第90話 ステータスカードを発行しよう♪
第90話 ステータスカードを発行しよう♪
視点 凪紗南イヴ
場所 地球 旧世界 東京都 千代田区、地球 新世界 東京都 凪紗南市
日時 2033年 4月9日 午前 10時17分
姫屋敷と呼ばれる時雪家の屋敷の数ある中の一部屋の和室には似合わないごつい機械が在る。りりすやりりすスクールの子ども達が戸籍の機能もあるステータスカードを発行する目的で今日の為にわざわざ、地下都市 大和から運ばれた機材だ。
その機械は未データのステータスカードを対象者専用に調整するモノだ。
機械とケーブルで接続された帽子を対象者が被ることにより、脳波から対象者のステータスを読み取る。そこからはLevelに応じて、ステータスカードも変化してゆく。
機械――――ステータスアタッカーは一組しか用意されていないのでまずはりりすと思ったのだが……りりすは不安がるりりすスクールの子ども達を眺めて、棒読みでドSな発言をした。
りりす「古来より、偉大な者が食する食べ物は毒見をする者が存在する。我はその栄光ある毒見にそなたら、りりすスクールの子達 女の子50人、男の子30人の下僕らに」
りりすスクールの子ども達はみんな、りりすよりも幼く、4歳~11歳の年齢分布である。そんなに幼い子達が未知の体験をしようというのだから、当然、みんな誰も手を挙げようとしないし、りりすの言葉に戸惑いを見せている。
予がりりすに対して、まぁまぁ、と子ども達のフォローをしようと思った時、りりすは予の行動よりも早く、子ども達を見回して口を開く。
りりす「我はこれから午後3時のりりす第二皇女様日本帰還パレード後に行われるスピーチで正式に第二皇女の地位を得て、そこで我とイヴお姉様の婚約や我とイヴお姉様の間に産まれるであろう子が凪沙南家の次次代の担い手となることが発表されるであろう。さすれば、我の下僕であるそなたらもりりす第二皇女付きの使用人として我の覇道の礎となることであろう」
愛流(りりスクの少女)「りりす様! 私たち りりスクの生徒は勿論、りりす様に未来永劫、例え、地獄であろうともついて行きます。3年前にバベルの塔から共に離れて以来、皆、そう考えて様々な技術をプロレベルにまで高めました。私、桐生愛流は縄や糸等を利用した暗殺術とロッククライミング、登山、サバイバルに長けた11歳の少女です」
それを皮切りにりりすスクールの子ども達がりりすに自分の特技をアピールする。それはりりすに自分の得た技術を喜んで捧げる彼らの意志だ。予は勿論、ここにいるりりす、アイシャ、セリカ、真央、新羅咲良、時雪卑弥呼、メイヤにも理解できた。
計矢(りりスクの少年)「僕はりりす様の為に美味しいお菓子を作ります! パティシエ志望の磯柿計矢っす」
翠(りりスクの少女)「あたしはりりす様の肩や太ももをほぐします。マッサージの天才とはあたし、新垣翠の事です」
漆(りりスクの少年)「僕はあらゆる国の法律を全て、熟知しております。りりす様の覇道に役に立つかと思います」
実に80人の子ども達が口々に自分の才を口にしたのだった。
その声で騒がしくなっていた和室はそれが止むと……嘘のように静まりかえる。りりすスクールの子達が烏色の長髪と銀の両眼が特徴的な低身長第二皇女 りりすの言葉を待っていた。
りりす「言うようになった。ならば、未知なる者に挑むのが我が下僕の証。さぁ、ステータスカードを手に入れるのだ」
りりすの棒読み口調にりりすスクールの子ども達は片手を天に挙げて、「おう!」と元気よく返事をした。
先ほどの尻込みがなかったかのように、ステータスアタッカーを操作する技師が困惑するような人数がステータスアタッカーの前へに群がる。
りりすはそれに対して、ある解決策を打ち出す。
当たり前のように黒ニーソを脱ぎ捨てると、もう、反射条件なのか? りりすスクールのみんながお行儀良く、座る。どの顔も何処か、達観した悟りを開いた顔をしている。それにメイヤも肩を落として加わる。
メイヤ「サ、サバトの儀式ですね。覚悟はできてます。初体験します」
メイヤや、りりすスクールのみんなのうち、愛流の鼻先寸前にりりすの足が近寄る。
りりす「さぁ、最後まで我の足を舐めることを我慢できたら……その選ばれし勇者がステータスカードを最初に手にする栄誉を預かるのだぞ……」
