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麒麟

昼休憩に入り、カウルとガラフト、ブラハムは警戒をしながら休憩をとっていた。

ガラフトもブラハムも自分たちだけでブラウンウルフを倒せたことにより少しの自信がついたようだった。


「ブラウンウルフを倒せたらここら辺の魔物はもう大丈夫だと思うよ。勝てなくても逃げる時間を作るくらいはできるはずだ。」


カウルの言葉を聞いた2人は嬉しそうにガッツポーズをとった。

少し進むとブラウンウルフより強い魔物は普通に出てくる。あくまで時間稼ぎできるようになっただけなのでカウルにはまだまだ不安があった。


「この先にはブラウンウルフより強い魔物ばかりになる。君達の実力では勝つのが難しい敵ばかりだ。勝とうとしちゃダメだよ。これからはあくまで時間稼ぎが2人の役割になる。」


幸いなことに複雑な動きをする魔物はまだ出てこないはずだから、行動パターンさえ把握すれば逃げることは簡単のはずだ。

2人は不満そうな顔をしたが、カウルの真剣な表情をみて頷いた。

休憩が終わり馬車が出発の準備を始めたのでカウル達は準備の手伝いをして出発した。


その日はもう魔物が出ることはなく、順調に今日のキャンプ地に到着する。

今日のキャンプ地は森の中にあった。

キャンプ地は森の中心の広場にあり、周りを柵で囲われている。

倉庫みたいなところには松明が常備されていた。


昨日のキャンプ地には柵なんてなかったので、それだけ魔物が出没するって事だろうか?

キャンプ地では交代で見張りをする。最初にガラフト、ブラハムのコンビが見張りをすることになった。22時までガラフトとブラハムが見張りをして、その後はカウルが見張りをすることになっている。


「じゃあ、俺は寝るけど魔物が出たら無理せず起こしに来てくれ。勝てると思っても、だ。夜の魔物は厄介なのが多いから、見た目に騙されないようにね。」


カウルはそう言って寝袋に入っていった。


・・・


ズズン・・


最初は地震かなにかだと思った。しかし揺れなどは感じなかったし、地震にしては何かおかしい。ブラハムとガラフトは音がした方向を見るが何も見えない。

もしかしたら巨人かなにか、魔物の類がこちらに向かってきているのではないか?とも思ったが、そういった影は何も見えなかった。


2人はホッと息を吐き、見回りに戻ろうとしたとき、一つの影が遠くから近づいてきているのが見えた。

その影は馬のように見えた。時々鈍い音と共に影の周りに雷のような光が落ちている。

明らかに高位な魔物の出現にブラハムとガラフトは不安を覚えた。

すぐにガラフトはカウルを呼びに行き、ブラハムは影の警戒を続けることにした。


・・・


「か、カウルさん!魔物が出ました。なんか強そうです!」


ガラフトが寝袋を揺さぶりながら叫ぶ。

カウルが仮眠をとっている場所は一般の乗客もいるテントなのでガラフトの声に他の客達も不安そうに起きてきた。

カウルは眠い目を擦りながらダルそうに起き上がる。ガラフトはブラハムが魔物を食い止めていると知らせると直ぐにテントを飛び出してブラハムの援護に向かっていった。

カウルもガラフトの慌てようにようやく只事じゃない事を理解した。

馬車の御者に客を1つのテントにまとめるように言うと、ガラフトが走っていった方へと急いだ。


ガラフトとブラハムが戦っている場所はすぐに分かった。激しい戦闘音がテントを出たばかりのカウルの耳にも届いたからだ。

どうやら魔物は雷魔法を使うらしく、空からは絶えず雷が落ちている。


(雷を使う魔物なんかここら辺にいたか?いや、この世界はゲームじゃない。油断はできない。)


カウルが森を抜けるとそこには黄金の毛並みと鬼のような角、龍のようなヒゲを持った馬の魔物がブラハムを踏みつけていた。

ガラフトも雷に撃たれたのか煙を出しながら倒れている。


「これは・・麒麟?なんでこんな高レベルの魔物がこんなところに?」


カウルは麒麟を見て驚いた。ゲームだったときに麒麟が出てきたのは空中都市オメガだけだ。しかもレベルは165というオメガでも上位になる魔物になる。


カウルは封印の腕輪を外して能力を全開にする。

遊ばれていただけなのか、それとも運が良かったのか、ガラフトとブラハムはまだ息がある。すぐに手当をすれば助かるはずだ。

カウルは長剣【夜月】を抜いて正面に構える。能力を開放したカウルなら麒麟を倒すことも簡単だろう。

問題は雷の攻撃だ。麒麟の使う雷魔法は当たると60%の確率で感電状態になり動けなくなってしまう。ゲームの時とは違い、動けなくなったところで首の頚動脈とかを噛みちぎられたらそれで終わりの可能性がある。

そこまでの知恵が麒麟にあるとは思えないが、用心に越したことはないだろう。


カウルが動かないのを見て、麒麟は痺れを切らしたのかカウルに向かって突進してきた。

麒麟の名に恥じない物凄いスピードだが、能力を開放したカウルにはその動きが手に取るように分かる。

麒麟の突進を数歩動くことで避け、そのまま夜月で麒麟の右前脚を切りつける。


「グギャアッ!?」


麒麟は苦しそうな声をあげながらバランスを崩して地面を転がって行く。


「あらら、片脚を貰ったつもりだったんだが、避けられたか。」


麒麟はヨロヨロと立ち上がった。かなり怒っているみたいだ。

怒りに身を任せて麒麟はカウルに向かって突進してくるが先程よりも動きは鈍くなっている。カウルは夜月を鞘に入れて片手で突進してくる麒麟の頭を掴み突進を止め、そのまま首に腕を回して力任せに首を折った。



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