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信じる心x不安x妖精x魔剣

こんにちわ!小説を書き足りない人です!

えっと今回の話は新キャラが多分に含まれます。

ぜひとも歓迎してあげてくださいw

では本編スタート!

双眼鏡でじっと村を見ていると遂に動き出した。

馬がいない馬車のような乗り物二台に、兵士が一台につき5人程乗りこんでいる。

(やっぱり馬がいない!?何あれ!?どうやって動いてるわけ!?)

村の様子に驚きながらも、今度はケイト達の行動を双眼鏡で追う。

私の右手後方で大きく円を書くように走っていた。

(ケイト達・・・頼むわよ!)

ケイト達の無事を祈った後再度村に双眼鏡を戻す。

すると兵士が乗った乗り物は勢い良くケイト達に向かって走り出していた。

その速さに私は驚く。

「え!?何あの速さ!?反則よ!?」

私の中に驚きと焦り、それに不安が心臓に伝わるように鼓動が早くなる。

ケイト達の事が心配だが、今此処で村へ潜入できなければ全てが無駄になる。

私の頭に迷いが生じる。

ケイト達の所へ戻るべきかどうか。

私は目をつぶって自分に言い聞かせた。

「私はケイトを信じるって!信じるって決めたんだから!

捕まるわけないんだから!レンを守るって言ったんだから!」

私は一人岩場で叫んだ。

そして車に乗った兵士達の死角に入った瞬間私は全力で村へ向けて走り出した。



レンとケイトはリコのいる岩場から大分離れた後方でゆっくり円を書くように歩いていた。

そしてケイトは村の一部で土埃が舞うのを確認した。

「レン!一気にリコから離れて左後方へ全力で走るぞ!ついてこい!」

レンの背中を押すように声をかけケイトは先頭を走る。

ケイトは背後を気にしながら馬を走らせる。

それとは裏腹に後方にでる土埃がケイト達に向かって異常な速度で近づいて来ていた。

「何だ!?凄い早いぞ!?」

ケイトは必死に馬を走らせるがこれ以上速くはならない。

不安が伝染したようにレンも不安な表情をしている。

ケイトの中でリコの言葉が蘇る。

”不安にならないで”

「レン!心配するな!リコと約束したんだ!絶対守るってな!

俺から離れるなよ!」

ケイトは大きな声で叫んだ。

レンに言ったのか自分に言い聞かせたのかわからないけれど、

大きな声を出した事でケイトから不安が消え去った。

ケイトが後方確認しつつレンを見ると、

不安よりもケイトを信じて付いて行く意思が感じられた。

「行くぞレン!このまま突っ走るぜ!」

広い荒原にケイトの声が響き渡った。




ギルダは10名程の兵士を連れて荒野を歩いている。

二十台前半と思しき男性がギルダに横から声をかけた。

「ギルダさんまた何やらかしたんですか?」

「一体何の話だ?」

ギルダは横に並ぶ男性に目を向けながら淡々と応える。

「いや、ほら、ギルダさん毎回フィレーネ隊長に怒られた後飛び出して行くじゃないですか?

今回も突然部隊を召集して飛び出してきたわけで」

横に並ぶ男性の言葉にギルダは空を見上げて少し考えた。

「セルベルト、俺は別に怒られたわけじゃない。

急に仕事が舞い込んだんだ。我がまま隊長の命令でな。

まあ、仕事が出来る奴には仕事が回ってくるものなのさ。覚えておけよ」

ギルダはセルベルトに教えるような口調で言った。

ギルダの偉そうに語る様子を見て、セルベルトは肩を落とした後追求を諦めた。

気持ちを切り替えるようにセルベルトは横に並ぶギルダに質問する。

「ギルダさん、今回はどんな仕事なんですか?」

ギルダも気持ちを切り替えてセルベルトに説明する。

「うむ、さっき兵士が数名走って行った岩場があっただろ?

