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創世する世界のイヴ # Genesis to the world's Eve  作者: 遍駆羽御
本編―――― 第3章 眠れる天賦
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第101話 才能に祝福された少女 りりす

 

 第101話 才能に祝福された少女 りりす


 視点 神の視点  ※文法の視点名です。

 場所 地球 旧世界 東京都 千代田区、地球 新世界 東京都 凪紗南市

 日時 2033年 4月9日 午後 4時20分



 ~凪沙南りりす班~


 凪沙南りりすは自分の身長よりも4倍程に大きなスカルドラゴンを前にしても、いつもの無表情を変えることは決してなかった。

 銀色の瞳には敵に知られては拙い感情――焦り、恐怖、不安などといった感情は一つも映っていない。だからこそ、りりすの周囲にいる凪沙南未来、掛川龍胆、掛川虎は護ろうと思わなかった。

 Level 270のスカルドラゴンの幼体程度がLevel 980のりりすに敵うはずがない。Levelが2倍以上の開きがある時、それは絶望的な死の香りが充満する世界であることをりりす、メイヤ、黒猫 リル以外のここに集う未来、龍胆、虎は承知していた。それは長年の戦いで得た知恵だ。


 だが、その知恵を保ってしても、イヴの妹 りりすの才能の桁が何処までのモノか? 計りかねていた。


 りりすは愛用の鎌が壊れた為、剣で訓練や実戦を行っているのだがわずか数日で鎌と同じくらいに剣を扱えている。鎌と剣では攻撃範囲も、防御方法も異なるのだからこれは驚くべき、成長率だ。

 未来は堂々と立つりりすの姿をちらりと横目で確認して、イヴの敵にならなくて良かったと思った。未来の想像ではイヴとりりすが今、闘ったら……圧倒的にりりすの方が全てにおいて上であるからだ。未来VSりりす戦で見せたりりすの本来の闘い方である複数の魔法に頼った戦いは勿論の事、神であるイヴの爆発的な遠距離魔法とりりすの古代魔法とのぶつかり合いにおいても間違いなく、りりすは勝つ。


 メイヤ「あのー、りりす様。逃げませんか? こいつら、りりす様をぱっくんちょ! しようとしてます」


 数日前のぼろい服装から今や、立派なりりすの下僕に加わり、服装も王族付きメイド服にクラスチェンジしたメイヤであったが……ヘタレな性格は変わらず、本来、護るべき主であるりりすのゴスロリ服の布をぎゅっと、離さないよーと握り締めている。

 こんなにもヘタレなのにメイヤにはりりすの守護者(主席下僕)の証である刀 漆黒乱舞刀しっこくらんぶとうが与えられている。その点においてはりりすのドSっぷりが遺憾なく、発揮されている。

 その効果はメイヤの右脚と左脚がロボのようにぎこちない動きになったことに表れていた。

 そんなメイヤの姿を見て、紅い髪で左眼を隠した掛川虎が同情の視線と苦笑で傍観している。これが初対面であるのにりりすの容赦なきドSっぷりを理解したようだ。

 虎の横では、虎の母親である長い朱髪がボサボサなのが特徴的な掛川龍胆が腹を抱えて笑っていた。


 りりす「我にも分かる。いや、この場にいる誰でも分かる。卑しくもあの骨竜は我を喰らいたくて涎を垂らしているではないか」


 格好いい台詞を言いつつ、りりすはメイヤの手を布から強制的に離す。


 しかし、メイヤは再び、ゴスロリ服の布を握り締める。


 黒猫 リル「にゃーにゃー! にゃー」


 りりす「分かるぞ、バベルスペルを使わなくとも汝の気持ちは。リル、許可しよう。我と共に漆黒のキャット リルがいる時、我とリルは無敗の剣となる」


 りりすは自分の言葉に合わせて、姉のイヴより借りている天叢雲剣を太陽の光が刃に吸い込まれやすい位置に掲げた。

 りりすの意志に呼応するように強い風がりりすの暗黒色の長髪を激しく揺らす。


 スカルドラゴンの群れの周辺を目掛けて、心理詠唱式で風魔法 トルネードを唱える。

 スカルドラゴンの視点ではこちらの動きは確認できない程の風の壁ができただろうと、りりすは確信し、リルはゆっくりとりりすの肩からアスファルトの上に着地する。そして、にゃー! と勇ましい叫びを残してスカルドラゴンの群れへと走る。その横を全く、同じ速度でりりすが並走する。

