転生の一歩 チートの確認
気付いたら森の中にいた。
信夫の記憶が正しいのならここはアクロフェシアのチュートリアルエリアに位置する【エルフの森】のはずだ。
信夫は容姿の確認の為に湖に向かう。水面に移された姿は予想道理ゲーム内の時キャラであるカウルの容姿だった。
黒髪の短髪、身長は180くらいだろうか?
顔はゲームキャラなだけあってイケメンの部類にはいるだろう。少し眼が鋭くてきつめな感じだが、間違いなくイケメンだ。
ちなみに現実というか死ぬ前の世界の信夫はブサメンだ。
これだけで信夫は喜び飛びはねそうになったが、まだ喜ぶのは早い。
次は身体能力の確認だ。アクロフェシアでは画面越しにキャラを動かしていただけなので、この体のスペックがイマイチわかっていないからだ。
取りあえず軽くジャンプしてみた。
結果は軽く森の木々を飛び越えました。
次に木を殴ってみる。
結果は普通に木が折れました。
「・・・チートすぎるだろう。力加減できるかな?」
『大丈夫ですよー。そう思って力を抑える腕輪を用意してきましたです。』
信夫改めカウルがチートな身体能力に困惑していると空から女神アウラの声が響いてきた。
そして空から腕輪が振って来た。
銀色で飾り気のない腕輪だが、何処となくオシャレな雰囲気が漂っている。カウルは腕輪をつけた瞬間、体が重くなる感じがした。
そこまで辛い感じはしないが、ジャンプしてもそこまで高く跳べないし、殴っても木が折れることはない。
『どうですかー?その【封印の腕輪】を付けている間はレベル50程度の能力まで下がるんですよー。外せばレベル255に戻るので安心してくださいねー。』
女神アウラの声はそれを最後に聞こえなくなった。
これで人の肩を叩いたら腕を千切っちゃったとかいう悲劇は起こらないだろう。
カウルは安心も出来たしそろそろ移動することした。
エルフの森はそこまで広くない上にチュートリアル的な場所なだけあって低レベルのモンスターしか出てこない。
出るモンスターはウルフとキラービーの2種類。
ウルフは名前のまま狼型のモンスターでキラービーは人の顔くらいの大きいさがある蜂型のモンスターだ。蜂型なのに毒を持っていない不思議モンスターとして知られている。
この2匹はレベル5と封印された状態のカウルでも簡単に倒せる相手となっている。
まぁこれはゲームの中での話だからここでもその常識が通用するかどうかは分からないが、多分大丈夫だろうとカウルは余裕を持って足を進めた。
ブーン
直後、耳触りな音がした。
カウルがその音の方を見ると一匹のキラービーが飛んでいる。
瞬間、カウルの肌は鳥肌に変化する。
考えた事があるだろうか?人の顔程度の大きさがある蜂が自分のすぐ近くを飛んでいるという状況を。
正直に気持悪い。そして【蜂には毒がある】という前の世界での刷り込みに近い恐怖のせいで体が思う様に動かない。
キラービーには毒はないし、それはカウルも知っていることなのだが、それとこれとは環形無い事だ。気持悪いものは気持ち悪いし怖いものは怖い。
迫ってくるキラービーにカウルは恐怖し、追い払う様にバタバタと手を振りまわす。
一発、一発だがカウルの右手が裏拳の形でキラービにあたる。
キラービーはそれだけで何処かに吹っ飛んで行ってしまった。
レベルが抑えられているとはいえレベルの差が45もあると瞬殺のようだ。
少し拍子抜けだが、カウルはそれでもこれから先に不安を感じないではいられなかった。
パソコン越しに見ていたただの映像と違いこっちの魔物はリアルだ。
殺気もあるし、実際攻撃されたら痛いだろう。
最弱の魔物であるキラービーですらあれだったのだ。ドラゴンとかになったらどうなるか分からない。
この世界の一般の住民の平均レベルは10らしいが、それで生きていけるんだろうか?とカウルは疑問に思った。(明らかに余計なお世話だ。)
エルフの森を抜けるとそこには地平線が見えるほど広い草原が広がっていた。
草原は舗装された未知が一直線にのびている以外に人の手が入った所は見当たらない。
魔物の姿も見えない。目に映る範囲で動く生き物は空を飛ぶ鳥くらいなものだ。
「ゲームの通りか。ってことはこの道を行けば始まりの町に行けるわけだな。」
この平原もゲームのチュートリアルで使われるステージだ。
舗装された道を歩くだけでも町につけるが、道を外れて探索すれば回復アイテムであるレッドチェリーや素材である木材、動物の皮なんかが手に入る。
ゲームではここで探索の楽しさなんかを覚える事ができる。勿論エルフの森でも素材を手に入れる事はできるが魔物のいるエルフの森なんかよりはこっちの方が安心して探索できる。ここは探索専用のステージといっても過言では無かった。
(まぁ、ここがゲームと同じって事はないだろうけどな。)
カウルが今身に付けている服や装備はゲームだった頃、最後に装備していた物だ。
アイテム袋や所持金は無いみたいだが、それでも神話級の装備を見に付けている。アウルはそれに気付いてますます安心した。
今の装備でしかも封印の腕輪を外した状態のカウルならば魔王ですら迂闊に手を出せない存在だ。
人間兵器と化したカウルはそんなステータスにまでなっているとは思いもしない。装備が派手で悪目立ちしそうだなぁ、と思っている位なものだ。
装備は派手というよりは地味な方だが神話級というだけあって存在感が凄い。
黒一色の全体装備【タナトスの戦装束】の状態異常無効やステータス全50%アップは最早チート以外の何物でもない。
「町についたら服を買った方がいいな。ってか、金ないからまずはギルドで仕事かなぁ。」
さすがにカウルも神話級装備を常に付けていたら目立って仕方ない事くらいは分かっている。分かっているが身に付けている装備以外ないのだから仕方ない。
「そういや言葉通じるのかなぁ。俺、英語の成績常に2だったんだけどなぁ。」
少しの不安を覚えながらカウルは始まりの町に向かって歩いて行く事にした。
ここから先はまだ書いてません。
さて、どうするかな




