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準備と酒場

ルークと騎士団を見送った後、カウルは宿屋【砂蠍亭】に向かって歩き出した。

そういえばこの宿では宿代を払ったのはいいが泊まらなかった。

今更払い戻しはできないだろうし、別にお金に困ってないから良いんだけどなんか悔しい。

カウルはもったいない気分でいっぱいになった。


まぁそれは置いておいて、砂蠍亭に入って店主に黄金魚の買取をしてくれる店を聞いてみる。


「黄金魚か、こんなに近くで見たのは初めてだな。」

「捕まえたのはいいんですが処分に困りまして。どこかに売れる場所はないですかね?」

「ここら辺じゃ売れそうな店はないなぁ。黄金魚は観賞用の魚だろ?ベータの豪商なら買ってくれるかもな。」


カウルは面倒くさい気分になった。どうやらこの黄金魚とは長い付き合いになりそうだ。

取り敢えず砂蠍亭の店主に大きな桶を借りてそこに黄金魚を移す。


黄金魚を移したあと、お金を払い2日分部屋を借りてから外に出る。

店主の「今度は休んでけよ」の言葉にカウルは顔が赤くなるのを感じた。


2~3日もすれば騎士団の警戒も解けて【ラクダレンタル】からラクダを借りることができるようになるだろう。

ラクダには少しだが荷物を背負わせることもできるので、黄金魚を入れる桶を大きくして背負わせることもできそうだ。カウルは桶を買うために雑貨屋に向かうことにした。


雑貨屋には桶や荷車、ジョウロ等の生活雑貨が並んでいる。

砂漠には場違いだが花の種なんかも置いてあった。近くに水場があるから売れるかもしれないが砂漠で花の種は場違いな商品だろう。本当に売れるんだろうか?


取り敢えず少し大きめの容器を2つ購入する。1つの容器にギリギリ黄金魚1匹が入る位の大きさだ。中くらいのクーラーボックスみたいな感じの長方形の容器で、フタもついている。これをラクダの両側に付けようと考えたのだ。

ちょっと邪魔になるかもしれないが、これ以外は大きな荷物もないからなんとかなるだろう。


次は食料の買い出しだ。とはいっても売っているものは少量の果物と干し肉だけ。

買い物は直ぐに終わる。暑いし何とも楽しくない買い物だ。

異世界ならではの新鮮で目新しい商品はそこにはなく、前の世界でも売っていた様な塩漬けされた肉ばかりが目に入る。


カウルは死ぬ前、つまり地球にいた頃は転生物の小説を読んでいた。

そういう小説ではヨダレが出るような食材や料理が出てくるものだが、現実は厳しいものだ。

肉は肉だし、確かに奇抜な色の果物もあるが味は特別美味しい物には出会っていない。


過去に一度だけコカトリスの肉を食べたことがあるが鶏をちょっと固くした感じの肉だったし、ファイアドラゴンの肉なんてゴムみたいで食えたものじゃなかった。


カウルはコカトリスまでなら許容できたがファイアドラゴンの肉を食べたときに異世界の食に絶望した。

ドラゴンの肉は柔らかくて脂がのっているのが当たり前なんじゃないのかよ!と涙ながらに叫んだものだ。

まぁ、そんなことは今はどうでもいい。干し肉と申し訳程度の果物を買って買い物は終了だ。

カウルはとりあえず砂蠍亭に荷物を置いてくることにした。

黄金魚を買った容器に移し替えて借りた桶を洗ったあと、砂蠍亭の主人に返す。


荷物を整理していたら日も暮れてきたのでカウルは酒場に行ってみることにした。

考えてみればグラウフルでの食事は初めてだ。


晩御飯は砂蠍亭でも出るそうなので、少しの酒とおつまみでも食べながらここら辺の情報収集をすることにした。


酒場は結構賑わっていた。

筋肉隆々の男たちが騒いでいるみたいな事はなかったが、家族で晩御飯を食べに来ていたり、デートの締めとしてこの酒場は使われているみたいだ。


冒険者の姿は少なく、グラウフルの住民が大半を占めている。

これはここにギルドの支部がないのが理由だろう。

依頼掲示板自体はあるが、そこまで大きい依頼はない。そういう大きい依頼はベータやアルファなど大きな町に回されるからだ。


それと娯楽が少ない事もグラウフルに冒険者が少ない理由だろう。

ここの娯楽施設は酒場くらいしかないのだ。

しかしこう言う雰囲気の酒場の方がカウルは好きだ。

静かに飲めるし、何より血気盛んな連中に絡まれる心配もない。

カウルはのほほんとメニューボードを開いて食べるものを選ぶ。


「なんでアイツがここに居るのよ!」


カウルが料理を注文しようと手をあげたのと同時位に大きな声が酒場に響き渡った。

声がした方を見るとそこにはサラサ、ミンミ、ライナの三人娘がいた。


ちょこっと変更


宿の宿泊を【1日】から【2日】に変更

騎士団の警戒が解ける時間を【明日】から【2~3日】に変更しました。

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