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創世する世界のイヴ # Genesis to the world's Eve  作者: 遍駆羽御
本編―――― 第3章 眠れる天賦
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第88話 厨二病を無理矢理、露天風呂へ連行しよう♪


第88話 厨二病を無理矢理、露天風呂へ連行しよう♪


視点 凪紗南イヴ

場所 地球 旧世界 東京都 千代田区、地球 新世界 東京都 凪紗南市 女王の館

日時 2033年 4月9日 午前 4時35分



「今日が始まりますよ! 皆様、起きて下さいよ」と朝日が予の顔を照らす前に予は夢の世界から現実の世界へと覚醒を果たす。


目を開くと……すぐに目の前にあるのは、黒猫の着ぐるみを着て眠っているりりすの顔だった。

りりすは予の手を握りしめている。その手から伝わる温度が妹と共に生活している事実を教えてくれる。その効果なのか、最近は目覚めが良い。


目を擦り、辺りを見まわす。

予の右側にはりりす、左側には掛け布団を蹴飛ばして大切なところまで晒している全裸の真央、真央の左側には何もつけていない素肌を護るようにぎゅっと掛け布団の上部を握り締めたセリカ、りりすの右側にいるはずのアイシャの姿はなく……アイシャがいたとされるシーツの乱れのみが残されていた。


アイシャ「おはようございます、イヴ」


そのクールな声の発生源を金銀のオッドアイで辿ると、金色の髪を後ろに束ねた少女 アイシャ・ローラントが予の目を覚ます為に葡萄ジュースをグラスに注いでいる最中だった。深い紫色の滝のような流れだけで甘い香りがすると解る。


6つキングサイズのベッドを繋ぎ合わせたベッドから降りると、衣紋掛けに引っ掛かっていた着物に袖を通す。帯を結ばずにただ、羽織っただけであり、ぷくりと小さく膨らんでいる胸や大切な場所が見えてしまっているが婚約者の一人 アイシャが見えているだけなので予は気にしない。

今朝は黒い背景に無数の桜が吹雪のように舞っているデザインの着物であり、センスがとても良い。後でこれは誰の作品か? 聞いて、予のお気に入りデザイナーに入れておかなければ。勿論、パタンナーも。


アイシャが予に葡萄ジュースを手渡してくれた。

もう、シャワーを浴びたようでほのかに植物性のシャンプーの香りがする。それに頬も赤い。


イヴ「もう少し、待っていてくれれば、予もアイシャと朝シャワーを浴びれたのだぁー」


アイシャ「イヴの承認が必要な書類がワールドゲートを経由して届いていますよ。ですから、私はその整理が必要だったのです。いつものことですが、あまり……ぶ、文官の方を待たせるのはイヴの評価が下がるでしょ」


イヴ「アイシャの言う通りなのだ。うーん、葡萄の良い匂い。今回も採れたて」


予は葡萄ジュースのグラスに口を付けて、一気に飲む。乾いていた喉にフルーティーな潤いが追加されて頭の回転が速くなってきた。その証拠に目の霞も取れて、可愛く凛々しいアイシャの顔がはっきりと確認できるようになった。今も真面目が性分のアイシャはグラスの水滴で濡れてしまったテーブルを布巾で拭き取ってくれている。アイシャらしく、サクランボの入ったお皿の下もわざわざ、持ち上げてついでに拭いていた。

真央、アイシャ、セリカ、りりすの婚約者達の中で一番、生真面目なのはアイシャであり、予とアイシャの子が予の次のクイーン王国女王になる為、アイシャはクイーン王国に関しては積極的に手伝いをしてくれている。予の専属秘書 兼 守護騎士のようなものだ。最も、それ以上だ! と予は腰を曲げてテーブルを拭くことに集中しているアイシャの金色の髪を優しく、一房ずつ、匂いを確認してゆく。


イヴ「アイシャの髪の香りは幸福の香りなのだ。ん~、なんかまた、眠くなるのだぁ。しかし、予はお仕事をすべく、りりすを連れて露天風呂に入浴し、脳をさらに明瞭にするのだぁ! 効率アップ」


