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最弱の有能冒険者  作者: 夜つ七
第一章 ─劣等生─
9/13

【Quiet talk】

 皆様お久しぶりです。

 仕事が一段落……していませんが、何とか書く事が出来ました。

 題名から分かるように今回は閑話です。非常に短いですがご容赦を。

  ある日のことだ。

 俺達は深い宵闇の中で、久し振りに会うことになる。


「久し振りだな」


 その言葉に赤髪の少女は答えない。

 当たり前か。彼女は俺を嫌っている。そして俺も彼女を嫌っている。

 それはしょうがない事だろう。あの子の笑顔を独り占めしたい彼女からすれば、俺と言う存在は邪魔でしかない。それは俺としても同じだ。あの子が涙する原因になり得る彼女を許容する事など俺には出来無い。

 だからこそ、だ。現在の状況がどれほど異常な事か理解できた。


「……アンタに頼みがある」

「これは珍しいな。お前が俺に頼るなんて、明日は神様にでも出会うかもしれないな」

「都合がいい話なのも理解している。だけど、アンタ以外には頼めないの」


 これはまた、どうやら相当追い詰められているらしい。

 これはどんな内容か、多少だが興味を引かれた。弱みを握れるのならそれに越した事はないだろうし。


「内容次第かな。つまらなかったら即座に帰るから」

「安心していいわ。つまらなくなんてない、アンタからしたら腹を抱えて笑いたくなるような内容よ」


 その後、確かに彼女の話は夜中だと言う事を忘れてしまう程に笑えるものだった。

 ああ、確かにこれは俺以外には頼めない。他人に話したら何をされるか分からないにも程がある。このまま周囲に話すのも、楽しそうだとは思うけれども。


 ────それでは彼があまりに不憫だろう。


「いいよ。今回はしょうがない。俺も協力してあげよう」

「ありがとう。今回ばかりは助かったわ」

「気にしないでくれ。俺は俺で楽しませてもらうから」


 神様というのはやはり性格が悪い。

 それは遥か昔に理解していたが、今回の事で正しく再確認できた。

 まったく、面白いにも程がある。これは是が非でも神様達に喧嘩を売らなければ気が収まらない。


「それじゃ、明日からよろしく」

「ええ、協力感謝するわ」


 その日、俺達は笑顔で別れた。

 一人は死ぬ覚悟を決めた馬鹿女。一人は守る覚悟を決めた馬鹿男。

 敵対関係にありながら、互いの最愛を守るために両者は久方振りに手を組んだ。

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