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出発

馬車を運転する人って御者っていうんですね。


教えていただいた方々ありがとうございました!

感謝感謝です!

「じゃあ行ってきます。」

「いってらっしゃい、カウルさん。」「気をつけていけよ。」


旅立ちの朝、カウルは穴熊亭の入口でアリスとガードルに見送られながら馬車の乗合所へと向かった。

乗合所にはカウル以外の客がすでに来ていて荷台に乗り込んでいる。どうやらカウルで最後だったようだ。

カウルが乗り込んだのを確認して、馬車は走り出した。


まず向かうのは砂漠の王国【ベータ】だ。

途中までこの乗合馬車で向かい、途中の村でラクダをレンタルする予定になっている。


ゲームのときには中継地点として村の様な物があるだけだったが、この世界は違うようで小さな村が周辺に幾つも存在しているようだ。

今回の乗合馬車もアルファとベータのちょうど境目にある村【グラウフル】で折り返すらしい。なんでもグラウフルから先は砂漠になっており、馬が耐えられないんだそうだ。


アルファからグラウフルまでは3日程掛かる。

ご飯は夜だけで、昼休憩の時は各自で用意するようになっている。

馬車の乗り心地は思ったほど悪くない。確かにガタガタと揺れるが、気になるほどでもなかった。

カウルは荷台から顔を出し、風を感じながら外の風景を眺めていた。

既にアルファは見えなくなっていた。

代わりに見えるのは草と岩と木だけだ。建物は何も見えないが、時々魔物が遠くに見えたりして飽きることはない。

一緒に乗った客は全員馬車からの風景なんて見慣れているのか、外なんて見向きもせずに爆睡状態だったが。

因みにだが、今回カウルは馬車の護衛をするという理由で割引してもらっている。

もちろん馬車を護衛する冒険者は別にいるがその冒険者はこれが初依頼だったらしく、場主である男が用心のために提案してきたのだ。

それをカウルは料金が安くなるならと快く引き受けた。


新人の冒険者は赤髪で短髪、150cmくらいの男で剣士の【ガラフト】と青髪でショートモヒカン、190cm位のこれまた男で僧侶の【ブラハム】だ。


2人はコンビらしい。なんだこの凸凹なコンビ。

なんでも2人は幼馴染で、一緒に鍛錬した仲らしい。


ガラフトは体育会系な性格らしく、カウルが自分のランクを伝えると背筋をピンと伸ばし「これから少しの間よろしくお願いします!」とか言ってきた。

ブラハムは人見知りする性格のようでガラフトの後ろで「よろしくおねがいします。」と小さく呟くだけだったが。

カウルも「こちらこそよろしく。」と二人と握手を交わした。


馬車は順調に進み、最初の休憩地点である湖に到着した。

これから小一時間、馬を休ませるためにここで休憩になる。カウルとガラフト、ブラハムは周辺に魔物がいないかを確認して、警戒しないといけないから全然休憩にはならないが、そもそも馬車が走っているときは座っているだけなので、少しは仕事らしい事をしないといけないだろう。


カウルはそう考えながら周辺の気配を探る。

幸いにも周辺にいる魔物は低レベルの【ブラウンウルフ】や【スコーピオ】のみだ。

これならカウルが動かなくてもガラフトとブラハムだけで充分かもしれない。


カウルが動いた場合2人の成長の妨げになってしまうだろう。

まぁ、ここら辺の魔物だったら封印状態のカウルでもなんとかなるし、そこまで気を張らなくても大丈夫だろう。


「うわぁぁあっ!?」

「ちくしょう、出やがったなぁ!ブラハムは下がってろ!」


そんな風に考えていたらブラハムの叫び声とガラフトの怒鳴り声が聞こえてきた。

どうやらブラハムが魔物を発見して怯えているところにガラフトが駆けつけたようだ。


ブラハムとガラフトがどれだけの強さかはわからないが、ここら辺はゲームの時、まだまだ初心者向けのエリアだったし、ブラウンウルフとスコーピオはレベル20位の身体能力があれば苦戦しないはずだ。


2人は初依頼らしいが、訓練は小さい頃からしていたらしいし、魔物との戦闘経験もあるという事なので、多分大丈夫だろう。

カウルはそう思ったが一応、念のために様子を見に行くことにした。


・・・


「おんどりゃあっつ!」


ガラフトが気合の入った声を張り上げながら両手剣でブラウンウルフを切りつける。

だが直線でフェイントの欠片もないその一閃は容易くブラウンウルフに避けられ、代わりにブラウンウルフの爪がガラフトの右腕を切り裂いた。

ガラフトの右腕からは大量の血が吹き出る。力が入らないのかガラフトは両手剣を地面に落としてしまった。


ブラハムは必死に回復呪文をガラフトに向けてかけ続けているが、それ以上にガラフトが受けるダメージが大きいみたいだ。

荒い息を吐きながらガラフトはブラウンウルフの攻撃を避けている。


それを見たカウルはため息を吐いた。まさかここまで弱いとは思っていなかったのだ。

しょうがないのでカウルは長剣【夜月】を抜きガラフトに止めを刺そうとしていたブラウンウルフを斬り裂いた。


カウルの一撃でブラウンウルフは動かなくなった。というより真っ二つになった。

それを見てガラフトもブラハムも、口を大きくあけてポカンとしている。

とりあえず回復薬をガラフトに渡して、ブラハムに引き続き治療してもらうことにした。

今の戦闘でブラウンウルフが集まってくるかもしれないので、カウルは馬車の御者にこの事を報告して休憩を早めに切り上げることを提案する。


御者もカウルの話を聞いて急いで支度を始めた。

戦闘を見ていた他の客達は既に荷台に乗り込んでいる。

カウルはブラハムとガラフトに出発することを伝えて自分も荷台に乗り込んだ。



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