その言葉にどん引きして、時雪卑弥呼は生まれつき、喋る機能がないので……プラカードにりりすの言葉に対しての感想を書き込んで掲げる。
卑弥呼【破廉恥な事を日本の皇女が……皇女が。皇室の風俗の乱れか……。乱れか……】
同様ぶりが酷く、手で黒髪をクシャクシャにしている。トレードマークである常夏色の小麦肌が若干、赤く色づいている。お年寄りの卑弥呼お婆様には刺激が強いようだ、りりすのドSは。
しかし、予もできれば、りりすのそう言った行為は止めて欲しい。りりすの肌をぺろぺろする権利は婚約者である予にあるのだ。アイシャの姉上であり、メイド長であるリイーシャが言っていた”素肌へのぺろぺろは愛する者同士が愛を確認する素晴らしい行為である”、と。
真央「ちょっと、あんた! 卑弥呼ばあちゃんが困っているでしょ! いい加減、そのサバトっての止めなさい。厨二病にも限度があるわよ!」
イヴ「おお、それがサバトであったか。未来お姉様にそれをりりすがしたら、お姉ちゃんらしく、叱りなさいと言付かっているのだぁー。ではさっそく」
予は未だに愛流の鼻先寸前に素足を挙げているりりすのおでこにデコピンを喰らわす。そして、りりすをぎゅっと、抱きしめて予は全国のお姉ちゃんあこがれの名言を言う。
イヴ「めっ、でしょ♪ りりすちゃん。お姉様の言うことを聴きなさい」
セリカ「まぁまぁーまぁー。これは本物のお姉ちゃんのみに許された背伸びをしたい年頃のお姉ちゃんがする妹叱りですわ。これは高等技術ですわ。やりますわ、イヴちゃん」
真央「できてもあんま、嬉しくねぇーよ、それ」
と、真央がおっとりとして両手を前へ握りしめているセリカの肘を自分の肘で軽く、突いた。
セリカはそれには友情が込められていると理解して姦しく笑う。大輪のひまわりが何輪も咲き乱れているようだった。
釣られて真央も笑う。
予はりりすのゴスロリ服の脇腹部分を引っ張って、メイヤやりりすスクールのみんなと強制的に距離を置かせる。
りりす「イヴお姉様が我の為に嫉妬してくれたぞ。嬉しい。魔神が復活したのに匹敵する嬉しさ」
イヴ「魔神 エクシードバーラ? そんなの復活していないのだ。あれは神層世界の何処かに封印されているのだ。そう、駄目神に聞いたのだ」
りりす「………存在していたのか、魔神……。世界は広い」
イヴ「うん、世界は広い」
充分、離れた障子窓のそばでりりすを引っ張る手を離した。
さて、と心の中で次に行動を移すべく、そう呟いて、予はりりすとは異なる解決策を打ち出す。
イヴ「とりあえず、あみだくじで順番を決めるのだ! ハンバーガーの文字があった子は景品としてテリヤキバーガー 一つ、プレゼントなのだ!」
そう、予がメイヤや、りりすスクールのみんなに言うと、りりすスクールのみんなは残念そうな顔をした。
テリヤキバーガーではなく、他の景品が良かったのか? と首を捻る。
真央「あんたのせいで変態になったじゃないあの子達」
りりす「我は元々、あった素質(ドM)を開花したにすぎない。言うなれば、我はブリーダーみたいな存在」
セリカ「それじゃあ、りりすちゃんは猫とか、犬とか、育てるのが得意なんですわね」
アイシャ「雌豚が雌猫や雌犬を育てるのか……くくっ」
何故か、物静かだったアイシャが微かに笑い声を上げている。それでも悟られたくないらしく、不揃いにも顔は一部、真面目さんモードのままだ。
*
愛流(りりスクの少女)「私、Level 67です。意外と高くて得した気分」
計矢(りりスクの少年)「僕はLevel 55っす。パティシエにこんなにLevelが必要なのか、解らないけど、あることに越したことはないっす。うーうれしー」
翠(りりスクの少女)「Level 50。マッサージにどう影響するのか……。後で仲間達の協力を得て実行♪」
漆(りりスクの少年)「僕はLevel 57。まぁまぁの成績でしょう。これに驕らず、邁進するのみ」
このようにりりすスクールの子ども達は新品の自分専用ステータスカードを見せ合いっこを始める。
予も子ども達に倣って、新品のステータスカードをじっーと眺めているりりすに聞く。
イヴ「りりすはLevel いくつなのだ?」
りりす「しばし、待て、イヴお姉様。えーと」
4種類のフル表示モード、戦闘データ表示モード、身分提示モード、カスタム表示モードが作動できるスイッチと電源がある剣と杖の模様が交差したエメラルド色のカード――――ステータスカードを恐る恐ると、操作する。
