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創世する世界のイヴ # Genesis to the world's Eve  作者: 遍駆羽御
本編―――― 第3章 眠れる天賦
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第117話 イヴとの出逢い 蘇生魔法編

 

 第117話 イヴとの出逢い 蘇生魔法編


 視点:アイシャ・ローラント(3歳の頃)

 場所 クイーン王国 アイリス村周辺

 日時 2021年 11月27日 午後 6時03分



 夜の闇を切り裂くように旅人が乗るスタンダードな木製の馬車がアイリス村を目指して走る。馭者を担当している未来様は時折、近辺の街や村に寄って馬を変えながら約5時間ほどの道程を苦も無く、進んでいた。

 全く、疲れを感じさせない凜々しい未来様の後ろ姿にまだ、幼いながらも私は尊敬の念を抱いた。


 約5時間の道程に疲れたのか、イヴは私の膝を枕にして馬車に積んでおいた毛布をかけて眠っていた。時折、「お母様」という独り言がイヴの薄桃色の唇から紡ぎ出される。

 ぐっすりと眠るイヴの姿に私も釣られて眠ってしまった。


 それから、約1時間後、未来様がほろの布地を開けて、眠っていた私とイヴに話しかける。


 未来「ぐっすりと二人とも眠っていたな、ついたぞ。ここが”旧”アイリス村だ」


 イヴ「旧?」


 寝ぼけた声でイヴは未来様の言葉に疑問をもつ。


 未来様は銀色のツインテールを風に任せたままにして、鋭い目つきでイヴに言いきかせる。


 未来「村の風景を見てみれば解る、イヴ」


 イヴを抱きかかえてそのまま、未来様は村の墓地の方向へと足を進める。私は聖剣 ローラントを帯剣してから未来様の後を追う。


 視点:アイシャ・ローラント(3歳の頃)

 場所 クイーン王国 アイリス村周辺

 日時 2021年 11月27日 午後 7時12分



 アイリス村には既に故郷の香りなんぞ、ない事は解っていた。だが……こんなに静かな村を見たことはなかった。

 炎魔法 ファイアにより、どの家も屋内でランプに火を灯してあり、外から見ても明るい光が漏れていたのに今ではそんな家もなく、ゴーストビレッジと化していた。人間の影が無くなってたった1、2週間でこうも寂れるモノなのか……と私は涙を流しそうになったが、イヴや亡くなった人々の親族を置いて自分が涙を流す権利はないのだと思い……瞼から零れ墜ちそうになる水分を涙とは認めたくなかった。

 自分は異例中の異例で大切な姉上や妹のぬくもりを感じることができる。その事実が一種の罪悪感になっていた。しかし、その罪悪感以上に喜びを感じていた。

 

 未来様がおぶっているイヴの雪のように銀色な髪を目印についてゆくとやがて、墓地に辿り着いた。

 アイリス村の人々は病で全滅しており、その病名は世界天秤条約に基づいて地球側からもたらされることはなかった。それが適応される意味は今の異世界 リンテリアの知識では知っていたとしてもほぼ、対処の仕様が無かったということだ。

 病名を知っていたとしても……墓地に要する土地が増えていたことに変わりない。

 十字架の形に似た墓標が在りし日の村人達の貧しくとも一生懸命に生きた証ということなのだろう。


 しかし――――


 アイシャ「死はここまで無に近いものだったのか……。私がアイリス村の思い出を保っていたとしても後十数年後には私も死に誰もアイリス村がここにあったという記憶を思い出すことがなくなる……。虚しい」


 未来「死は全てを奪って行くのかもしれない。だが、アイシャ……それが正しい生物の在り方だ。その在り方を奪う桁違いの力…………イヴだけが扱える治癒魔法や蘇生魔法だ。治癒魔法でさえ、地球と異世界 リンテリア、両世界に騒動を起こしている。皆が大切な人を助ける為に何万通も1日に地球の宮内庁や、異世界 リンテリアのクイーン王城に送られている。無理矢理、イヴに会おうとする者まで出る。無論、彼ら全ての要求に従うのは無理だった。そこで、選別を行った。選別方法はどうしても治癒魔法でなければ助からない若い者からだ」


