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Free・World・Story~フリー・ワールド・ストーリー  作者: 月見 呆一 (旧 月見)
第二章 クレスヴィルの魔女 クレスヴィル後
16/37

6 森の魔物 部下

「じゃあ、ロックフォールって、けっこう、気弱なの?」


 ―――ドン!!


「そうなんですよ。何か失敗すると、慌てふためく癖があって…。でも、一途なところもあって、悪い子じゃないんです。まあ、それが、頑固になってたりもしますがね」


 ―――ドパッ!!


「へー、じゃあ、アメリのほうは?」


 ―――ドンッ!!


「とにかく優秀ですよ。いつも口じゃ負けちゃいますね。スパスパ、なんでも言っちゃう子なんです。いや、わたしは口がいまいち―――」

「…その口を動かす前に、手のほうに集中したらどうだ?」

  

 さっきから横に立っていたオリガに言われ、ナギサは自分の手のほうに目線を戻した。

 ナギサの手の上には、深い、海のような色の魔石が乗っていた。その手の先、そこには、大きな穴が一つ。それは音がするたびに、大きく、深くなっていく。オリガがちらりとそれを見て、言った。


「…一昨日よりは、マシといったところか?」

「そうですね。撃つ時の、力加減の調整が、やっぱり、難しいですが…」


 もう一度、魔石に力を込め、撃ちだす。

 相変わらず、大きな火の大玉が、ナギサの前に現れる。それはくるぶしほどの高さだけ、宙に浮いていて、とろとろと動き出す。草に覆われた丘の中腹、そこに掘られた大穴に入ったかと思うと、爆ぜる。

 さっきからこれの繰り返しだ。フィーデルさんいはく(、、、)、慣れが必要だそうだ。あとは、なんとかなる、らしい。


「…しかし、さっきから話のほうに注意がそれているぞ?」

「いやぁ、すみません。つい、話しすぎました」

 

 そう言って、頭を掻こうとしたが、ポニーテールにした髪が邪魔になってできなかった。この髪は、実に困りものだった。なんと、切れない(、、、、)のだ。

 いや、切ることはできる。アメリには悪いとは思ったが、昨日、鋏を買ってきて、試してみた。しかし、いつの間にか、長さが元に戻っているのだ。なぜかは知らないし、気味も悪いが、とにかく邪魔になる。応急処置としてこうしてみたが、やはり慣れない。

 ナギサは手を下ろして、クレスヴィルの方向を見た。遠くに、赤い点がポツリとあった。


「ようやく、ロックフォール君と会えるんですから、何となく、ね?」


 そう言って、ナギサは頬を緩めた。

 あれ(、、)から、ようやく、三日が経っていた。

 今は午前中だ。今日の昼ごろ、門のところで会う約束になっている。その時に、アメリのことも相談するつもりだった。彼女からの返事は、まだ、来ていなかった。

 何となく胸の内にあるモヤモヤをごまかすように、この二日、ナギサは魔法の練習に没頭していた。朝、ミシェルさんのうわさ話に付き合い、それから食べ物と飲みモノを持ち(プリンはさすがになかったが)、半分、ピクニックのようにこの場所に来る。そして、モヤモヤをはらうようにひたすらに撃つ。それの繰り返し。そのあいだ感じていたモヤモヤも、うまくすれば、今日までだ。

 しかし、クレスヴィルの方向を見ているうち、ため息が込み上げてきた。


「…向こうが、約束を守ってくれればいいんですがね」

 

 なかなかの活躍をしてはいるらしいから、無事ではあるだろう。オリガに頼んで、毎日経過報告のようなものをしてもらっていた。あれ以来、ロックフォールはさらに調子を上げているらしい。アメリは相変わらずだ。

 だが、そのロックフォールの報告は、ナギサを不安にもさせた。気弱の常としてか、調子にも乗りやすいのだ。ヘンなこと(、、、、、)になっていないことを、ナギサは、それを聞いたときから祈っていた。

