十字の騎士団
前話の内容がかなり変更されております。
前話を12月16日以前に読まれた方はそちらからご覧になっていただけると嬉しいです。
あと今回かなり短いです。
アーサーが率いる十字の騎士団は騎士王が作ったと言われる傭兵団のようなものだ。
国に属していないから騎士もへったくれもないのだが、王族は暗黒大陸の魔物に殺され王都は壊滅しているらしいので、国に属することができないらしい。
今はアルファやベータのように大きな街の代表者が周辺を纏めている。
十字の騎士団の実力はかなりのもので、全員が銀ランク以上の冒険者と対等に渡り合えるのだとか。
カウルはアーサーに連れられて十字の騎士団のキャンプ地に来ていた。
暗黒大陸の魔物がシータを占領しているという情報を手に入れた彼等は人を集めてその魔物を退治しにいく途中らしい。なんて勇気のある人達だろうか。
カウルがキャンプ地で訓練している人達の実力を見る限りでは瞬殺されて終わりな気もするが、彼らのみんなを守りたいという気持ちに嘘はないのだろう。
「もしかしてここにいる人達でシータを占領している魔物を倒しに行くつもりですか?」
「そうだ。そしてカウル君にも力をかしてほしいと願っている。」
カウルの質問にアーサーは笑顔でそう答えた。
カウルはアーサーの笑顔を見てため息を吐く。ジャバウォックと対峙して、戦意を失わない人間がここにどれだけいるだろうか?
多分、200人近く集まっているこの騎士団の中に戦意を失わない人間は10人もいないだろう。
「無謀ですね。魔物の殺気にあてられただけで気絶したりする人もいますよ。」
「我らの中にそんな軟弱者はいない!」
アーサーの自信満々な物言いにカウルは顔をしかめるが、それならばと封印の腕輪を外してスキルの【威圧】をここら周辺に放ってみることにした。
【威圧】は自分より弱い相手の行動を一時的に止めるスキルだ。
レベルが違いすぎる相手に使うと気絶のバットステータスを付けることができる。
「なら試してみましょうか。」
カウルはそう言うと封印の腕輪を外してスキル【威圧】を放つ。
瞬間、アーサーが後ろに飛び退き、訓練をしていた兵士のほとんどがバタバタと倒れていく。
意識を保っていられた人はアーサーを含めて10人だ。
「私はシータを占領している魔物と戦う実力はありますが、あなた達にはまだ早いです。敵は私と同等の実力があるんですよ?私がちょっと威圧しただけで気絶してどうするんですか。」
みんながカウルを敵意丸出しで睨んでいる。
アーサーなんか剣を抜いて構えている。なんてやつだ。
「しかし我ら以外に戦える者はいない。我らがやらなければいけないのだ!」
「別に戦うなとは言ってませんよ。無駄に死ぬなと言っているんです。」
カウルはそこまで言って封印の腕輪を再び装着する。
そして気絶せずに立っていられた10人を見て、ある提案を持ちかけた。
「そこで、今度【みんなで強くなろう!ドキドキ天空都市修行ツアー!】を行うんですけど、あなたたちも参加しませんか?」




