レアラ
悪魔契約者の方も書きたいんですが、どっちも書きたい!ラミレシアですw
七つの宝玉が落ち着き次第書きたいと思います!
岩陰に行くと十歳前後の子供達は苦しそうに唸っていた。
傷口を見ると毒に汚染されている傷口が多数目に入った。
「まずいわ・・・このままだと数時間で死んでしまう」
私の言葉にケイトも不安げに子供達を見つめる。
辺りを見渡すと多少草が生えているのが見て取れた。
「ケイト近くにある草木を手当たり次第に取ってきて、薬草として使えるかもしれない」
「わかった!」
私の緊迫した言葉にケイトはすぐに走り出した。
自分の鞄を漁り毒消し薬を取り出した。
その毒消し薬を見て不安があった。
(毒消しの量が足りないかもしれない・・・ケイトが持ってくる薬草に賭けるしか・・)
不安を振り払い毒消し薬を子供達の傷口に塗りつけていく。
毒消し薬を塗りきると、子供達に水を口に流し込みながら二人の回復を見守った。
いつの間にか夕暮れになっていて幸いな事に日中の暑さは弱まっていった
「リコ、リコ。起きろ」
目を覚ますと目の前にケイトがいた。
私は眠気眼をこすった後ケイトを見た。
「遅かったから眠っちゃったじゃない。それで草木はどうだった?」
私の言葉にケイトは馬を指差した。
馬の背中を見ると山ほど草木が積んであった。
すぐに駆け寄り使える物があるか確認すると、毒消し草も大量に混ざっていた。
「ケイトよくやったわ!これでいけるかもしれない!」
私は眠り続ける子供達の様子を再度確認した後で、毒消し薬作りに取り掛かった。
辺りは暗闇になり月の光だけが私達を照らす。
小型の乳鉢で薬を作っていると、胡坐をかいたケイトが岩山の天辺から話しかけてきた。
「リコはほんと何でもできるんだな」
私はケイトの方を向いた後また薬草作りに目を落とした。
「何でもできるわけじゃないわ。できる事しかやらないだけよ」
暫しの沈黙が流れる。
「ケイトも・・・良くやったわ・・・ケイトがいなかったら二人を助けられなかった」
私は薬草を作りながら言うと、ケイトは月を見上げながら嬉しそうに笑った。
明朝私達は子供達を看病する傍ら食料の危機に貧していた。
「この荒野付近には川も食べ物もない。
一番近くて村に行くしかない。
でも子供達はまだ目を覚まさない・・・」
私は一人唸っているとケイトが見回りから戻ってきた。
「リコ!なんか拾ったぞ!」
「おお!食べ物?!」
私が嬉しい声をあげながら岩陰から覗くと、ケイトは見知らぬ少女の首襟を掴んで持ち上げていた。
見たところ私達より少し年下に見えた。
「あんた!何誘拐してきてるのよ!?」
「いや、誘拐じゃねえよ、行き倒れになってた所を「俺に」くっついてきたんだ」
淡々と喋るケイトに私は暑さもあってか腰を落とした。
「どうするのよ・・・食べ物もないのに食い扶持ばっか増えちゃって・・・」
私は空を見上げながら泣きたい気持ちだった。
「食べ物ならあるぞ?」
「へ?」
ケイトが言うには岩山から割りと近くに食料があるらしく、
子供達の看病をケイトに任せて私は見に行く事にした。
ケイトが示す位置に着き、砂利で隠された五メートル四方の木板をどけた。
「こ・・・これは!?」
中を見ると水が入った瓶が百瓶前後、それに暑さに強い干し肉や梅干、乾し魚まであった。
「凄い量だわ・・・緊急時用の食料と思って間違いないわね・・・」
私は生唾が喉を通った。
しかし子供達が先と思い、水一瓶と食料を少し持って岩山に戻った。
岩山に戻ると交代でケイトに三日分の食料と水を取りに行かせた。
私は寝ている子供達の毒消し薬を新しい物に交換し水を飲ませた後、
行き倒れの少女にも水を飲ませた。
行き倒れの少女は髪を二つに分けお団子の様に括っていた。
そして何より洋服が高級素材で出来ているのが目に入った。
「この子何処の子かしら・・服装も此処ら辺で見かけないわ」
私は一通り少女を観察した後、食料をどうやって寝てる子供に食べさせようか考えた。
