おしまい
「おばあちゃん、その後戦いはどうなったの?」
暖炉の火がパチパチと音を出している。
私は大昔の…まだ魔族と人族が争っていた頃の物語をおばあちゃんに聞いていた。
今は魔族とも仲良くやっているが、昔は人族と魔族と境界がハッキリしていて交流もなかったらしい。
人族と魔族の境界には結界があって、人族はまだしも魔族は絶対に人族の領域には入れなかったんだそうだ。
あるとき魔族が人族の領域に攻めてきて戦争になった。
まぁ、それがきっかけで人族と魔族は仲良くなったらしいんだけれど、おばあちゃんは最後の所をはぐらかすようにして教えてくれない。
「そうだねぇ、しばらくは戦いが続くんだけどここからは血生臭い話になるからおばあちゃん、あんまり話をしたくないんだけどねぇ。」
「私、もう14歳だよ?もうそういう話も大丈夫だもん!」
「そうかい?うん、わかったよ。しょうがないねぇ。」
おばあちゃんはそう言って頷くと続きを話し始めた。
その後の話は物語の登場人物がどんどん死んでいく。
これが本当にあった話だって言うんだから気が滅入る。おばあちゃんがはぐらかすのも頷けた。
「四聖獣と魔龍王の死闘で大地が割れたりしたらしいよ。最後は英雄カウルと魔王シグルドとの一騎打ちになるんだけど、聞くかい?」
「うん。聞きたい!」
英雄カウルといえばこの物語の主人公だ。魔王シグルドとは昔友人だったらしいけど、どんな戦いだったんだろう?
「凄い戦いだったらしいよ?おばあちゃんも聞いた話だから良くは知らないけれど、それこそ神話みたいな戦いだったみたいだよ。それが3日程続いて、最後はお互いに倒れたんだって。」
「引き分けだったの?」
「そうみたい。で、カウルがシグルドに何でここに攻めてきたのか聞いたそうだよ。」
「シグルドは何て言ったの?」
「シグルドは昔、人族に襲われたんだって。それで人族が憎かったらしいの。他の魔族は人族の土地が欲しかっただけみたい。」
カウルはシグルドを説得して、次は魔族の説得をしたらしい。
「魔族の説得は意外と簡単だったみたいだね。えっと、私達の住んでいる所は昔、魔族の領地…つまり暗黒大陸だったの。ほら、ここって緑が溢れていて豊かな土地でしょう?昔、人族の土地は中央都市アルファ位しか豊かで住みやすい土地ってなかったのよ。」
「そうなんだ、それなのに魔族のみんなは何で攻めてきたの?」
「魔族は人族が豊かな土地を独占しているって思っていたみたい。カウルはそれを聞いて暗黒大陸の方が豊かな土地に溢れているって事を説明したの。」
カウルは人族の街を魔族と一緒に見て回って納得させたんだそうだ。
「魔族もそれで納得して和解したの。人族と魔族の間にはまだ溝があったけど、それは時が解決してくれたみたいね。」
おばあちゃんはそう言うと「これで話はおしまい」とニッコリと笑った。
これにておしまいです。
いや本当にすいません。その内ちゃんと終わらせたいなぁ。




