第121話 ハンターギルド
第121話 ハンターギルド
視点:神の視点 ※文法の視点名です。
場所 地球 東京都 凪紗南市 ハンターギルド 凪沙南支店
日時 2033年 4月10日 午後 4時00分
ゲームのギルドと言えば……屈強なハンター達が多くたむろしているイメージがあるだろう。しかし、現実のギルドは違う。みんな、戦闘服から着替えていて清潔感がある。行儀良く、列に並び、自分の番を待っている。
フロアの床は染み一つなく、輝いている。
誰もが喧嘩をすることなく、今日の自分の狩ってきた素材をリュックサックやボストンバッグ等に詰め込んでいて、馴染みのハンター等と持ってきた素材の自慢をしている。
勿論、王道でありがちな―――
ハンターA「ここは大人達がくるところだぜ! 弱々しい嬢ちゃん達は家に帰ってママンと大人しく、花嫁修業でもしてな!」
ハンターB「その通りだぜ」
―――みたいにイヴ達が絡まれることはない。
素材受付カウンターの列に並んでいるイヴ達をみんな、珍しいと口々に騒いでいる。
ハンター1「イヴ様、りりす様、アイシャ様、真央様、セリカ様だ。このような場所で姿が見れるなんて、携帯で写真を撮って、と」
ハンター2「レアだよな、こんな場所にお出でになるなんて」
ハンター3「サインはやはり、迷惑だよな」
それらの声に反応して、窓際に設置されているハンター用の依頼書が貼ってある掲示板を見ていたハンター達もイヴ達の姿を見る。誰もが、イヴ達をアイドルを観るような眼差しで見ていた。
桃李ゆいや新羅咲良はあまり、有名ではない為、イヴ達のおまけと観られているようだった。しかし、ゆいや咲良はイヴ達と行動を共にするといつも、こんな扱いなので気に留めなかった。
*
受付の女性「ご利用ありがとうございます。収集素材の買い取りですね。では、この台の上において下さい」
受付の女性に言われた通りにイヴが桜花ダンジョンで手に入れた素材をクイーンリングから取り出し、カウンターの上に置く。
受付の女性は迷うことなく、ファイヤーウルフやスライム等から手に入れた収集素材を目にしただけで幾らか? を算出する。
受付の女性「ダンジョン税1割を引いて、全部で21万円になりますが……よろしいでしょうか?」
イヴ「みんな、21万円で大丈夫か?」
アイシャ「イヴがそれで良いならば、私はそれで」
真央「バイトよりも稼げるからあたしはそれでいいわ」
セリカ「はい、欲張るのはよくないですから、そのお値段で」
りりす「我も異存ない」
ゆい「皆さんがいう通り、私もOKです」
咲良「大丈夫」
21万円なので丁度、1人当たり3万円ずつの収入になる。
ハンターギルド内のカフェテリアでさっそく、イヴ達は3万円ずつに分ける。
イヴ「このパーティーならば、楽にダンジョン攻略ができそうなのだ」
りりす「イヴお姉様。全員のスケジュールが合うか、わからないので今日は幸運だったとすべきか、と。我がいれば、ダンジョンなんぞ、大丈夫」
アイシャ「今のところ、ダンジョン内では古代魔法の威力が高すぎて安易に連発できないだろう、イヴ 妹」
りりす「我はイヴお姉様の役に立つのならば、他の魔法も習得する準備がある」
ゆい「そう言えば、なんでりりすさんは古代魔法ばかりなのですか?」
りりす「格好いいからに決まっている。我の魔法は全てを焼き付く、全てを凍らせる、全てを貫く……等の一撃必殺」
セリカ「厨二病って言うんですよね。わたくしもそういう必殺の何かがあれば良いのですが…………」
咲良「それぞれ、役割、ある」
セリカ「咲良ちゃんの言う通りですわ。わたくし、魔法剣を極めます」
イヴ「さて、夕方に大事な会議があるので予とりりすは急いで帰らねばならない」
りりす「寸命アリアが届けてくれたサンプルの件か……。あまり、良い報告ではなさそうですね、イヴお姉様」
イヴ「いずれにしろ、非公式の案件……、どうなるか」
イヴはハンター達の喋ったり、食事を採る音をBGMにして、ダラーヒムの公害問題に対して考えを巡らせる。




