食事もぐもぐ
タイトル思いつかないです。
そしてお気に入り1000件突破!
嬉し恥ずかしです。
サラサ、ミンミ、ライナの三人はカウルのちょうど右斜めのテーブルを陣取って夕食を食べていたらしい。
お酒もかなり飲んでいるらしくミンミはすでにダウンしている。
因みにライナは目の前のステーキとお酒に夢中でカウルの方には目も向けていなかった。
怒鳴り声を上げているのはサラサだけだ。金髪ツインテールを震わせながらカウルの方を指差している。
カウルは嫌な奴等にあったと思ったが、サラサ達の姿を見て1つの疑問が浮かんできた。
「ん?あんたら何で十字騎士団の鎧を着てるんだ?」
そう、サラサ達は十字騎士団の軽鎧を装備しているのだ。
前会ったときは冒険者と言っていたし、装備も鎧じゃなかったはずだ。
この短期間で騎士団に入団したんだろうか?
しかしその割には鎧はいい意味での使い込んだ感がある。
「いや、これは・・その。」
強気なサラサが口ごもる。どうやら聞かれたくなかった事みたいだ。
まぁ、カウルにとっては3人が冒険者だろうが騎士だろうが知ったことではない。
3人を無視して店員を呼び注文を開始した。
「あ、すいません。この【砂漠カニの蒸し焼き】と【七色ドリアンのサラダ】、あとはこの【店の自家製ワイン】ってやつお願いします。」
「あ、はい。かしこまりました。」
あまりのスルーっぷりは口ごもっていたサラサの怒りに触れたらしい。
サラサはカウルに近づいてきてカウルの服のえりを掴む。
「なーに無視してんのよ!聞いて驚きなさい、私たちは実は騎士なのれした!冒険者っていったのはエルフの森の封印確認を秘密裏に確認するためれすー!」
そしていきなり重要そうな事を口走るサラサ。ロレツが回っていないところを見るとかなり酔っているみたいだ。お酒って怖い。
そんなサラサの後ろにはいつの間にかライナが立っていた。
ライナはサラサの首に手刀を当てて黙らせる。
「気にするな。これは仮装というやつだ。」
絶対そんなはず無いだろ、とカウルはツッコミたくなったがライナの迫力とグッタリしたサラサを見て関わりたくないと心の奥底から叫ぶ。
「あ、そうなの。似合ってるよ。」
「だろう?フフン♪」
まんざらでもない表情でライナはミンミが寝ているテーブルへサラサを引きずりながら歩いて行った。
多分サラサの言っていた事は全て真実だろう。
そして【エルフの森の封印確認】とサラサは言っていた。
これで封印が何者かに破られたという事が確定したわけだ。カウルはじんわりと嫌な汗が出るのを感じた。
・・・
結局カウルが食事を終えるまでサラサはぐったりとしていた。ミンミは熟睡、ライナは黙々と酒を飲んでいた。カウルはサラサのぐったり具合が気になったが別に一人でいるわけじゃないし、ライナとミンミが何とかするだろうと思い放置して店を出た。
カウルが店を出るのを確認してライナはサラサの肩を叩く。
「もういいわよ。」
「うん、ごめんねライナ。しゃべりすぎた。」
「別にいい。それよりキングスコーピオンを倒したのはやっぱりあの男だったな。」
サラサとライナはカウルが座っていた席を見てため息をついた。
「しかも一人で討伐したらしいわよ?」
「そうか、それは規格外だ。多分だが次の任務はアイツの実力調査だろうな。」
「だろうね。ベータに向かうみたいだし、正式に任務が出た時にあいつがまだグラウフルに滞在してたら一緒に行けるか聞いてみないとね。」
「あぁ、そうだな。」
サラサとライナは顔を見合わせて再びため息をついた。
幸せそうなのは酔いつぶれて寝ているミンミのみである。
・・・
カウルは砂蠍亭に戻り晩御飯を食べていた。
酒が少し入っていてほろ酔いの為、いかんせん食は進まないが食事自体は美味しい。
砂蠍亭今回の晩御飯は砂魚のから揚げとサボテンサラダに白米だ。サボテンサラダは苦いイメージがあったが意外にあっさりしていて美味しい。砂魚のから揚げは普通に魚のから揚げだった。こっちもホクホクでうまい。まぁ、そんなこと今はあまり関係がないが。
カウルはエルフの森には封印が確かに存在していて、それが何者かに破られているということが分かり旅を急がないといけないという焦りが出てきていた。
封印を破壊出来るだけの存在、そいつは全力のカウルよりも実力は上だと思われる。
そしてそいつが敵だという確率は高い。
カウルはもはや身体能力の成長が見込めない。それはレベルが限界だからだ。
いや、もしかしたらカウルもまだ成長の見込みはあるのかもしれないが、どのみち暗黒大陸や浮遊大陸オメガでないと雀の涙ほどの経験値すら入らないだろう。
今は戦闘技術を少しでも上昇させる事と共に戦ってくれる仲間を探すことを優先すべきだ。
早急にベータに向かわないといけない理由ができたが、騎士団は最低でもあと2日、もしかしたら3,4日経たないと戻ってこないかもしれない。
騎士団が戻らなければこの警戒は解けない。最悪ラクダを諦めて全力ダッシュすればいいのかもしれないが、それを騎士団に見られる可能性がある。それは避けないといけない。
つまり騎士団が帰ってくるまではカウルもベータに向かうことが出来ないというわけだ。