 ソワソワそわそわ。

 さっきから落ち着かないナギサに、オリガはたしなめるように息をついた。


「いちいち気にしていても、仕方ないだろう? それより、練習に励んだらどうだ?」

「そうなんですけどねぇ、何だか、うまく(、、、)いかないんですよ」

「フィーデルさんに言われたことは、守ってるのよねぇ?」


 少し離れたところでイリサはさっきから座っていた。そこに座ったまま、ナギサと言葉を交わしている。

 言われて、ナギサは、ため息をついた。


「そのつもりなんですけどねぇ…」


 そう言って、もう一発、撃つ。

 さっきと同じようなモノが、ノロノロ進んで、さっきと同じように爆ぜる。

 少しだけ、速度は上がっていたが、変化はそれだけだった。


「―――このあいだより、撃ちやすいのは確かなんですけどね。やっぱり、これ(、、)以上は、威力が絞れませんね」


”慣れてくれば”の度合いが、どのくらいか分からないが、これ以上うまくやれる感じがしない。さっきから穴ばかりが大きくなる。このまま、井戸でも掘れそうだ。


「…捕獲の依頼とかは、このままじゃ受けられませんしねぇ」

「護衛も、危険すぎて無理だな」


 オリガの言葉に、ナギサは、ただただ、ため息をついた。

 オリガも、ため息をつく。


「―――依頼を受けたのは、ロックフォールたちが解放されるまでだ。早い方がいいぞ?」

「そうなんですけどねぇ。こればかりは、何とも言えません。解放といえば、どうですか、イリサさん?」

「んー、今日は、いないみたいね。何にも感じない」


 あたりを見まわしていたイリサが、言った。

 昨日から、弓を持ってきていた。用心のためということだったが、それ以来、視線を感じなくなったそうだ。けっこう敏感になったつもりだったが、感じない視線。確認もできないのだが、無いといわれれば、それはそれで安心できる。

 ナギサはため息をついた。


「―――まあ、いなくなってくれれば、それに越したことは無いんですがね」

「本当に、心当たりはないのか?」


 オリガに聞かれても、答えようもない。

 ナギサはただ首を振った。


「…そうか」

「何か、役に立つことが、言えれば良いんですけどねぇ」

「オリガ、無理言っちゃだめよ。…まぁ、相手が分かれば、たしかにこっち(、、、)も楽なんだけどねぇ」


 そう言って、イリサは一渡り、あたりを見回す。

 ただ草原と、青い空が広がっているだけだ。

 ナギサは、ふと、疑問に思ったことを聞いた。


「そういえば、イリサさん。気配が分かるって、どんな感じなんですか?」

「んー、何となく肌で感じるっていうか、そんな感じよ。また何か知りたいの?」

「正直にいえばそうなりますけど、とりあえず、今は、こっちを何とかしないといけませんし、ね!」


 ―――ボン!!


 ナギサの魔法が、また穴を深くする。

 ナギサはため息をついた。


「―――感覚に頼るところが大きいのが、玉に傷ですよね。アメリ君も、ロックフォール君も、大丈夫なんだろうか?」

「…ヒトの心配よりも、自分のことを何とかしろ。お前は、おせっかいが過ぎる」

「オリガが人のこと、言えた義理じゃないんじゃないの?」

「うるさい。だいたい、下手をすれば、見捨てられかねない相手じゃなかったのか?」

「まあ、癖みたいなものですよ。さて…」


 ナギサは、それを見上げた。

 太陽が、高く昇り始めていた。

 そろそろ、約束の時間だ。


「―――そろそろ、約束の時間ですね。行きましょうか」

「もう良いのか?」

「ええ、いろいろと、確認したいことを先にしましょう。頑固者ですが、なんとか話をさせられるかもしれません」


 ナギサは魔石をポシェットにしまった。イリサが立ち上がるのを待ち、三人で歩き始める。

 どこかでちょろちょろと音がしていた。見ると、大穴から、本当に水がわき出していた。

 ナギサは、ふうと、息をついた。


 ―――井戸掘りに使える魔法、ね。

 

