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「はん。少しはやるじゃねーの」


 金城は銀夜の貫くような視線を、堂々と受け止めながら言った。そして、

「高校に上がってからのアンタの噂は耳にしてたよ。急に勉強熱心になって真面目になったとか、無遅刻無欠席の完全な優等生になったとかね。

 アタイには到底信じられなかったよ。あのシルバーブレットと恐れられた銀夜が、男に言いくるめられたぐらいで、考えを改めるようなタマかってね。けど、今のアンタを見てハッキリと分かったよ。アンタは何も変わっちゃいない。猫をかぶっていても、性根はあの頃のままさ」


「逸海。わたくしは――」


「黙りな。どんなに努力をしても、人間の性格なんてそう簡単に変えられやしない。アンタだって本当は分かってるんだろ?」


「……そうかもしれないわ。でもわたくしは、そんな中途半端な覚悟でメイドになりたいわけではない。死ぬ気で生まれ変わると決めたのよ。ご主人様がわたくしを導いて下さったあの日から」


「そんな男絡みの決意なんて、すぐ流されるに決まってるジャン。だから眼を覚ましなって言ってるんだよ」


 金城は冷然と笑った。


「そうだろ? アンタはそこの男にイカれちまってるみたいだけど、その男はアンタのことをどう思ってるんだろうねえ。四人もの不良を一瞬でねじ伏せる女なんか好きになるかい? え?」


「手を出してきたのは貴方達が先よ。いわばこれは正当防衛だわ」


 銀夜は息をついた。


「話をすり替えようとしたみたいだけど、残念ね」


「そんなに余裕ぶってていいのかい? アタイはアンタがもっとも知られたくない秘密を握ってるんだよ」


「なっ……」

 金城が意味深にそう言うと、銀夜の肩がビクッと震えた。


 長い静寂。不適に見下ろす金城に対し、銀夜は肩を落とし視線を下げている。

 銀夜が知られたくない秘密とは何なのだろうか。そう尋ねることを、この静寂は容認しなかった。


「わたくしには、知られて困る秘密などないわ」


 捻り出すようにやっと、銀夜は言葉を紡いだ。


「どんな事かは分からないけど、聞く耳持たないわよ」


「アンタは、そこの男にバレたくない過ちは犯してないって言うんだね?」


「ええ」


「アンタが、自らの姉を殺していてもかい?」


「!?」


 金城がそう言った瞬間、全ての時間は途切れた。

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