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創世する世界のイヴ # Genesis to the world's Eve  作者: 遍駆羽御
本編―――― 第3章 眠れる天賦
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第119話 桜花ダンジョン攻略戦 2

 

 第119話 桜花ダンジョン攻略戦 2


 視点:凪沙南イヴ

 場所 桜花ダンジョン

 日時 2033年 4月10日 午後 2時05分



 地下22階に続く落とし穴へと、予達が風魔法 エアを利用して下降して行くと……そこには「ぐるるるるるー!」と唸り声を上げているファイアウルフ、アイスウルフ、サンダーウルフの群れが一フロアにぎしりっと密集していた。まるで予達が動物園のファイアウルフ、アイスウルフ、サンダーウルフの檻に入っているようだった。

 予達が戦闘の構えを取る前にファイアウルフの群れが我先にと、襲いかかってきた。飛びつくように襲いかかるファイアウルフの群れに対して、ちょっと、碧い色の眠い眼をこすりながら、ファイアウルフの頬を裏拳で次々と粉砕してゆく咲良。それは緑色の長髪が見事な演武を奏でているようだ。


 イヴ「咲良……強いのだ! と感心している暇はない。予達も咲良に続いて攻撃を開始する」


 真央「くそっ、アイテムがあると思ったら……危険種動物の家かよ。ごめん、みんな」


 セリカ「真央ちゃん、反省して下さい、ぷんぷん♪」


 真央「あんた! 全然、怒っていない笑顔100%じゃない」


 りりす「我が正解ってことか。さすが、漆黒のプリンセスたる我」


 ゆい「ひいいぃいいい、無理ですよ、こんなに」


 そう言いながら、ゆいはちゃっかり、弓を引いて矢を飛ばす動作をほぼ、無意識に行っていた。その矢は多くは外れてしまったが…………一部、アイスウルフの脇腹に当たった。それでも、アイスウルフはその矢を受けながらも予達を目指して走ってくる。

 走ってきたアイスウルフを予は漆黒の刀でアイスウルフの顔面を両断してゆく。同じようにりりすが予の隣に並んでエクスキューショナーという大鎌でアイスウルフを薙ぎ払う。薙ぎ払われたアイスウルフは身体に大ダメージを受けて、危険種動物の群れの移動の妨げになっている。

 それを動かすのにサンダーウルフは低い唸り声を上げて、前足を上げ、ライトニング ボールを発動させた。雷の塊は何体かのアイスウルフの死体を灰にした。

 そのおこぼれのライトニング ボールが真央とセリカの方に来るが……ぎりぎり、気がついた二人は回避した。


 真央「ちっ、うじゃ、うじゃと出て来る! これじゃあ、技や魔法は使えない」


 真央はサンダーウルフの顔面を装備していたデスティニードラグクローで引き裂く。顔面を引き裂かれたサンダーウルフの両足をセリカが切断した。


 セリカ「ふぅー、まだまだ、ウルフちゃんの群れが元気ですわ」


 咲良「今、体力、問題無し。ぐぅー」


 咲良が眠りながら、ファイアウルフを殴り飛ばしてゆく。吹き飛んだファイアウルフはゆいのまぐれヒットの矢が突き刺さって、ファイアウルフは絶命してゆく。


 真央「ゆい! やるじゃん。あんた、やはり、やればできる子なのよ」


 ゆい「ひぃいいいい! 怖いです、怖いですよ~」


 真央の言葉を聞かずにゆいは黒いボブカットヘアをフルフルと横に振る。兎耳も激しく、横に動いていて何とも弱々しい。

 そのような印象のあるゆいだが、戦闘においては役に立っていた。ゆいの矢は危険種動物達に当たらなくとも充分、牽制の役割を果たしていたからだ。


 イヴ「このまま、ウルフ達を殲滅する!」


 予は漆黒の刀を握り締め直して、みんなの勢いを増す為に叫ぶ。

 その叫び声にみんな、頷き、アイシャは目に見えて、剣速の速さを増してゆく。その速さでアイスウルフの群れを全滅に追い込んだ。さすが、聖剣を10年以上、使いこなしてきた聖女の実力である。剣が守護剣 デュランダルに変わろうともその腕は衰えない。


 アイシャ「イヴの為に……殺す。イヴの為に……刻む。イヴの為に……斬りつける。イヴの為に……」


 と言う呟きが何やら、得体の知れない怖さを保っていたが……気にせずに、予も戦闘に集中することにした。


 みんなの健闘のおかげでファイアウルフ、アイスウルフ、サンダーウルフは全滅し、残すは唯一の出口を塞いでいるダンジョンベアーのみになった。

 そのダンジョンベアーという大きな熊のような危険種動物の腹部をアイシャが守護剣 デュランダルの突きで貫く。

 暴れようとするダンジョンベアーの両腕をりりすのエクスキューショナーが切断してゆく。飛び散る血でゴシックドレスを汚さないりりすの腕前はもはや、学生レベルのモノではないと言って良いだろう。他のみんなは危険種動物の血を何処かしら、付着してしまっている。