 風の壁を解いて、りりすは一体のスカルドラゴンに近寄る。


 りりす「元気か、骨竜」


 そう、りりすが棒読み口調でスカルドラゴンに言うと、スカルドラゴンはまるで人の言葉が理解できているように吠えた。

 自分の主であり、親友が馬鹿にされていると思った黒猫 リルは強靱な脚の爪でスカルドラゴンの首を両断した。


 スカルドラゴンは黒猫に負けたことに驚いた表情を見せていた。だが、黒猫 リルを見る眼には生者の光を宿してはいなかった。


 着地した黒猫 リルの死角を狙おうと2体のスカルドラゴンが殺到するが、りりすの天叢雲剣による斬撃で1体が倒れ、りりすの心理詠唱式での風魔法 トルネードでもう1体はずたずたに切り裂かれて絶命した。2体のスカルドラゴンは悲鳴を上げることさえ、漆黒のプリンセス 凪沙南りりすの前では許されなかった。


 りりすは振り返り、未来を見る。


 りりす「どう? 未来お姉様。我の戦闘は?」


 未来「無駄のない戦いぶり、見事だ。これならば、学園でのイヴを鍛えるのに良い。妹として姉を助けてやってくれ」


 りりす「元よりそのつもりです」


 未来「イヴとは仲が良いのだな?」


 りりす「イヴお姉様は暖かいから」


 そう、その暖かさはりりすが実の母親 華井恵里に求めたいモノであり、今は手に入れられないだろうと保留しているモノだ。

 決して姉の温もりを実の母親の温もりの代替品にしているわけではない。りりすはそれも欲しいのだ。必要なのだ。心がそのように結論づけているが……実現は難しそうだ。いや、答えは解っていて知りたくないから保留にしている……。


 虎「おう、りりす。イヴは――」


 りりす「様を付けろ、格下」


 棒読み口調なのに、その棒読みは氷魔法が付与されているように冷たかった……。りりすは基本、男性はあまり、好きでは無い。


 母親 華井恵里の処で暮らしていた頃に、どうしようもない男どもを何人も見てきたし、何人も処刑してきたから、見ず知らずでも男は基本、女よりも好感度がマイナスからスタートしている。

 そんな事情を知らない虎は間違えてしまったと空笑いを浮かべる。


 虎「そうだな、礼儀は大切だな。りりす様はイヴ様のことが大好きか?」


 りりす「そうね。汝の数百倍は好きだ。………虎のマイナスにかけても意味ないか」


 虎「うわぁー、凄い評価」


 そのやりとりを聴いていた龍胆が大口を開けて笑う。そして、背中に背負っていた鞘からゴッドスレイヤーと呼ばれる大剣を抜く。


 りりすはその大剣と龍胆が着ているライダースーツとは相反している気がすると感想をもった。


 龍胆「虎。りりす姫様の方が口でも、戦闘技術でも上っぽいぞ。精進しろ、なるのだろう! この母を越えて掛川家の当主に!」


 その声はスカルドラゴンすらも怯えさせる暴虐の響きを奏でていた。りりすでさえ、身体が少し、びくっと浮かび上がった……。間違いなく、未来や華井恵里と同じ位置に朱髪の女性 掛川龍胆はいる。絶体強者の位置に…………。


 虎「はい、龍胆お母さん」


 龍胆「未来! りりすの戦闘チェックは終わったな?」


 未来「ああ。もう、暴れて良いぞ、戦闘好き」


 龍胆「機械の人達と戦争をしてた頃はお前もそう見えたぞ、未来天皇代理殿?」


 未来「私はもう、機械の人達との戦争でお腹いっぱいなんだ。だから、冷静に戦局を見守る立場に甘んじよう」


 龍胆「お前がそう思う程にイヴ姫様やりりす姫様達に将来性はあるのだな?」


 未来「それはお前も知っているだろう?」


 龍胆「ああ、そうだな。暴れてくる。誰も近寄らせるな。間違えて潰してしまう」


 そう、龍胆が不気味な笑顔を浮かべて、りりす、黒猫 リル、メイヤ、虎、未来に念押しをする。


 その返事を貰う前に、龍胆は大剣をデタラメに振り回して、スカルドラゴンの群れの中心部を目指して疾走してゆく。まるで龍胆の身体がバイクのようになった。そう思っても間違いではないデタラメな速さと凶暴性が同居している。


 途中、ダークドラゴンブレスに龍胆の身体が晒されるが……全く、ダメージを受けていない。それどころか――

 龍胆「ほら、ほら、ほら! そんなじゃあ、私は燃やせない! 馬鹿か、お前!」

 ――と何故か、キレている。


 キレたいのはこっちの方だとスカルドラゴンたちは一斉に天に吠える。

 その咆哮よりも大きな声で龍胆は喜びを表す。


 龍胆「経験値だ! 経験値! やっほぉー! こりゃあ、ステータスカードを作ってくれたイヴ姫様に感謝。すぐに経験値が見られる! やっほぉー!」


 龍胆の姿にメイヤはぼそっと呟く。


 メイヤ「ええーと、キ〇ガイさん?」


 りりす「メイヤ、止せ。その発言を龍胆が聴いたら、半殺しにされる」


 りりすはいつもの棒読み口調で言っただけなのだが……必要以上にメイヤがびびりだした。


 メイヤ「ひぃー、こ、怖いです」





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