 イヴ「ボクはそんな純粋な気持ちを保っていた人達の治癒魔法を唱えて助けてくれてありがとうの気持ちを…………素直には受け取れなかった」



 アイシャ「どうしてですか?」


 私がそう訪ねると、イヴのオペラグローブに包まれた両手が未来様の肩をぎゅっと掴んだ。


 イヴ「…………」


 未来「蘇生魔法を習得する為の条件は治癒魔法の練度にあった。イヴは両親を蘇生させるべく、彼らを治癒したに過ぎない。そのせいでイヴの人気がうなぎ登りだが、それはイヴの意図したモノではない」


 アイシャ「それでも、イヴは多くの命を救ったのです。胸を張れ、とは言いませんがそれに罪悪感を感じることはないですよ」


 イヴ「ありがとう、アイシャ」


 *


 未来「ここのようだな」


 私達の目前にはリイーシャ、ネネと刻まれた二つの十字架に似た墓標が立っていた。

 イヴは未来様の背中から降りる。


 姉上の墓の前に歩むとイヴは両手を姉上の墓へと向けた。


 イヴ「蘇生魔法 リヴァイヴ」


 イヴの口から唐突に放たれた言葉は魔法の威を示すイデアワードとなって効果を表し始めた。

 土が銀色に輝き、その土から銀色の粒が生じた。その銀色の粒達は中空で集い、徐々に人間の形のように銀色の粒達が集約し始める。


 これで大丈夫だとばかりにイヴは息を整えてから、次はネネの墓の前に歩むと同じようにイヴは詠唱し始める。


 イヴ「リヴァイヴ」


 姉上の墓の前で起こっているのと同じ現象 土が銀色に輝き……その土から銀色の粒が生じた。そして、銀色の粒達は同様に人間の形を作る。但し、姉上の墓の前の銀色に輝く人間の形とは違い、随分と小さい。


 しばし、輝いていた銀色の光が失われて、私の目前には信じられないような光景があった。姉上の墓の前に金髪のショートカットの11歳の少女が立っていた。いつもの手作りエプロンをつけていた。

 間違いないと私は頷いた。


 アイシャ「姉上!」


 ネネの墓の前に金髪のストレートヘアの2歳の少女が立っていた。やんちゃそうな笑みを浮かべて私の方を見ている。

 それは間違いなく……。


 アイシャ「ネネ」


 リイーシャ「アイシャ!」


 ネネ「アイシャおねぇ!」


 私と姉上、ネネはお互いに涙を浮かべてぎゅっと、抱きしめ合った。

 姉上とネネの香りが二人は生きてまだ、そこにいると知らせてくれた。

 イヴと未来様がいなければ、私は号泣しているところだっただろう。それくらいに家族との果たせないはずの再会は嬉しかった。言葉には表せそうになかった。


 イヴ「…………蘇生魔法の極致に辿り着けば、やがて……お父様とお母様に。その為にボクは蘇生魔法を研究しないと………」


 未来「イヴ」


 イヴ「な、何でもないのだ。家族の笑顔は良いモノなのだ……」


 と言い、寂しそうに笑うイヴに私は紹介しなければならないなぁと思った。


 私は自分にできる最高の笑顔でイヴに紹介する姉上とネネを!


 アイシャ「紹介します、イヴ。私の姉上であり、イヴのお義姉ちゃん リイーシャ・ローラントと、私の妹であり、イヴの義妹 ネネ・ローラント! ほら、姉上、ネネ、イヴと未来様に自己紹介です、自己紹介です」



 視点:アイシャ・ローラント

 場所 地球 旧世界 東京都 千代田区、地球 新世界 東京都 凪紗南市 皇立桜花学園

 日時 2033年 4月10日 午後 1時09分



 空き教室の埃っぽい空気を感じた。

 閉じていた瞳を開く。

 そこには私が願うイヴを護る為の私の新しい剣があるはずと確信して!

 私の右手には斬りの攻撃力が高い大剣が。


 アイシャ「守護剣 デュランダル。これがイヴを護る為の私の新しい武器」


 この召喚器の名前はこれしかないと自然と脳内にインプットされていた。


 イヴ「自分の事も護るのだぞ。予はアイシャが居なくなるのも嫌だから」


 アイシャ「はい、イヴ」


 守護剣 デュランダルと共にこれからも、イヴに寄生しようとする豚やイヴに敵対する豚等を滅殺しようと私は自分の心に誓った。



<アイシャ・ローラントは召喚器 守護剣 デュランダルを手に入れた!>

<自動で装備に守護剣 デュランダルが加わりました>


<守護剣 デュランダル(召喚器)攻撃 9800 Level 36 レア度 goddess 装備時のみ DEFENCE+1800>





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