第120話 桜花ダンジョン攻略戦 3
第120話 桜花ダンジョン攻略戦 3
視点:凪沙南イヴ
場所 桜花ダンジョン
日時 2033年 4月10日 午後 3時11分
予が扉を開くと……部屋の中央にはスライムが1匹いた。
一見、弱そうに見えるがスライムの水で構築した触手は石造りの天井全てに張り巡らされていた。
スライムの本体である丸い物質は水に囲まれて何処にあるのか? 解らなかった。水の触手が予達全員を襲う。
イヴ「何て全体的な攻撃!」
りりす「RPGの世界のスライムと全然、違うぞ」
アイシャ「現実と虚構を一緒にするな、厨二病の始まりだぞ」
りりす「我は厨二病ではない。常にイヴお姉様をお手本にした立派な少女ぞ」
イヴ「予をお手本に嬉しいのだ」
ゆい「ひぃいいぃい! みなさん、喋りながら避けてるぅ。私、いっぱいいっぱいですぅ」
ゆいが水の触手を避け損ないそうになるのを横目で見ていた真央がゆいの手を引っ張ってスライムの攻撃圏外へと退避してゆく。
触手の攻撃は止むこと無く、まるで雨のように次々と落ちてくる。
心理詠唱式の詠唱方式を使えるモノは限られている。才ある者だけにその扉は開かれる。
だが、ここには才ある者がいた。予とりりすだ!
予は心理詠唱式でイデアワードを完成させる。そのイデアワードは氷魔法 フリージングスノウだ。
両手を天井にかざして銀色の魔力が天井へと舞い上がり、付近を雪の嵐と化させる。
予の敵対する水の触手やスライムだけを凍らせてゆく…………。
予達を襲っていた水の触手が次第に固まっていった。
だが、スライムは触手を動かしてその氷の檻から逃げ出そうとしている。
イヴ「氷が溶ける前に早く、攻撃を行ってスライム本体の丸い玉を撃破するのだ!」
セリカ「風魔法 トルネード!」
セリカの放った風魔法 トルネードは竜巻を巻き起こして……凍り付いたスライムの触手を切り刻んでゆく。
しかし、未だ、スライムの本体である丸いコアは現れない。
りりすは大きな鎌――エクスキューショナーで1番、水の塊となっている箇所へと斬り込んでゆく。二つにスライムは分解するが……そこにはコアは無かった。
りりす「しぶとい……」
真央「全く、スライムの本体は何処にあるの」
咲良「全て、一遍、吹き飛ばした方、早い」
アイシャ「賛成できない。スライムが小さくなりすぎて後々、大変だ」
イヴ「アイシャ。一気に破壊するのはどうだ?」
アイシャ「一気に破壊?」
イヴ「凪沙南流 奥義 龍波葉を馳走してやるのだ」
真央「竜の祝福と魔力を合わせた力技は体力を消耗しすぎるからその選択肢は後にした方が良い、イヴ」
ゆい「地味に凍らせて、叩いて。凍らせて、叩いて。で、発見していくしかないんじゃあ」
りりす「やはり、それか。ダンジョン内では大規模な古代魔法を使う訳にはいかん。我のエンシェント マジックだと威力が高すぎて桜花ダンジョン程度のレベルでは崩壊してしまう危険性がある」
その会話の後、予達はスライムの触手を凍らせて、切り刻んで! の連続でスライムの単体である玉を破壊した。
その瞬間、スライムの水の触手はただの水に変わってしまった。
*
スライムのいた部屋を抜けてすぐのところに円形状の転送装置があった。
イヴ「夕方に会議がある都合上、今日の探索はここまでにした方が良いのだ」
りりす「賛成」
セリカ「元々、軽く桜花ダンジョンを攻略する予定でしたものね」
真央「帰りにハンターギルドに寄って換金しよう、収集素材を。スライム水も手にいれたし、良いお小遣い稼ぎになったわ」
ゆい「ふぅー、誰も大した怪我無くてよかったですぅ」
咲良「家、帰るまで、ダンジョン攻略」
アイシャ「さぁ、イヴ。転送装置を起動させましょう」
イヴ「了解なのだ」
転送装置に予達が載ると早速、ホログラムウィンドウが開き、その中の選択肢で地下1階を選んだ。
<凪沙南イヴのLevelが62になった>
<アイシャ・ローラントのLevelが75になった>
<北庄真央のLevelが64になった>
<セリカ・シーリングのLevelが63になった>
<桃李ゆいのLevelが45になった>
<召喚器のLevelがそれぞれ上がった>
<深淵の刀のLevelが31になった>
<デスティニードラグクローのLevelが33になった>
<冷厳なる雪月花槍のLevelが35になった>




