再会
遅くなりました。
しかも短いです。でもこれが精一杯なんです。
サボっている訳じゃないんです…
カウルがアルファに向かう事を決めて準備をしていた時、シータを占領していた魔物達が動き出していた。
ジャバウォックがシータを離れて近隣の村を襲い始めたのだ。
今ではガンマ、ベータ周辺まで魔物が溢れて人が住める土地ではなくなっている。
ガンマ、ベータの住民達も早々にアルファに避難を開始していた。
そのせいでアルファには街から溢れて周辺にキャンプを張っている人達まで出るほどだ。
食糧は避難してきた商人達のおかげで今は何とかなっているが、このままでは食糧が尽きてしまうのも時間の問題だろう。
冒険者がアルファに集中したのが幸いしたのか防衛面では強固になっているが、それでも住民達の不安は消えておらず、ストレスは溜まっていく一方だ。
魔物もジャバウォックに追われてなのか、アルファ周辺にも強力な魔物の姿が見られるようになっている。
十字の騎士団や冒険者達が戦う事で今のところは死人も出ていないがそれも何時まで持つか分かったものじゃない。
アルファの状態は今、絶体絶命と言っていいものだろう。
・・・
「ずいぶん発展したな…まぁ、活気はないけど。」
カウルがアルファに辿り着いた時には住民も冒険者も精神的に結構ぎりぎりな状態だった。
冒険者はそのほとんどが何処かに傷を負い、街の子供に笑顔はない。
食糧は高騰して5倍以上の値段になり、物が食べられず痩せている人達も多い。
自棄になっている人が増えていて、そこら中で喧嘩が起きている。
盗みも多くなっているらしく店の人間の顔もギラギラしていて、とても商売をする人間の顔じゃない。
「あっ、そこにいるのはカウルさんじゃないですか!お久しぶりです!」
そんな中、前と変わらない笑顔で走ってくる女性がいた。
カウルに再開した事を喜んだように駆け寄ってきた女性はアリスだった。
髪は輝きを無くして痛み、顔もやや痩せた感じだがその笑顔にカウルはホッとした。
「久しぶり、アリスさん。」
「本当に久しぶりですね!パッソー夫人は元気ですか?」
「あ、えっと。」
カウルが言い淀むとアリスは何かを察したかのように悲しそうな顔になる。
カウルは誤魔化そうとも思ったが、アリスの顔を見て全てを伝えようと思った。
どうせ誤魔化しきれはしないのだ。
・・・
「そうですか。いえ……カウルさんは悪くありませんよ。それは不可抗力です。」
「いや、私が早く気付けば別の結果になっていたと思う。」
「過ぎた事は仕方ありませんよ。そうだ!宿は決まってないんでしょう?私の家に来ませんか?穴熊亭の従業員部屋が空いていますし、何より旅の話が聞きたいです。」
アリスは話を聞いてもカウルを責める事はなかった。
それはカウルにとってありがたくもあったが、辛くもあった。
カウルの中では罪悪感で一杯になっているので責めてもらった方が楽になる。
まぁ、責められても何も言えないのでありがたくもあったのだが。