そこの調査だ。俺はフィレーネに必要ない!って言ったんだぜ?」

「はいはい、言ってないんですね。わかりました。

まあ早く調べて終わらせましょう」

ギルダの言葉を淡々と流すセルベルトだった。


突然ギルダは馬を止めてセルベルトに手を伸ばす。

「セルベルト、双眼鏡貸せ」

セルベルトも馬を止める。

「一体何です?急に」

「いいから貸せって」

セルベルトは自分の肩に背負うショルダーバッグから双眼鏡を取り出すと、

ギルダがそれを横から掠め取った。

「ギルダさん一体何なんですか?!」

セルベルトは双眼鏡を覗くギルダに不満の声をあげる。

しかしギルダの真面目な言葉に消された。

「セルベルトそっちの仕事はお前に任せる。

俺は野暮用ができた。

後は頼んだぞ!」

そう言うと馬を走らせた。

唖然とするセルベルト達。

ギルダは50メートル程進んだ後で振り返って付け加えた。

「そっちの仕事しっかりできなかったらお前等減給だからな!覚悟しとけよ!」

セルベルト達はギルダの言った内容に対して唖然とするしかなかった。

そしてセルベルトは肩を落とし、額に手を置き呟く。

「ほんといつも・・・突然居なくなる・・・。

何であの人の部下になったんだろう・・」

唖然とするセルベルト達を置いてギルダはどんどん遠くへ馬で駆けて行く。





私は見張りの兵士がいない隙をついて外郭まで走る事ができた。

しかし全力で走った為呼吸が荒い。

ふと目に留まった落ちていた木の棒を拾いあげる。

(刃物は使いたくないし、これでいいよね)

崩れかけた外郭の部分から村へ侵入し、村の内部の様子を探る。

村は1.3メートル程の石垣で囲まれ、大通りもあり見通しは良かった。

(思ったより大きい村ね・・・早く村人を見つけなくちゃ・・・)

木の棒片手に足を忍ばせ外郭に沿うように進む。


一軒ずつ確認していくが、その一方で内心焦っていた。

これだけの家を確認するだけの時間が残されていない事に。

慎重性と迅速性が私の中でぶつかり合っていた。

(もうあれをやるしかない・・・)

胸の鼓動が高鳴るのを感じる。

そして呼吸が乱れる。

背中に冷たい汗が流れていた。

(もうやるわ!やらなきゃ・・・やるしかないのよ!)

私は民家の裏側で大きな声で叫ぶ。

「侵入者がでたわ!逃亡者も出たわ!」

声を発した瞬間にすぐに走って移動する。

兵士に見つからないように民家の間をすり抜け、そしてまた叫ぶ。

「侵入者がいたわ!逃亡者は大通りにでたわ!」

私は更に走る。

鼓動がとても早い。

民家の隅から大通りを観察する。

兵士がぞろぞろと、沢山ある民家から出てくる。

兵士が出てくる扉をとにかく目を凝らして見る。

(見つけた!)

一際大きな家に押し込められた大人や子供が目に入った。

村人が捕まっている家を目指して外郭伝いに素早く移動する。

しかし家の入り口扉前には兵士が二人。

私は横から足音を抑えて突っ込む。

一人目の頭を兜ごと棒で殴り、上段蹴りで2人目の兜を蹴り飛ばす。

体勢を整え、2人の兵士が動かない事を確認すると共に周りを確認する。

(よし!他の兵士は此処に気付いてない!)