りりす「自分以外にも観られるように設定し、戦闘データ表示モードを押す。これで我にも解らない我のLevelが明らかになる」
りりすのステータスカードから表示されたホログラム ウィンドウの値はチートのバーゲンセールだった。
*
【――――凪紗南りりす
~ステータス~
level 980
HP 82034 素質 C
MP 494500 素質 legend
SOUL 9890 素質 D
STRENGTH 138490 素質 B
SPEED 49415 素質 D
MAGIC ATTACK 296700 素質 SS
CONCENTRATION 187970 素質 A
DEFENCE 207690 素質 S
MAGIC DEFENCE 217530 素質 S
INTELLIGENCE 143320 素質 B
cruel ???(自分を構築する必要な物事以外は切り捨てる?) 素質 impossibility
適正魔法 炎・水・地・風・氷・雷・光・闇・毒・無・古代
常識外魔法 融合
武術 ――――
装備
天叢雲剣 攻撃 9999 装備時のみ 1日10回限定MP50%回復 レア度 LR
天涙のクリスタル 魔法制御力 7022 レア度 N
アリスゴシックドレス 物理防御 3470 魔法防御 4077 レア度 N
クイーンリング アイテムを城一つ分収納可能 レア度 LR
称号
凪紗南天皇家の第二皇女(非公認)、りりすスクール 学園長、善を成す悪、Garden of the GodsのLilith、イヴお姉様キラー、古代魔法の練達者、華井恵里の対イヴ皇女秘密兵器 コードネーム ベリティリ、戦闘が限りなくドS魔法少女、テロ組織 バベルの塔 党首の娘
※称号は全て、少女神 リンテリアの独断と偏見です☆
特殊スキル
常に棒読み&厨二病 ただ、ただ、人に奇異の目で見られる効果がある。
Philosopher's Eye(賢者の瞳) 凪紗南天皇家の血筋のみが保つ銀色の瞳。特に効果はないが……有名で、銀色の瞳は皇家のみのモノである為、すぐに身元がバレる。
スキル
魔法:炎 22、水 27、地 22、風 99、氷 20、雷 19、光 19、闇 22、毒 31、無 29、古代 55
武術:鎌 48、拳 8、投擲 56
生活:料理 38、裁縫 45、お掃除 67、音楽 999(姉とは違い、歌うだけで人を癒やせる!)、交渉 32(実はあまり、交渉事は苦手で黒猫 リルに助けてもらう)、ダンス 999(最初は苦手であったが朝から夜まで特訓した)、性 ー22(お母様がお父様を無理矢理、犯している場面を見ているので苦手)、厳しさ 11(自分はお母様の子だと言い聞かせて冷酷になろうとするがなれない)、厨二病中毒 ∞、美術 18
※少女神 リンテリアによる評価。独断と偏見が混じっている。
習得済み魔法
~風魔法~
エア
飛翔魔法、とてもバランスが難しく、人間は本来、飛ぶようにできていないので、相当の練習が必要。自由自在に飛ぶのに、およそ1年はかかる。また、高速に飛ぶには、エア タンクで酸素確保。ヒートで体温保持をしなければならないので、相当魔法に長けたものでないといけない。飛翔維持時間は歩くような速度でMP10につき、1分。飛行機のような速度 約時速900㎞でMP50につき、1分。
飛行速度 徒歩 約時速4㎞ MP10~∞ 1分~∞
飛行速度 飛行機 約時速 900㎞ MP50~∞ 1分~∞
エア タンク
体内酸素維持。唱えた瞬間、肺呼吸から魔法呼吸へと変わる。1分毎に、MP10。MP10~∞。1分~∞。水中活動や、酸素を吸い込んではいけない猛毒地帯や、火事現場で利用される魔法。
エア ボール
MAGIC ATTACK 10% MP5 単体攻撃 C
エア ガード
MAGIC DEFENCE 10% MP27 範囲防御 C
ウィンド ハンマー
MAGIC ATTACK 20% MP15 単体攻撃 B
エア ウェア
MAGIC DEFENCE 20% MP20 単体防御 B
トルネード
MAGIC ATTACK 30% MP45 範囲攻撃 A
~古代魔法~
マジックカウンター
相手の魔法を跳ね返し、威力を2倍にして返す299年前の救国の英雄 反逆の王子 フェイ・シーリングの唯一の魔法。 MP770 単体攻撃or周囲攻撃(相手の魔法次第) goddess
