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自殺+手違い=転生  作者: トカゲ
戦う世界
51/60

群れ

あっという間にマッドハッターの周りはゾンビやスケルトンで埋まっていく。

しかもそのゾンビやスケルトン達は下位ではなく上位の魔物が殆どを占めていた。

カウルなら手こずることは無いだろうが、アーサーやパッソー夫人達では下手したらこの中のゾンビ1体相手でも手こずる可能性がある。


そんな魔物が今の状態でも数十体…そしてその数は今も増え続けていた。

カウルは焦っていた。

ゲームの時のマッドハッターはイベントキャラでしかなかったからだ。

もしかしたらまだ実装されていなかっただけでその内ボスとして登場していたのかもしれないが、カウルはまだ戦ったことがない相手になる。


そんなマッドハッターだけでも驚異なのにリッチやスケルトンキング、ドラゴンゾンビが地面から次々と這い出してくる。

今はマッドハッターの周りに佇んでいるだけだが、いつ動き出すか分からない。

そして動き出したらカウルは負けることはなくてもその魔物たちを押しとどめておく自信がなかった。


もしマッドハッターがゾンビたちを召喚した目的がカウルを倒す為ではなく修行の間で修行している皆を殺す為だったとしたら。


(もしそうだったら防ぎきる自信がない。)


恐らくだが、カウルとマッドハッターのステータスは互角か、マッドハッターのほうが少し高いかだろう。

それに加えてこの凶悪な召喚能力…多分他にも能力は多々あるに違いない。


カウルは手遅れになる前にと相棒である長剣【夜月】を抜いて走り出す。

まずは小手調べとしてスキル【かまいたち】を使い、衝撃波を飛ばす。


スパンッ、と召喚途中だったゾンビロードとリッチの首を数十体、まとめて刎ねる。

敵が臨戦態勢に入る前に【縮地】を使い距離を詰めてドラゴンゾンビに密着、そのまま【聖域の札】をドラゴンゾンビの右足に貼り付けた。


ジュアッ!


ドラゴンゾンビの右足が焼ける様な音をたてながら消滅する。

バランスを崩したドラゴンゾンビが横に倒れ、動きが遅いゾンビロードやオーガスケルトンが下敷きになって潰された。


臨戦態勢に入ったリッチやスケルトンアサシンに周りを囲まれるが、剣を構えながら独楽のように回転しながら包囲を脱出、そのまま走りながらスキル【絶・一閃】を使って敵を倒していく。


まさに無双状態と言っていいだろう。

しかし敵の数は多い。

カウルがいくら敵を倒しても、マッドハッターにたどり着くどころか敵の波を押しとどめる事もできていない。

ジリジリと修行の間の方に押し戻されていく。


どんな技を使っても、どんな魔法を使っても魔物が増える速度の方が早い。

このままではジリ貧で終わってしまう。


「せめて、せめてもうちょっと増えるスピードが遅ければ…」


後一歩なのだ。全力を出せばマッドハッターの場所まで行くことは出来るかもしれない。

でもその後が続かない。ゾンビやスケルトンに囲まれながらマッドハッターと戦う自信がないのだ。

それが分かっているからカウルは踏み込めないでいた。

せめてマッドハッター以外を引き受けてくれる仲間がいれば違うのかもしれない。

修行の間にいる皆を呼べば何とかなるかもしれないが、それは避けたかった。

何故なら呼んだが最後、誰かが死んでしまう可能性が高いからだ。


だからカウルは一人で剣を振るう。

召喚を続けるマッドハッターの魔力切れを狙いながら。



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