私は捕まっている民家の扉を開け、無我夢中で倒れている兵士2人を中に引きずりこむ。

もう私の心臓ははち切れそうな程鼓動している。

考えるよりも先に体が動く。

そんな状態で家の中にいる村人と目が合う。

突然の侵入者に村人は目を丸くしていた。


私も声がうまくでない。

でも体だけは勝手に動きこの家全体にシールド魔法をかける。

その瞬間私達のいる家に向けて多重発砲された。

発砲音に驚き村人は頭を下げてその場にしゃがみこむ。

間一髪シールド魔法が間に合ったが胸の鼓動は鳴り止まない。


しばらくすると発砲が鳴り止み外が静かになった。

私は聴覚を研ぎ澄まし、扉から覗くように外の様子を伺う。


大通りに面した広場に一人佇む少年。

少年は白い布地で胸に金の鳥が刺繍された服を着ていた。

その周りでは金の鎧を着た兵士が十名程倒れている。

私はその光景に目を奪われた。

そして少年は口を開く。

「本当に仕えない兵士ですね。これで少し落ち着きました」

少年は顔を上げ笑顔で私の目と目を合わせた。

「後一人ですね」

少年の言葉、不気味な笑顔、そして笑顔の奥に覗かせる冷たい目が私の不安を煽る。

それを物語るかの様に部屋にいた数名の村人は体を小刻みに震わせていた。





レアラが岩陰で目を覚ますと、リンに加え見知らぬ女性が近くに立っていた。

「此処は・・・」

レアラはねぼけ眼をこすりながら体を起し周囲を確認する。

それに気付くとフィレーネはレアラの傍へ歩み寄り腰を落とした。

「レアラ皇女お気づきですか?」

いきなり見知らぬ女性に声をかけられ、レアラはフィレーネを警戒する様にじっと見つめる。

「申し送れました。私はフィレーネ。ガジェッタと言う町で聖騎士団に所属しております。」

フィレーネは笑顔でレアラに自己紹介をする。

レアラは状況が読めず困惑した表情をみせた。

そしてふと気付く。リコとケイトとレンが見当たらない事に。

レアラはフィレーネを他所に、慌てた様子でふらつきながらも立ち上がる。

そして辺りを再度見渡す。

レアラの表情から不安が滲み出る。

「リコ!ケイト!レン!」

レアラはか細い声で叫ぶ。

レアラの思いとは裏腹に返ってくる言葉は無い。

横で倒れているリンを見つけ揺さぶるが、全く起きる気配がなかった。


フィレーネは切迫したレアラの表情から大切な人を探していると推測できた。

レアラに近づき声をかける。

「誰かを探しているんですか?」

フィレーネの掛け声に反応しないレアラは不安な表情で一人悩みこむ。

「皆何処行ったのじゃ・・・」

レアラは辛そうな表情で拳を強く握った。





ケイトとレンは後方から追ってくる金の鎧を着た集団から逃げていた。

距離はまだ開いているものの確実に詰められる速度にケイトは内心あせっていた。

「レン、此処ら辺に食料を備蓄する為の穴か何かないか?」

ケイトは併走するレンに聞く。

「あります。この先にいくつか。どうしてですか?」

「その穴へレンは入ってくれ。俺が敵を引き付ける」

「でも・・・」

「俺達は捕まるわけにはいかない。

絶対無事にリコの元へ戻るんだからな」

ケイトの堅く強い意志はレンを渋々納得させた。

「わ・・・わかりました。

ケイトさん絶対に無事に逃げてください!」

「当たり前だ。」

レンの不安げな表情とは裏腹にケイトは笑って応えた。


ケイト達は食料備蓄用の穴に最も近い巨岩に一度身を潜めた。

「レン、ある程度時間が過ぎたら馬に乗ってレアラ達がいる場所に戻っててくれ」

ケイトの指示に対してレンは表情を落としていた。

ケイトはレンの頭の上に一度手を置くと、真剣な眼差しで走り去る方向を見た。

そんなケイトにレンは顔を上げて一言言った。

「ご無事で・・・」

「おうよ!」

ケイトは馬にムチ打つと巨岩の影から出て行った。

残されたレンは走り去るケイトの背中を、心配そうな目つきで見えなくなるまで見つめた。


ケイトは馬上で今後の予想展開を見据えていた。

「敵の注意を引くのは良いとして・・・どうやって振り切ろう・・」