考えた末にでた結論は、気を失ってる子供に堅い物は食べさせられない。
でも栄養は取らないと傷の治りも遅い。
私は怪我で寝ている子供達の前に立ち、食べ物を口でほぐし少量づつ子供達の口に入れた。
しかし、喉を通ってくれなかった。
私が子供達の前で悩んでいると、後ろでお団子少女が目を覚ました。
そしてすぐに立ち上がると、懐からナイフを出し睨むように威嚇してきた。
私もすぐに立ち上がりお団子少女と対峙する。
「落ち着いて。私は敵じゃないわ。ナイフを下ろしてくれないかしら?」
両手を頭上まで上げ私は相手を宥めようとしたが、一向にナイフを下ろす気配がない。
そんな状況の中ケイトが食料を持って帰ってきた。
「おう、お団子!起きたのか。食料持って来たぞ」
ケイトの言葉に少女は一瞬で喜びの表情に変わった。
ケイトに駆け寄ると乾し肉と水を貰い食らいついた。
その光景を唖然と見つめる私。
食料と水に食いつく少女を他所に私はケイトを手招きし、小声で問い詰めた。
「あんた、あの子に何したの?なんか懐いてない?」
「さあ、リコがいない間に一回お団子が目覚めて、食べ物を求めていたから、
もうじき来るぞって言っただけだぜ?」
「そ・・そう・・・」
私はなんか納得できないまま話は終わり、私達は少女を眺めた。
御腹が満腹になったのか座り込み一息ついて私達を見た。
「ケイトありがとう。童はレアラと申す。
命拾いしたぞ。感謝する」
レアラと名乗った少女は偉そうにケイトに話しかけた。
「さっきも一応言ったが、俺はケイト、こっちは俺の・・・・リコだ」
私はつい手が出てしまった。
「いつから私はケイトの物になったのよ!それに何で照れながら言った!?」
「まあ堅い事は気にするなよ。子供が見てるぞ?」
怒る私に対して宥めようとするケイト。
この構図がどんな風に少女に移ったかわからないけれどレアラは怒り出した。
「童のケイトに何をする!事と次第では万死に値するぞ!」
少女は立ち上がり再度私にナイフを向けた。
私とケイトはレアラを見て唖然とするしかなかった。
その後はケイトが少女に誤りも多分に含まれていたが説明をして落ち着かせた。
「それじゃリコは、ケイトにとって「ただの」旅仲間で良いのじゃな?」
レアラは事細かくケイトに質問している。
私はそんな二人を放って寝ている子供達の看病をする事にした。
「いいや、リコは大事な仲間だよ」
ケイトの言葉にレアラは口を尖らせた。
「所でレアラは何で荒野で倒れてたの?」
ケイトの質問にレアラは言い難そうに顔を背けた。
「ケイト、言い難そうにしてるのよ。無理に聞かない方がいいわ」
私のぶっきらぼうな言い方にレアラは表情を落とした。
「童は・・・逃げてきたのじゃ・・・」
レアラはそう呟くと岩陰に一人で歩いて行ってしまう。
それからレアラは体を丸め何処か遠くを見ているようだった。
私とケイトは顔を見合わせるとレアラをそっとしておく事で同意した。
夕方頃に男の子が目を覚ました。
「大丈夫?痛むところはある?」
まだ頭が覚醒していないのか返事がない。
しばらく経って男の子は辺りを見回し、
隣に女の子がいる事を確認すると少し安心した表情を見せた。
しかし自分の足に付く鉄の輪を見て表情を歪めた。
「此処は何処なんですか?」
男の子は薬草を研いでる私に声をかけてきた。
「此処はネバルゲ村の近くにある荒原地帯よ。
距離は正確にはわからないけれど、大体一日半で着く距離ね」
男の子は話を聞いた後何かを考えるような表情をした。
そんな男の子に優しく声をかけた。
「自己紹介遅くなったけど私はリコ。旅をしている道中で貴方達を見つけたの。
あんまり詮索はしたくはないのだけれど、
その足枷の意味だけ教えてくれないかしら?」
男の子は辛そうな表情をし俯いたまま黙り込んだ。
私は眠っている女の子の傍らに座り傷を確かめ、毒消し薬を体の各部に塗りこんでいく。
