思いと思い
こんにちわ!ラミレシアです!更新また遅くなりました!
リコはどうなる!そしてケイト達は!?
では本文スタート
私は目の前で村人達が抱き合い震えている光景に目を奪われていた。
(確かにあの少年は不気味。でもこの村人達の怯え方は尋常じゃないわ。
何があったっていうの・・・・)
考えていても埒が明かないと判断した私はもう一度扉から周囲を確認する。
(見たところあの少年だけだわ・・。今しか村人を逃がす好機はない!)
懐からナイフを取り出すがまた懐に戻した。
(大丈夫。素手でなんとかしてみせる)
私は呼吸を整えると一気に扉から飛び出す。
すぐに周囲を確認するが不気味な少年以外誰も立っていなかった。
「倒れている兵士をやったのは貴方?」
私の質問に少年は何も応えない。
むしろ私が出てきた事で口元に笑みを零した。
(何コイツ・・・)
私は眉をひそめ警戒心を更に強めた。
しかし次の瞬間何が起きたのかわからなかった。
気付けば目の前に少年がいて、私の腹部に拳が当たっていた。
驚く間もなく私は後方へ吹き飛ばされる。
民家の壁に叩きつけられ気絶寸前だった。
私の頭の中は混乱する。
今の一瞬に何が起きたのか理解できない程に。
そんな私にゆっくりと少年は近づいてくる。
「ギリギリで致命傷は避けたね。立派だよ。
そこら辺に倒れている兵士なんか即死だったよ?」
私の前までくるとしゃがみこみ目線を合わせてくる。
この時恐怖を植えつけられた私がいた。
体が無意識に震える。
そんな自分を認めたくなくて少年を睨みつける。
少年は笑顔で話しかけてくる。
「睨みつけても無駄だよ。もうじき君は僕に殺される。
死ぬのが怖いかい?そうだよね。誰しも死ぬのは怖い。
でもね、弱い者は死に強いものは生き残る。
これが自然の摂理ってもんだよ。」
そう言うと私の胸倉を掴み持ち上げる。
「君の目が僕は気に食わない。自然の摂理に逆らおうとするその目が!」
少年は急に怒鳴り私を大通りへゴミのように投げ捨てた。
辛うじて受身を取ったがそれでも強打は免れなかった。
「君達は平和な世界にいるんだね。僕達の世界とは大違いだ。
だから、余計に腹が立つ。腹が立って腹が立ってしょうがないよ」
少年は辛うじて顔をあげる私に笑顔を向けて歩いてくる。
少年の奥底に何があるのか今の私には分からない。
しかし私も此処で死ぬわけにもいかない。
私は少年を見つめながら全身の激痛を懸命に堪え立ち上がる。
少年は私に歩み寄りながら腰に刺してあった鞘から剣を引き抜く。
その剣は異様な形をしていた。
刃の至るところに無数の穴が空き、刃自体が緑色に染まっている。
私はその剣を見た瞬間危険な感じがした。
すぐに後方に飛ぼうとするが右腕を少年の左手に掴まった。
少年の顔を咄嗟に見るととても楽しそうに笑った。
戦いを楽しむように。
「反応はとても良い。けど君は逃げる事も僕を倒す事もできない。そして死ぬしかない」
左手で即座にナイフを取り出そうとするが少年の右膝で蹴られ弾かれる。
私の体は完全に無防備状態になった。
少年が持つ剣が私の胸の上に振ってくる。
右腕は封じられ左手は動かない状態で、降り注ぐ剣の先を見つめるしかなかった。
ルーリは気が付くと柔らかい布団の様な物の上に横たわっていた。
「はわ?!此処は・・・」
ルーリは上半身を起し周囲を見渡す。
横にはケイトが横たわっており、良く見ると追っ手が使用していた乗り物の上にいた。
前を見れば見知らぬ男性が車を操縦している。
ルーリは一通り慌てた後ケイトを揺すりながら耳元で呼びかける。
「ケイト様!ケイト様!起きてください!」
ケイトは一向に目を覚ます様子が無い。
ケイトの上に乗っかると上半身を包帯で巻かれ、血が滲み出ていた。
ルーリは息を呑んだ。
そんな時前方から声が飛んできた。
「妖精さんよ、少し寝かせといてやんな。傷口がまた開くと死ぬぜ?」
ルーリはケイトから前方にいるギルダに目を向けた。
「貴方様は・・・ど・・どなたでしょうか?私達を何処へ連れていくのでしょうか?」
ルーリは見知らぬ男性に動揺しながらも質問する。
そんなルーリに対してギルダは淡々と応える。
「俺はギルダだ。行き先はこの近くに仲間がいるんでそこへ向かってる。
譲ちゃんの名前は?」