ケイトは今更ながら良く考えていない事に気付く。

すると何処からか女性の声が微かに聞こえた。

「はぎゅうう!はにゃ!?」

ケイトは周囲を見渡すが声の主は見当たらない。

「う〜んまあいいか。それにこんな事してる場合じゃないしな」

ふとリコの馬セリスに鞄が括りつけられている事に気付く。

ケイトが鞄の中を漁ると、青白く光る小さな妖精が目を回し横たわっていた。

妖精は先日見た妖精よりも更に小ぶりで親指2本分程度の大きさしかなかった。

髪は後ろで一つに束ね、整った顔立ちの青い妖精という感じだった。

ケイトは妖精を手で掬い上げ声をかけた。

「おい、大丈夫か?」

妖精は横たわったまま反応がない。


妖精をきにしていると、

突然背後から発砲音があり妖精どころではなくなった。

背後を見ると距離はまだあるものの車2台が確実にケイトを追ってきていた。

「狭いけど此処に入っててくれよ」

そう言うと胸ポケットに衝撃がなるべく無いように入れた。

「って言うかそれ処じゃないな、何か鞄に無いか・・・役に立ちそうな物・・武器とかあれば・・・」

ケイトが鞄を漁ると剣の刃がない柄だけがあった。

「なんだこれ?!」

「それは魔剣セルシアスですよ!?」

気がついたのか胸ポケットから妖精が顔を出していた。

「魔剣セルシアス?」

妖精の言葉にケイトはじっくり柄を見た。

「いや・・・魔剣って言ったって刃がないぞ?」

「えっとですね、その魔剣は近くに水がないと使い物にならないです」

「意味ないじゃん!」

真面目に応える妖精に呆れた顔を向ける。

「俺は今使える武器を探してるんだ。後ろ見てみ?追っ手に捕まると殺されるかもしれないんだ」

ケイトの声に妖精は羽で飛びケイトの肩に乗った。

「え!?なんか棒みたいなのこっちに向けてますよ!?」

「だからさっきから言ってるだろ。追われてるって」

驚きの表情でケイトの肩を叩く妖精。

そんな妖精をほっておいて次なる手段を考えるケイト。

妖精はふと気付いたようにケイトに話しかける。

「ところで貴方誰ですか?私は妖精のルーリと申します」

妖精は肩の上でお辞儀をした。

それに対してケイトも自己紹介をする。

「俺はケイト。リコの・・・将来結婚・・・・」

「え!?結婚!?リコ様の旦那様であられますか!?

ご無礼を申し訳ございません!」

ケイトのまた誤解を招きそうな言葉がルーリを困惑させた。

ルーリは自分の立場を弁えると、打って変ってケイトの肩の上で膝を突いた。

「ケイト様ご提案が御座います。

先ほどの魔剣、リコ様の旦那様であられるケイト様なら扱えるかもしれません!」

真剣に言うルーリにケイトは真面目に問い詰める。

「どう言う事だ?さっきは水がないと使えないって言ったろ?」

「はい。ですが私は水の妖精。私が力をお貸し致します」

ケイトはルーリの協力で武器を手に入れる事はできた。

だが、それとは別の問題があった。

「だが、扱うって言ったって俺全くわからないぞ?」

「私もわかりません。魔剣セルシアスを扱えた人は本人セルシアスだけだったと聞いてますから。

今はやってみるしか他に方法が御座いません!」

ルーリの言う事は確かにもっともな答えだった。

ケイトは柄をじっと見つめ心配ながらも決心を固めた。




ケイトを追う一台の車に、二十歳前半程で長髪の男が目を瞑り考え込むようにして座っていた。

その横に座る兵士が気にかける様に長髪の男に話しかける。

「ガーネス小隊長どうされましたか?」

横に座る兵士の言葉を受けた後ゆっくりとガーネスは目を開ける。

「いやな、そろそろだと思ってな」

「一体何の話です?」

横に座る兵士の質問には答えずガーネスは立ち上がり外周を見渡す。

ガーネスは併走する車にも聞こえるように声を張り上げた。

「全員止まれ!」

ガーネスの急な物言いに2台の車は急停車する。

兵士9人は突然の出来事に驚きながら大声を出したガーネスに注目する。

「いいか、良く聞け!俺達は今から別行動を取る!