 アイシャ「イヴ、すまないがヒール リフレッシュを」


 ダンジョンベアーが動かなくなったのを確認して、アイシャがそう言った。


 咲良「私、最後、良い。収集素材取る。確か、ウルフ、毛皮、売れる。ベアーも爪、売れる」


 真央「あたしも手伝うわ! お金、お金、幾らになるかなー」


 予はアイシャにヒールリフレッシュを唱えながら応える。


 イヴ「ウルフの毛皮は一頭に付き、5000円。今、倒したのはファイアウルフ 7体、アイスウルフ 10体、サンダーウルフ 7体だから、12万円。ベアーの方は爪が11000円」


 真央「13万1000円ってこと、やっぱり、桜花ダンジョンは稼ぎが良い」


 予はゆいにヒールリフレッシュを唱えながら応える。


 イヴ「ダンジョン税で1割、取られるから全部、報酬に、とはならないぞ、真央」


 真央「それでも稼ぎがいいじゃない。でも、この危険種動物の量がいるとなると……パーティーを組んでも組まなくても、命懸けになりそうね」


 イヴ「普通のハンターギルドに入会している冒険者には予みたく、治癒魔法があるわけではないから……死を覚悟の上で仕事にしないと仕事にならないだろう」


 そう考えると……ルルリの言うように予の治癒魔法、蘇生魔法はこの世にあるべき、魔法ではないのかもしれない。


 りりす「持っている才能を生かすも殺すも、その人次第です、イヴお姉様」


 イヴ「そう、割り切れると1番、良いのであるが……」


 りりすの手の平が予の唇を覆う。


 りりすがいつもの無表情な棒読み口調で予に反論する。


 りりす「口に出したことはいずれ、本当になると何処かの魔法書に書いてあったぞ、イヴお姉様」


 イヴ「口に出すべきことではないのだったな」


 *


 収集素材が取り終えて、その素材をクイーンリングに入れた。そして、全員の身体をヒールリフレッシュで綺麗にした。


 真央「さぁ、23階へと行く階段を見つけよう!」


 セリカ「おー」


 アイシャ「………と言いたいところだけど、イヴ、あれは23階へと降りる階段ですよね?」


 アイシャが少し、進んだところに23階へと降りる階段を発見する。その階段をアイシャは指差していた。


 イヴ「そのようだ」


 アイシャ「結果的に落とし穴は近道になっていたんですね。随分と危険種動物の多い近道でしたが」


 イヴ「まぁ、良いのだ。その分、経験値となって予達が成長する養分となった」


 セリカ「ポジティブシンキングですわ、それ」


 ゆい「もう、あんなのは嫌ですよぉ」


 咲良「ぐぅー」※咲良さんは寝ながら、ゆいの言葉に肯定しました。


 真央「わ、悪かったわよ。もう、安易な台詞は言わないわ」


 そう話ながら、23階へと続く階段を駆け下りる。


 *


 アイテムの入った宝は見つかったが、どれも外で買えるようなアイテムしか見つからなかった。その度に真央は「クソゲーかよ」とツッコミを入れていた。特にスーパーフ〇ミコンのスーパーマ〇オカートが出てきた時は――

 真央「くそ、あの駄目神! わざとネタを仕組んだな! バナナを踏んづけてあの少女神 リンテリアはスピンすれば良いのに!」

 ――と天井に向けて叫んでいた。


 イヴ「ちなみに予の所有している倉庫に何故か、スーパーフ〇ミコンが紛れ込んでいたぞ。年代モノのブラウン管テレビと一緒に」


 真央「これはあたし達にスーパー〇リオカートをプレイしなさいというお告げなのか!」


 そんな現代の高校生には通用しないであろうネタのような出来事がありながらも比較的順調に階層をクリアしていった。


 そして、ついに今回、目指すべき、地下30階のボスがいる間の正面まで辿り着いた。

 ここまでかすり傷はしたが、りりすや咲良、アイシャという戦慣れした者達のおかげで無事だった。

 予一人ではここまで辿り着けなかったであろう。

 予は両手で扉に触れる。


 イヴ「みんな、準備は良いか? 事前情報ではここにいるボスはスライムのはずなのだ」


 予の言葉にりりす、アイシャ、真央、セリカ、咲良、ゆいが頷く。

 予は少しずつ、扉を開いてゆく…………。





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