ハバムート ストーム
北庄国の初代竜王 バハムート・ホクショウが編み出した天候を操作し、敵軍を一瞬にして滅ぼす最強の抑止力。MP880 MAGIC ATTACK 320% 周囲攻撃 goddess
ドラグ マグマ
華井恵里が得意とする灰さえ残さない神の炎。手の平大の炎の為、小回りも効く古代魔法の攻撃では一番、使い勝手が良い。MP900 MAGIC ATTACK 340% 単体攻撃 goddess
エーテル スピア
神々の稲妻の雨を降らせる至高の一撃。MP890 MAGIC ATTACK 320% 周囲攻撃 goddess
フェンリル フリーズ
オオカミの形をした永遠に溶けない氷の怪物召喚。その怪物から放たれる強烈な氷の息。 MP910 MAGIC ATTACK 320% 周囲攻撃 goddess
ロジック タイム
時を一瞬、停止させる失われた時魔法系。邪神王 レオン・ハンニバルが得意とする古代魔法。MP1300
アイテム キーパー
魔力量に応じて広さが決まり、初期詠唱時に次元空間が形成される。一向は消費なしでアイテムを出し入れできる。初期空間構築にMP全て。広さを更新したい場合も同様。
ダークネス マスター
全てを消滅させる暗黒の穴。華井りりすがこの世に再度、生み出した下級邪神ならば消滅可能な神殺しの魔法。リンテリア神がロリ本を処分する時に使う魔法でもある。MP1000 MAGIC ATTACK 360% 種族が神の場合、MAGIC DEFENCE無視のMAGIC ATTACK 350% 単体攻撃 goddess
アーク シャイニング ブレイク
絶対回避不可能の光で構築された一振りの飛剣。善人であれば、あるほど、その光には逆らえないとある神様に逆らった際に使用する神罰宗教魔法。MP1000 MAGIC ATTACK 360% 善人の場合、MAGIC DEFENCE無視のMAGIC ATTACK 350% 単体攻撃 goddess
バベル スペル
特定の動物とお話できるぞ! MP280 goddess
殲滅の
魔法は同時には唱えられない人間の特性を度外視するイデアワード。但し、一つの魔法に付き、MP+50%消費する。goddess
テレポート
時魔法の基本。自分の知っている人物のノエシスの情報を捉えて、その人の傍に瞬間移動する。MP300 goddess
ケルベロス
無属性魔法の極致。瞬間的にSTRENGTH、DEFENCE、SPEED、MAGIC ATTACK、MAGIC DEFENCE、CONCENTRATIONを2倍にする。MP6700 自分のみ。 goddess
マジックスキャン
戦闘時のみ、相手の使用した魔法を見て、完全再現する。ただし、適正がない魔法は再現できない。MP2000 自分のみ。 goddess
リンク ソング
心の中で会話することが一時的に可能になる。MP700×対象人数。 goddess
技
――――
以上が凪沙南りりすの戦闘データ表示です。】
*
イヴ「……さ・す・が・我・の・い・もうと(何故か、ロボ口調……)」
真央「おいおい、これ、主人公みたいなステータスだろう? あたし達と比べちゃ駄目な感じだ、これ」
セリカ「……びっくりですわ。とても、つよいんですね、りりすちゃん」
アイシャ「私だって聖剣 ローラントがあれば、劣りはしない。劣りはしないはず……」
予達はそれを観て固まるしかなかった。
時雪卑弥呼お婆様はプラカードにこんな感想を書き込んでいた。
卑弥呼【天才の子は天才ということ。全ては巡り巡り、血も巡り巡る】
そんなシリアスなシーンにも関わらず、予のズッ友 新羅咲良は立ったまま、夢の世界へと旅立っていた。
りりす「で? イヴお姉様。Level 980って凄いのか? 我は他者のLevelと比べたことがないので存ぜぬ」
イヴ「なんだろう、この無邪気な棒読みが。予の姉としての威厳を傷つける」
セリカ「イヴちゃんは威厳よりも可愛い系ですわ」
アイシャ「そうです。銀色のサラサラヘア、銀と金のオッドアイ、子どもサイズの慎ましやかな胸、老若男女全ての層から好かれる小学生サイズの身長。それは可愛いさの何乗もの効果を生み出しているのですよ、イヴ。そろそろ、自覚を」
イヴ「う、うむ……」