これはルーフェンス将軍の命令だ!わかったか!?」

ガーネスの突然の言葉に兵士は動揺を隠せない。

一人の兵士が声を発した。

「ガーネス小隊長、それでは我々の任務はどうなるのでしょうか?」

ガーネスは良い質問とばかりに口元に笑みを作りながら応える。

「我々はこの地に眠る円卓の魔剣を探す!」

兵士の間でざわめき立った。

「お前等返事は!?」

ガーネスの厳しい声に兵士達は大きな返事をすぐに返した。

ガーネスが乗る車の運転手が声をあげる。

「前方で逃げている捕虜はどうしましょう?」

「あれは捕獲しろ。原住民は情報持っているからな」

運転手は返事をし運転を再開する。

ガーネスはこの日を待っていたとばかりに笑みを零していた。





ケイトはついに追跡してきた兵士達に追いつかれ車が前後へと停車する。

それと同時に剣をもった兵士がケイトを取り囲むように散らばった。

馬上からケイトは困惑しながらも周りをぐるりと見渡す。


そんなケイトにガーネスが車内から立ちあがり声をかける。

「おい、小僧。もう逃げ場はない。諦めて捕まれ」

車から降りたガーネスは余裕顔でゆっくりとケイトに歩み寄る。

ケイトはセリスを気遣い馬から降り少し距離を取った。

そしてガーネスと対峙する。

「お前達は一体何者だ!?村人達をどうするつもりだ!?」

ケイトの質問にガーネスは興味なさそうに応える。

「良い質問だ。だが、応える義理はない」

二人の間に僅かな沈黙が流れる。

だがその沈黙をガーネスが先に破った。

「おい、お前の肩にいるの・・・まさか妖精か!?」

ケイトは肩にのるルーリをちらりと見て応えた。

「それがどうした?」

「こっちの世界には妖精がまだいるのか・・・ほんとこの世界は楽しませてくれる!」

ガーネスは奇妙な笑みを零した。

その後でガーネスは真っ直ぐケイトを見据えて言った。

「妖精をこっちによこせ」

「いやだね。お前らに渡すものは何も無い!」

「なら力ずくでやるしかないよな!?」

そう言うとガーネスは抜剣した。

ガーネスの持つ剣は燃える様に赤く、ドロドロと溶け出す様に剣から赤い雫が垂れていた。

その剣を見てルーリは目を見開き、ケイトの耳元で囁いた。

「ケイト様!あれも魔剣ですよ!」

「え!?魔剣ってそんな沢山あるのか!?」

「いえ、真の魔剣は12本しかないんです。

ただ真の魔剣に似せた魔剣があるのも事実で、あの剣の性能は未知数です」

ルーリの説明を聞いたがケイトは目の前の状況に手一杯だった。

ケイトはゆっくりと背中に帯剣していた魔剣(柄のみ)を取り出し両手で握った。

ガーネスはそれを見て唖然とした。

「なんだその剣は・・・刃が無いとかなめてるのか?!」

「いや・・・本気だぜ・・・」

ケイトは自信無さそうに言葉を返した後肩の上にいるルーリに囁いた。

「なあ、俺死んだらどうしよう。リコと結婚できねえよ」

「そうですね。死んだら死んだ時に考えましょう・・。私もその時はお供致します・・・」

ルーリは既に涙目だった。


ガーネスは正面切って魔剣を振り下ろしてきた。

ルーリはその瞬間に何処かへ消え、

ケイトの魔剣に青白く透き通る様な刃ができる。

ガーネスの剣を止めるべくケイトも魔剣を横に凪ぐ。

しかしケイトの魔剣と接触する前にガーネスの魔剣は、青白いシールドに阻まれ激しくスパークする。

シールドが張られていた事を知っていたかのようにガーネスは力で押してくる。

ケイトはその一瞬を逃すまいと魔剣でガーネスの腹を横に凪ぐ。

だがケイトの魔剣はガーネスの着る鎧に当たり簡単に砕け散った。

唖然とするケイト。

ガーネスは口元に笑みを浮かべた後ケイトのシールドを突き破り、

魔剣はケイトの左肩から腹部までを切り裂いた。


ケイトは後方へ吹き飛び倒れこむ。

ルーリも同時に姿を現しケイトの肩辺りで倒れこむ。


ガーネスは胸から大量出血して倒れているケイトを見下す。

「魔剣の使い方を分かっちゃいないな。素人が!」

倒れているケイトから、落ちている魔剣と妖精に目を移す。

「妖精は高く売れるな。そしてこの魔剣興味深い。