そんな私をみて男の子は口を開いた。
「僕達の・・・ネバルゲ村の皆が金色の服を着た連中に捕まりました」
私は驚愕した。
「どういう事?!」
「正直僕も何がなんだかわかりません・・・。
ただ巫女を出せと言いながら突然村に攻めてきたんです。
抵抗する者は殺され、従う者は捕まりました」
男の子は目を瞑り辛苦の思いで拳を強く握った。
私は脈打つ鼓動を抑えながら黙って男の子を見つめていた。
しばらくすると女の子も目を覚まし、レアラも気分が落ち着いた様子だった。
私は暗闇の中余った枯れ草で火を起こした後簡単な料理を作った。
ケイトも不器用ながらも手伝ってくれた。
火を5人で囲みながら座り食事を取った後、レンは改めて自己紹介をしてくれた。
「遅くなってしまいましたが、僕はレン、こっちが妹のリンです。レン、リンと呼んでください。
それと、助けてくださって本当にありがとうございました。
皆さんがいなかったら本当に死んでいたと思います!」
改めて深く頭を下げるレンにケイトは「そう堅くなるな」と笑いながら撫でた。
「レンとリンは体の具合はもう平気?」
私の言葉に笑顔で返して来た。
「もう大丈夫です。本当に助かりました」
私も笑顔を返した。
そして本題とばかりに私は皆の顔を見て話す。
「明日からなんだけど、私達はネバルゲ村へ向かうわ。
早朝には此処を立つつもり。」
私の言葉に暫しの沈黙があった後レアラが手を上げた。
「童もついていって良いのか?」
レアラは自分を指差し真っ直ぐ私を見てくる。
「いいわ。でも私の言う事聞ける?」
私の質問にレアラは嫌そうな目を向けてきた。
そんなレアラを見てケイトは頭を撫でた。
「言う事聞けるよな?」
ケイトはレアラに笑顔で聞くとレアラも笑顔で頷いた。
その光景を見て私はどっと疲れが増した気がした。
気持ちを切り替えてリンとレンを見る。
「私達も連れて行って貰えますか?
逃げ出して来た身ですが、母と父それに友達の事がきになります・・」
レンは暗い表情で私に聞いてきた。
「それじゃ一緒に行きましょ。
明日は早朝から出発するから早めに皆体を休めてね」
私の言葉に一人を除いて全員が了承した。
村の中心にある大きな建物に金の鎧に金の兜をした数人が集まっていた。
その中で椅子に一人だけ座り、頬に真新しいナイフで切られた跡が残る三十台と思しき男が怒鳴る。
「巫女はまだ見つからないのか!?もう三十時間は過ぎてるんだぞ!?」
男は机を蹴り飛ばし怒鳴り散らす。
横に整列する兵士は誰かが応えるだろうと思い誰も喋らない。
沈黙の空気に耐え切れず一人の兵士が一歩前へ出た。
「それが・・巫女は一年に一度御礼の儀という儀式以外は何処かに身を潜めてるらしいのです」
兵士は動揺しながら喋るが、頬に傷の男は興味なさそうに悪態をつく。
その直後別の兵士がノックをして足早に入ってきた。
兵士は地に膝を突き報告する。
「ルーフェンス将軍、たった今村人の情報では此処より更に北上した場所に小さな里があるそうです」
「距離はどれくらいだ?」
「馬で2日から3日程です。車なら2日とかからないかと」
ルーフェンスは顎を撫でながら考えている。
「わかった・・・第九部隊と第十部隊をその里に向かわせろ。百人もいれば余裕だろ。
第一銃撃部隊も連れてっていいぞ」
そう言うと隅で控えていた兵士が大きな声で返事をした。
「俺は水の神殿に戦車を連れて向かう。この村は第八部隊に守らせておけ。
各部隊全員明朝すぐに動き出せ!」
そう言うと部屋にいる兵士全員が返事し部屋から出て行った。
ルーフェンスが窓から外を見ると足枷を付けた村人が一列に整列している。
「炎の神殿はガルニアスに先を越されたが、水の神殿は俺が貰う」
ルーフェンスは自分に言い聞かせるように喋った。
読んでいただいてありがとうございます^^
もっともっと書きます!
皆をリコの世界へ招待いたします!
訂正南下ではなく北上でした。修正いたします。