 まだまだ、先は長そうだ。

 ナギサはトボトボと歩き始めた。


 


 ナギサたちがクレスヴィルの街の近くまで来たとき、あのけたたましい鐘が鳴り響いた。

 ナギサは上を見上げた。塔の部分で、見張りたちが忙しく立ち働いている。


「―――またか」


 その様子を見ていたオリガが、ぽつりとつぶやく。

 ナギサもうなずいた。


「この二日くらいは、一晩中鳴りっぱなしですからね。ダンジョンの活性化って、こんなに大変なんですか?」

「そんなわけないじゃない…」


 辟易したように、イリサは顔をしかめていた。


「いつも、あっても一週間くらいだもの。一月分、期間が延びたからかしらね。ずいぶん久しぶりだったみたいだけど」

「…ああ、しかし、問題もないだろう」


 オリガは門のほうに視線を向けた。

 クレスヴィルの大門、そこは、人でごった返している。ほぼ全員、何かしら武器のようなものを持っていて、それらがぞろぞろ街の中へと入っていく。

 

「…どんどん街も賑やかになりますね」


 ナギサは門の中に入っていく顔ぶれを見ながら言った。

 最初に見たときとはずいぶん、その人相は変わっている。ガラがよくなった、とでも言うのだろうか。物々しいのは変わらないが、なんだかずいぶん雰囲気が違う。

 オリガがナギサの視線に気づいた。


「―――ランクル殿が、応援要請を出したそうだ。私たちのように、他の街からのハンターが、ずいぶん来ている」

「ああ、そうなんですか。でも、応援要請出さなきゃいけないほどには、忙しいのか…」


 休憩用の交代人員だとか、いろいろと単純な人手が足りなくなってきているらしい。

 ナギサは、唸った。


「本当に、ロックフォール君、来れますかね?」

「…まあ、ランクル殿としても、あまり外出はさせたくないだろうがな。そういう部分は、しっかりしている人だ。大丈夫だろう」


 そう言って、チラリと、ナギサを見る。


「―――だから、あまり馬鹿なことは考えるなよ?」

「…何のことでしょうか?」

「お前、忙しい今なら、ハンターになりやすいんじゃないかと考えていたろう?」


 オリガが言った。

 ナギサは、ただ黙って、そっぽを向いた。


「…何のことでしょうか?」

「ランクル殿は、そういう部分もしっかりしている人だ。無理だぞ?」

 

 じっと、オリガは胡散臭そうにナギサを見ている。

 上目づかいに、オリガを見上げた。


「どうしても、無理ですか?」

「無理だな。生き残れないような奴を、わざわざギルドに組み入れてくれるほど、ランクル殿は甘い人ではな―――」


 そこまで、言いかけたオリガの言葉は、再び聞こえた鐘の音に、遮られた。

 オリガとイリサが、ハッとして上を見上げた。

 つられて、ナギサも上を見る。壁の頂上付近で人が、あわただしく動いていた。何か指示をしているのか、必死になって腕を振っている。それに、鐘の叩き方が、いつもと少し違っていた。その一発一発の間合いが、これはずいぶん長い。

 首を傾げていると、いきなり腕を掴まれた。

 

「…な、なんです?」


 オリガに腕を掴まれ、無理やり引っ張られる。

 オリガはお構いなしにナギサを連れて歩き始めた。イリサが弓をかまえ、周りに目を配りながらそれに続く。


「近辺警戒の鐘だ。魔物が、近くまで来ている」


 オリガが剣を抜きだしながら言った。

 見れば、門前にいたハンターたちが、それぞれの得物を取り出して構え始めていた。

 ぐいぐいと、ナギサは門のほうへと引っ張られる。

 クレスヴィルの巨大な門、その観音開きの大扉が、悲鳴のような音を立て、閉じられていく。


「あ!」

「大丈夫だ。別の通用口がある。そちらから入ればいい」


 オリガが安心させるように言った時だった。

 聞きなれた、遠吠えが聞こえた。


「―――ローフォレか!」


 オリガが悪態をついた。

 徐々に、その唸り声が近づいてくる。

 牙のガチガチという音が、合唱になって聞こえてくる。

 ナギサの手の平が、じっとりと濡れた。

 できるだけ、その足を早く動かす。

 心臓が、その鼓動を早くする。

 