12種の一つの可能性もあるからな。」

そう言い魔剣を拾い上げようとした瞬間、誰かが高速でガーネスに向かって走って来た。

周りで囲んでいた兵士達は全く気付いていない。


ギルダの剣とガーネスの魔剣が激しくぶつかり合う。

ギルダの重い攻撃に耐え切れずガーネスは体勢を崩す。

その瞬間をギルダは見逃さない。

気付けばガーネスは背後を取られ、ギルダが背中を押さえ込むように乗っかっていた。

ガーネスは苦しそうに声をあげる。

「貴様・・・何者だ!」

「何者って言われてもな・・・正義のヒーロー?」

兵士達はスパーク音でやっと異変に気付き、気付いた時には上官であるガーネスが下敷きにされていた

兵士達は各々でガーネスの名前を呼び、駆け寄ろうとする。

しかしギルダは手を前に出し、”来るな”の合図をする。

「おっと、下手に近寄らない方がいい。

俺は体中に剣を仕込んでるんで、君達とこの人に刺さるといけない。

俺が言いたい事わかるよな?」

踏みとどまる兵士達にギルダは懸命な判断とばかりに頷いた。

ギルダの目先には先ほど使用した剣が溶けて落ちていた。

それを見てギルダは一人納得する。

後ろを見れば怪我で倒れているケイトとルーリ。



ギルダは腰から別の剣を抜きガーネスの首に刃を置く。

「時間がないから取引しよう。俺の実力はあんたなら分かるだろ?

引いてくれ。あんまり殺したくないんだわ。いくらあんた達が嫌いでもさ」

ギルダの下敷きにされ声が出しにくいガーネスは、首に当てられた刃に気をつけながらゆっくり頷く。

「わ、わかった」

ガーネスの言葉を聞いた後、ギルダはすぐにその場を離れ倒れているケイトに歩み寄る。

ケイトの傍らにしゃがみ傷の具合を見ると、服は破れ出血はしているものの致命傷だけは避けていた。

それに妖精による恩恵のせいか傷が塞がり始めていた。

横で倒れている妖精は特に外傷もなく気絶しているだけだった。

小さな妖精の頬を指先で突っつくと寝言を言った。

「もう・・たべられましぇん・・」

ギルダは呆れた様に肩を竦めた。

妖精を片手で拾い上げ自分の頭の上に置き、ケイトを横になったまま両手で抱き上げた。

そして辺りを見回し車を見つけると歩き始めた。

ギルダが歩いていく先を兵士が困惑した表情で道を開ける。

「追ってくるなよ。死ぬぞ」

淡々とギルダは言葉を残し、我が物顔で敵の所有物である車にケイトを乗せた。

その姿をガーネスは睨みつけながら立ち上がる。

ギルダは再度戻ってくると、落ちているケイトの魔剣を布で包み懐に入れた。

睨みつけるガーネスを他所にギルダはそのまま車に向かう。

ギルダは振り向かずにガーネスに言う。

「魔剣はお前の様な奴は持つな。災いしか呼ばん。」

そう言うとギルダは呆然と立ち尽くす一人の兵士を呼び車の扱い方を聞いた。

そして2匹の馬を引き連れギルダ達は立ち去った。


残されたガーネスに唖然としていた数人の兵士は駆け寄った。

「ガーネス小隊長どうされますか?追いますか?」

ガーネスはギルダが立ち去った方向を睨みつけながら言う。

「車の車輪を見てみろ。壊されてる。

追いかけるのは無理だ。」

兵士達はガーネスの言葉でやっと車が故障している事に気付き唖然とする。

ガーネスは考え込んだ後魔剣を鞘に収め車に向けて歩き出した。

「今は追わなくていい。まずは車を治せ。」

ガーネスの言葉に従い動き出す兵士。

ガーネスはギルダが立ち去った方向を見つめる。

「何者だ・・あいつ・・。この方向からしてあの村に行くようだが。

あの村にはニアがいる。同士討ちになってくれれば万々歳だな」

そう言うと忙しなく動く兵士達の下へ歩いていった。











































































































読んでいただきありがとうございます。

ぼちぼちでも書いていくので応援よろしくお願いいたします!

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