「私はルーリです」
ルーリは警戒しながらも自己紹介をした。
しばらくギルダと名乗る男性の背中をじっと見ているとケイトが身じろぎした。
ルーリはギルダからケイトの方に視線を移す。
ケイトは苦痛で表情を歪めた後辛うじて目を開けた。
「こ・・此処は・・・」
「ケイト様!ご無事で何よりです!」
ケイトの言葉にルーリは笑顔で応えた後万歳した。
そんなルーリを他所に苦痛に耐えながらも上半身を起す。
周りを見れば自分が先ほどの追っ手が使っていた車に乗車している事に驚いた。
前を向けば見知らぬ男性が目に付き、
腹部を触れば包帯が巻かれ処置がされていた。
ケイトは再度ギルダを見やった。
「これはあんたが?」
「ん?まあな。下手糞だが勘弁してくれ。」
「いや・・助けてくれてありがとう・・・でいいんだよな?」
ケイトの質問にギルダは大きな声で笑った。
「そうだな。俺はギルダだ。聖騎士団の一人と言えばわかるか?」
ケイトは心底驚いた。
「え!?聖騎士団ってあの聖騎士団!?」
大声を出しすぎて腹部が痛み咳き込んだ。
そんなケイトに淡々と応える。
「あの聖騎士団って、聖騎士団は一つしかないぞ」
ギルダの言葉にケイトは呼吸を整えて再度質問する。
「でも何でこんな所に聖騎士団が?」
「まあ、ちとわけありでな。ところで傷の具合はどうだ?
大分出血していたが。」
「このまま安静にしていれば回復すると思います。ありがとうございます。
それと俺はケイトって言います。遅くなってすみません」
ケイトはギルダと一通り話を終えると隣で心配顔で見つめるユーリに目をやった。
その瞬間ケイトは何かを思い出したように大声をだした。
「あ!こんな事してる場合じゃない!リコの所へ戻らなければ!」
リコの名前にルーリは過剰に反応した。
「え!?リコ様!?そうです!そうです!リコ様の所へ戻りましょう!」
ルーリは羽で飛びながら右往左往し始めた。
ケイトは血相を変えてギルダに詰め寄る。
「ギルダさんすみません!俺たち行かなければいけない所があるので此処で止めてくれませんか!?」
ギルダは慌てるケイトを他所に冷静に聞き返す。
「お前ら、その怪我で何処行くつもりだ?寝言ほざくなよ?」
「いえ、本気です。リコが・・・俺達の仲間が待ってるんです!」
今にも此処から飛び出していきそうなケイトを見てギルダは少し考えた。
「わあった。わあった!送っていってやるから何処行くんだ?」
ケイトは安堵した後すぐに応える。
「ネバルゲ村です。わかりますか?」
「ネバルゲ村には今向かってる。だが、中には入れないぞ?」
「どうしてですか?」
「ネバルゲ村は見知らぬ軍によって制圧されてる。
今俺達の部隊が様子を見ているが今は無理だ」
ギルダの言葉にケイトは難しい顔して押し黙った。
そんなケイトをルーリは不安げに見つめる。
突然ケイトは真剣な表情で言葉を発した。
「では村の近くで止めてください。一人で行きます」
その言葉にギルダは呆れた風に言い返す。
「お前はバカか?さっき言ったろ。見知らぬ軍に制圧されてるって。
今行ったら間違いなく死ぬぞ?」
「それでも行きます。リコが待ってます。」
ケイトの真剣な眼差しをじっと見るとギルダは溜息をついた。
「世の中のバカは俺一人だけで良いんだがな。
わかったよ。どんだけ大事な奴がいるのか知らんが俺も付き合ってやる。」
ギルダは運転しながら笑った。
「ギルダさんは関係ありませんよ?」
「関係大有りだ。お前を見捨てて行けなくなった。それじゃ理由にならんか?」
ギルダの真剣な表情にケイトは喉を詰まらせた。
「ありがとうございます!」
ケイトの言葉にギルダは前を見ながら片手をあげる。
いつの間にか立ち上がっていたケイトは座りなおし、じっと自分を見つめるルーリを見る。
「お前も行くか?」
「あったりまえです!私はリコ様の妖精です!リコ様に会わずに死ねますか!」
ルーリは格好つけているのかわからないが、空中でパンチを繰り出していた。
そんなルーリの頭をケイトが微笑みながら軽く触った。
読んでいただきありがとうございます。
更新スパンを出来る限り短くして行こうと思います。
文章自体は少ないかもしれませんが、
少しでも早くお披露目したいです。
では8章であいましょう