「…やっぱり、まだハンターへの道は、遠そうですね」


 顔を青くして、つぶやいた。

 オリガが一瞬だけナギサを見たが、すぐに前を向く。歩調は緩めず、ただひたすらに門を目指す。

 無数の獣の足が大地を踏みしめる、荒々しい音が地面を揺らす。

 そこに、


 ―――シャキ、


 鉄の鋏(はさみ)が、物を切り裂く。

 そんな音が、聞こえた。




 草に覆われていた地面が、いきなり小山のように、盛り上がった。


「なっ?!」


 それはナギサたちを囲むように、ボコリ、ボコリ、と、湧き出してくる。

 土の中の種から、植物が芽を出すように、何か、長いモノが地面から生えてきた。だが、それは、植物としては、恐ろしく醜悪だ。まるで針のような、黄色と黒の長いモノに、びっしりと覆われている。

 その何本も伸びる、長い何か(、、)は、ヘの字になって、地面に突き刺さる。それが、力を込めるように、一瞬、ムチのようにしなる。緑の大地を食い破り、黄色と黒に覆われた、大きなモノが顔を出す。


「っ! ヴァン・ラニ?!」

「ちょっと、地下の連中、何やってんのよ!?」


 それは、クモのように見えた。黄色と黒の針に覆われた、ナギサの火球ほどのある、巨大な蜘蛛。だが、ナギサに知っている蜘蛛でないことは、その顔の中心で赤く光る、大きな一つ目が教えてくれた。ナギサたちのまわり、それを取り囲むように、周りの子山からも、次々と現れる。

 

 ―――シャキ、シャキ…。


 その、顔、目の下についた、鋏のような顎が動くたび、金属音があたりに響く。

 まるで踊るように、その音に合わせて、巨大な蜘蛛は体を揺らし、テンポを刻む。ナギサたちを中心に、ヴァン・ラニたちは、頭を揺らし、体を揺らし、右に左に、ユラリユラリと踊っている。十匹ほどで、大きな円を描いている。

 そのヴァン・ラニたちのステップに、獣の唸り声が割りこんだ。

 ナギサが顔を向けると、門の前で、ハンターたちがローフォレの群れとぶつかっていた。生きたローフォレが群れをなし、武器を構えたハンターたちめがけ、その白い、鋭い牙で襲いかかる。門の前で、紅(あか)が舞う。


「あっちは、無理か…」


 剣を構え、苦々しげにオリガが言った。背にナギサをかばうように立ち、その剣はすでに赤い輝きを放っていた。

 イリサは弓を構えていた。光る矢が、その手の中に現れ、ヴァン・ラニに狙いを定めていた。


「こいつ(、、、)の毛には触るな! 毒がある!」


 踊っていたヴァン・ラニ、その一匹が、足をしならせ、オリガを目がけ、飛びかかった。

 オリガが赤い剣を振るう。火の玉が剣先から飛び出し、蜘蛛の顔が炎に包まれた。


「あー、もう!! なんだって、こんなのがここまで出てきてんのよ!!」


 悪態をつくイリサが光る矢を放ち、踊っている蜘蛛の背に、それを突き立てる。それを刺された黄色と黒の蜘蛛は、体の隙間から煙を出し、細い脚をビクリビクリと痙攣させる。

 

