………。
その悲しい未来を嘆くように窓から差し込む月の光で、メイシェ・ブランを通じてルルリへと返されたイヴへの依頼料であったはずの1000キュリア星に刻まれた銀色のリン・クイーンは輝いていた……。
to be continue………
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第3章 眠れる天賦