アイシャ「はい、それにしてもイヴとそんなに入浴したくないのか? そこでぐぅーすか、眠っている近親相姦希望厨二病皇女」


アイシャはりりすの黒猫フードを剥ぎ取り、乱れた烏色の長髪を「えい……えい……」と指でつつく。


イヴ「近親相姦希望って…………予とりりすは日本の天皇の血を後生に繋ぐべく、交わるのだから……間違ってはおらぬ。しかし、アイシャよ。からかいすぎは良くないぞ♪」


そう言う予もにやりと悪戯幼女の如き微笑みを浮かべて、りりすの艶やかな唇を一舐めした後、りりすの唇に自分の唇をそっと、重ね合わせる。

長く、キスをしたかったがあまり、長すぎるとりりすが起きてしまうのですぐに離す。


その光景を物欲しそうにアイシャが眺めていたので、アイシャの首に両手を回してそっと、アイシャと口づけを交わした。


アイシャ「時間が許されるならば、何時間でも私はイヴと口づけをしていたですね」


イヴ「予も、なのだ。しかし、時は有限! 予はお仕事フェイズに入るべくと、異世界 リンテリア文化である素肌の就寝すら恥ずかしくてできないりりすに荒療治という治療を行うのだ。さぁ、アイシャ、りりすの足を持ってい」


アイシャ「は! イヴ、仰せのままに」


すぐにアイシャはりりすの黒猫着ぐるみに覆われた両足を持つ。


ふわふわそうなのだぁーと思いながら、予はりりすの両脇に手を入れる。同じく、黒猫着ぐるみに覆われているので感触は――――


イヴ「ふわふわなのだぁ」


アイシャ「イヴ。良いですか?」


イヴ「オーケーなのだぁ」


イヴ&アイシャ「せーの!」


予とアイシャでなるべく、揺らさずに未だ、眠り姫状態の予の妹 凪沙南りりす第二皇女を持ち上げる。そして、現在、予達がいる女王の館 2階 2つ目の予専用寝室から1階へと移動し、渡り廊下を渡った場所にある露天風呂まで、りりすをこのまま、運ぶ。


途中、数人のメイド達に出くわす。

予はニコニコと、アイシャはクールに、おはよう! を言った。そんな予達の姿を見て、メイド達は微笑ましいと思っているのが見え見えである柔らかな表情でおはようございます、と予達に対応する。


イヴ「りりす、ここに来ても緊張のしっぱなしだったのだぁ。やっと、疲れて完全に今日はお眠なのだ」


アイシャ「それもありますが、別の屋敷に保護されているりりすスクールの子ども達が気になるのでしょう。大したものです。3年前の冬からGarden of the GodsのLilithとしての歌手活動で得た資金で子ども達の為に日本政府に見つからない崖に囲まれた険しい山岳地帯に大きな2階建ての家を建設し、仕事の合間に勉強等の教育を施す。きっと、緊張の連続の日々でしょう。それに……仕事上のコミュニケーション能力ゼロそうですよ。見た目、根暗そのものです。真央が暗い部屋でゴスロリ着て、魔法書を読んでいそうと言っていました」


イヴ「実際、それに近かったのであろう。古代魔法は並大抵の努力と才能では習得できない」


アイシャ「敵にならなくて良かったですね、イヴ」


イヴ「良かった、本当に」


予はアイシャと共に運んでいるりりすの寝顔を覗き見て、もう、可能性がないりりすと対峙するイベントを振り払った。


未だ、太陽は出ておらず、暗い渡り廊下を歩んでゆく。

ほんの数分もかからずに、露天風呂の入り口に到着した。


入り口は予と予の婚約者達、未来お姉様が入浴する為の露天風呂なので一カ所しかない。予は心理詠唱式で風魔法 エアを入り口の扉に唱えた。エアの飛翔する風の力が扉の隙間に働き、右へと扉がスライドした。

魔法によってはこんな応用も利く。だが、その時の予はそれよりも妹との初入浴にテンションが高まっていた。


イヴ「さぁ、脱衣所でりりすの黒猫着ぐるみを脱ぎ脱ぎするのだ!」


アイシャ「私も露天風呂、ご一緒します。イヴと入浴できるならば、2回目の露天風呂くらい……湯冷めも怖くありません。そして、イヴの肌の体温を感じられたらもう、何も怖くない」





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