「…あ、ぁ」


 何かが焼け焦げる臭いをかぎながら、ナギサは立ち尽くしていた。

 怖いということは、分かっていた。しかし、いきなりこうなるとは…。


「おい! 動かないと死ぬぞ!!」


 蜘蛛の足を切り払い、オリガが叫ぶ。

 それは分かっている。頭は、冷静だ。だが、体が言うことを聞かない。魔法のほうは、現状、使いものにならない。

 オリガが、足を切り払った蜘蛛の頭を真っ二つにした。紫色の体液をまきちらし、その巨体が崩れ落ちる。イリサが三本目の矢で、三匹目の目を潰す。

 まわりを踊っていたヴァン・ラニ、その一匹が、ナギサ目がけて飛びかかってきた。崩れ落ちるように倒れて、なんとかかわす。

 イリサがその一匹の背に撃ちこみ、仕留めた。


 ―――シャキ、シャキ。


「―――まだいるのか!?」


 ボコリ、ボコリ。

 また、地面が盛り上がる。蜘蛛の足が生えてくる。

 クレスヴィルの門は、血にまみれていた。ハンター、ローフォレが互いに絡み合い、牙と剣を刺しあい、唸り声をあげている。その血の匂いを嗅ぎつけて、さらなる牙の音が忍び寄る。

 逃げ場が、無い。


 ―――シャキリ、シャキリ。


 新たに加わったヴァン・ラニが、踊りの輪に加わる。遠くに聞こえる鐘に合わせるかのように、蜘蛛のステップはせまくなる。

 オリガも、イリサも、徐々に後退する。ナギサを、そのあいだに、はさむように立った。


「―――いいか、私たちが退路を開く。そのあいだに、逃げろ」


 言われて、ナギサの表情が、一瞬、動いた。

 じろりと、オリガを睨みつける。


「…死んで逃がしてくれる気ですか?」


 睨まれ、一瞬、オリガの肩がピクリと動いた。だが、絞り出すように言った。


「…草原のほうに走れば、まだ助かる見込みがある。お前は、護衛対象なんだぞ!」

「ありがたいお言葉ですね」


 ナギサは、ごそごそとポシェットから魔石を取り出した。


「―――ですが、遠慮させてもらいます」

「ちょっと!!」


 イリサが矢を撃ちながら言った。飛びかかろうとしていた蜘蛛が、また一匹、煙を上げる。


「どっちにしたって、現状、逃げるには無理がありますよ。ほら…」


 ナギサは、手を振って、壁の端を示した。森の方向から、ローフォレの群れが、その牙を鳴らして駆けてくる。

 

「あれ(、、)が、私を見逃してくれるとも思えません。こんなですから…」


 ナギサは、手を見せた。白い手に、赤い筋が、ぽたりと、垂れた。


「お前…!」

「さっき、転んだ時のものです。臭いに、敏感なんですよね、あれ(、、)は?」


 臭い消しをしないと、危ない相手。

 そんなモノが血を垂らしている相手を、わざわざ見逃してくれるとも思えない。


「―――なら、ここで、少しは皆さんと一緒に戦った方が、まだマシというものです」


 魔石を手に捧げ持つ。爆弾代わりにしかならないが、無いよりは、マシだろう。幸い、体は頑丈だ。

 オリガは、顔をゆがめた。

 

「っ! 死ぬなよ!」

「分かってます!!」


 オリガが飛び出し、蜘蛛を一匹、切り伏せた。イリサが、また矢を放つ。

 ナギサが魔石を構え、それに魔力を流す。

 そして、それをさらに、押し出そうとしたとき、


 ―――ドォォン!!!


 クレスヴィルの大門、そこに押し寄せていたローフォレが、弾け飛んだ。

 ナギサは立ちすくんで、門のほうを見た。土煙が上がっている。いつの間にか、門が開いていた。

 ローフォレたちが、雨のように大地に降り注ぐ。ナギサだけでなく、オリガも、イリサも、唖然としてそれを見ていた。

 土煙の中、足音がした。聞き慣れた声、それが、大音声(だいおんじょう)となり、響き渡る。


「リーダー! 無事ですか!!」


 ロックフォールの声だった。

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