オシリス戦
オシリスは突然背中の翼を羽ばたかせる。
瞬間、部屋全体にオシリスの羽が舞った。
(まずい!)
カウルは瞬間、自分が失敗したと感じた。
オシリスに羽ばたかせる訳にはいかなかったのだ。
部屋の大きさはそこまで広くない。
大体150人くらい入れば窮屈に感じるくらいの広さ
空気孔の様な物はオシリス側にしかなく、風で羽が押し戻されるという事はない。
カウルは状態異常を無効化できるタナトスの衣を装備しているから大丈夫だが、他のみんなにはそんな上等な装備はない。
後ろにいたグレンやパッソー夫人、十字の騎士団がどんどん状態異常になっていく。
毒や麻痺ならまだマシで、最悪なのが混乱状態になった奴等が仲間を襲い出しはじめた事だ。
「誰か気付け薬をそいつに叩きつけろ!」
カウルが叫ぶ。
気付け薬は飲ませなくても体に掛けるだけでいい。
毒状態のアーサーが体を引きずりながら気付け薬を掛けて回った。
カウルはそれを確認するとオシリスに向かって駆け出す。
オシリスが右手をカウルの方に向けて何か呪文の様な物をつぶやき始める。
瞬間、オシリスの周りに紫の光が出現し、キングマミーが4体出現する。
「邪魔だぁっ!」
カウルが剣を振るいキングマミーの首を跳ねる。
後ろにはパッソー夫人とグレンが走ってきているのが見えた。
「任せた!」
「「応っ!」」
パッソー夫人とグレンの力強い返事に力を貰い、カウルは残っているキングマミーを無視してオシリスに向けて攻撃する。
スパンッ
カウルはオシリスの右翼を斬り飛ばす。そのまま左翼も…と行きたがったがオシリスが長剣でカウルを狙っているのが見えたのでバックステップでそれを避ける。
「人間風情が私の翼を……ぁぁあaAアァぁa!!」
オシリスは怒り狂った形相で叫ぶ。声にならない叫び声だ。
ドスンッ。と大きな音と共に巨大なゴーレムが2体、オシリスの後ろに出現した。
ゲームではなかった仕様だ。
「殺せぇ!」
オシリスがそう言うと2体のゴーレムがカウルに向けて拳を振り抜いてくる。
意外と素早い攻撃だったがカウルが避けれないものではなかった。ギリギリで避けて剣で攻撃するが、意外と固く、弾かれてしまう。
「そいつは俺らに任せな。」
「頼む!」
今度は治療を終えた十字の騎士団を率いたアーサーがゴーレムと対峙する。
ゴーレムをアーサー達に任せたカウルは再びオシリスの前に出る。
「さて、終わりにしようか。」
「私を倒せばオメガの道は開かれるだろう。しかし、私とてタダで殺られる程お人好しではない!」
オシリスが剣を投げ捨てると全身を大鷲へと変化させた。
片翼の大鷲はカウルに向けて突進してくる。
突進を認識はできても距離的に避けられるものではなく、カウルはその突進を喰らってしまう。
「がっ!?」
そこまでのダメージはない。
だが、この世界に来て数える程しか受けていない痛みにカウルは顔を歪ませた。
顔が歪んだカウルを見てオシリスはニヤリと笑う。
「このまま壁の一部にしてくれるわぁ!」
そうオシリスはいうが、その突進は急に止まる。
カウルが力を入れたからだろう。ピクリとも動かないことにオシリスは混乱した。
「何故だ!?なぜ動かん?」
「単純に力に差があるからだろ。」
カウルはそう言うとオシリスの頭にヘッドロックを掛ける。
「いだだだっ!痛い!何か分かりづらいけどすごい痛い!」
オシリスは痛みで暴れ、ヘッドロックから脱出して一旦距離を取ろうと後ろに下がろうとするが、何時の間にか後ろに回り込んでいたカウルに胴体を抱えられた。
カウルはそのままバックドロップをキメる。
ドゴンッ!という大きな音と共に地面に頭を減り込ませるオシリス。
カウルはオシリスが気絶しているのを確認したあと指を天に掲げて雄叫びをあげた。




